【要約】ブレビスタチンを用いた効率的な腸管オルガノイドの培養

Zhen Qi et al. Methods Mol Biol. 2019年。

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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29589266/

概要
腸管上皮は、哺乳類において生涯を通じて最も自己増殖の速い組織の一つである。上皮のクリプト基底部に存在する小さな幹細胞集団は、継続的に自己複製を行い、分化した上皮細胞を生み出すことができる。腸管幹細胞の自己複製と分化は恒常性維持のために厳密に制御されており、この制御が乱れると腸管の変性や腫瘍化が引き起こされる。
従って、幹細胞の制御機構を解明することは、腸疾患の理解や治療に不可欠である。従来のマウスモデルを用いた方法はコストと時間がかかるため、近年確立されたex vivo腸管オルガノイドモデルは、腸管幹細胞の自己複製と分化を制御するメカニズムを調べるための理想的なツールである。腸管オルガノイドは、生体内の腸管上皮の構造と機能の両面で主要な特徴を再現している。
本論文では、低分子化合物blebbistatinを用いてクリプトと単一幹細胞から高効率に腸管オルガノイドを作製する新しいプロトコルと、腸管オルガノイドにおける幹細胞の自己複製と分化を評価するアプローチを示す。

キーワードブレッビスタチン、培養、分化、腸管オルガノイド、Lgr5+幹細胞、自己複製。

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参考文献

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