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【要約】グラフェン酸化物の毒性:使用する酸化的手法への依存性

Elaine Lay Khim Chng et al.化学. 2013.

元記事はこちら。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23630053/

概 要

 2次元カーボンナノ材料の一種であるグラフェンは、近年広く注目を集めており、中でも酸化グラフェン(GO)に焦点を当てた研究が盛んに行われている。
酸化グラフェンは、細胞標識やドラッグデリバリーなどのバイオメディカル用途の候補として注目されており、生体内における酸化グラフェンの毒性および挙動は、緊急に注目すべき基本的な課題である。このため、生体内における酸化グラフェンの毒性および挙動は、緊急の課題となっている。
1)濃硝酸とKClO₃酸化剤(Hoffmann)、2)発煙硝酸とKClO₃酸化剤(Staudenmaier)、3)濃リン酸とKMn_2084(Tour)、または4)KMn_2084の存在下で硝酸をその場生産する硝酸ナトリウム(Hummer)、などとともに、濃H₂SO₃を使用するトップダウンルートで一般に達成される。
これらの異なる方法を用いて製造された4つのGOの特性はほぼ同様であると広く考えられてきたため、これらの方法は互換的に使用されてきた。
しかし、いくつかの研究により、グラフェン関連ナノ材料の生体系における毒性は、表面官能基や構造欠陥などの物理化学的性質に影響される可能性があることが報告されている。
さらに、GO が生物医学の分野でますます使用されるようになっていることを考慮すると、GO の酸素含有量・官能基がその毒性プロファイルにどのような影響を与えるかについて興味があるところである。
人工ナノ材料に関連する健康リスクを評価する上で、体外試験は一般的な最初のステップであるため、4種類の酸化処理によって調製したGOの細胞毒性を、市販の生存率測定器を用いて付着性肺上皮細胞(A549)のミトコンドリア活性を測定することにより調査した。
メチルチアゾリルジフェニルテトラゾリウムブロマイド(MTT)アッセイと水溶性テトラゾリウム塩(WST-8)アッセイの2つを用いて、用量反応データを作成した。生存率のデータから、試験した4種のGOナノ材料は24時間暴露後に強い用量依存的な細胞毒性反応を示すことが明らかになり、GOの酸素含有量/官能基量とA549細胞に対する毒性挙動には相関関係があることが示唆された。

Copyright © 2013 WILEY-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, Weinheim.

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