【要約】グラフェンおよび酸化グラフェンはゼブラフィッシュの幼生/幼体において多臓器不全を引き起こす：in vivo研究

Bangeppagari Manjunatha et al. Environ Sci Pollut Res Int. 2021 Jul.

元記事はこちら。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33656705/

概　要

　グラフェン系ナノ材料（GBN）は、現在、様々な分野で広く利用されている。しかし、水生生物に対して強い毒性を示すことが報告されている。
しかし、グラフェン（pG）および酸化グラフェン（GO）がゼブラフィッシュ（Danio rerio）の幼生または幼体に及ぼす多臓器毒性およびそのメカニズムについては十分に分かっていない。
そこで、本研究では、環境濃度（pGは0, 5, 10, 15, 20, 25μg/L、GOは0, 0.1, 0.2, 0.3, 0.4mg/mL ）のpGとGOが、ゼブラフィッシュの発達中の多臓器系に及ぼす影響を実験的に評価した。

その結果、pGとGOが脳組織に蓄積し、心拍数と生存率に著しい変化をもたらすことが判明した。肝細胞の大きさは減少した。Tg(mbp:eGFP) transgenic lines "では、軸索の長さとパターンに影響を与える、軸索の完全性の変化も観察された。
さらに、主要な臓器に病理学的影響が見られ、ミトコンドリア構造の破壊が顕著であった。pG と GO の生物濃縮は、ゼブラフィッシュの幼生における多臓器毒性につながる。
今後、本研究の成果を他の水系一般、特にヒトに外挿することが可能である。

キーワード 脳蓄積、心毒性、グラフェン材料、肝毒性、神経毒性、ゼブラフィッシュ幼生/幼体.

© 2021. The Author(s), under exclusive license to Springer-Verlag GmbH, DE part of Springer Nature.（シュプリンガー・フェアラーク・ゲーエムベーハー、シュプリンガー・ネイチャーの一部）.

類似の記事

●ゼブラフィッシュ胚における原始的なグラフェンの生体内毒性評価。
Manjunatha B, et al. Environ Sci Pollut Res Int. 2018. PMID: 29476369

●酸化グラフェンは、発育中のゼブラフィッシュ（Danio rerio）胚モデルにおいて心血管障害を誘発する。インビボ毒性評価。
Bangeppagari M, et al. Sci Total Environ. 2019. PMID: 31005017

●プリスティン グラフェンは、ゼブラフィッシュ（Danio rerio）胚形成における心血管障害を誘発します。
Manjunatha B, et al. Environ Pollut. 2018. PMID：30176498

●グラフェン系ナノ材料の魚類における毒性.
Dasmahapatra AK, et al. Rev Environ Contam Toxicol. 2019. PMID: 30413975 無料PMC論文。レビュー

●水生生物におけるグラフェンベースナノ材料の毒性研究。現在の理解。
マルホトラN、ら、Molecules。2020. PMID: 32784859 無料PMC論文。レビュー

すべての類似した記事を見る

引用：3件

●グラフェンナノプレートレットを用いた人工繊維の生体内および生体適合性研究(In Vitro and In Vivo Biocompatibility Studies on Engineered Fabric with Graphene Nanoplatelets).
Fanizza C, et al. Nanomaterials (Basel). 2022. PMID: 35564114 無料PMC論文。

●グラフェン酸化物ナノフレークの還元を調整すると、ゼブラフィッシュの神経細胞ネットワークに異なる影響を与える。
ディマウロG、ら、ナノマテリアルズ（バーゼル）。2021. PMID: 34578477 無料PMC論文。

●グラフェンとその誘導体：生物医学的応用のための主な化学的および薬学的役割の理解。
Magne TM, et al. J Nanostructure Chem. 2021. PMID: 34512930 無料PMC論文。レビュー

参考文献

●Akhavan O, Ghaderi E, Akhavan A (2012) ヒト幹細胞におけるグラフェンナノプレートレットのサイズ依存的な遺伝毒性. バイオマテリアルズ 33:8017-8025 - DOI
Anzenbacher P, Anzenbacherová E (2001) Cytochromes P450 and metabolism of xenobiotics. Cell Mol Life Sci 58:737-747 - DOI
Bangeppagari M, Park SH, Kundapur RR, Lee SJ (2019) Graphene oxide induces cardiovascular defects in developing zebrafish (Danio rerio) embryo model: in-vivo toxicity assessment. Sci Total Environ 673:810-820 - DOI

●Bianco A (2013) グラフェン：安全か毒性か？メダルの2つの顔。Angew Chem Int Ed 52:4986-4997 - DOI
Brayner R (2008) The toxicological impact of nanoparticles. ナノ今日3:48-55 - DOI