見出し画像

『外郎売の台詞』(ういろううりのせりふ)

こちらのサイトを参考にしています

https://www.benricho.org/kotoba_lesson/Uirouri/shinkana.html

*『外郎売』は資料によって文章、漢字、読み方は少しずつ違いますがこのサイトのまま読みます📖

*名古屋出身ですのでアクセントが間違っている箇所があるかと思います🙏 厳密なアクセントはYouTubeなどの正確なものをご参照くださいね❣️

*無料音声SNSアプリ「クラブハウス」にて
毎朝4:00頃〜4:10頃までの10分間ほど配信しています😊


せっしゃおやかたともうすは、おたちあいのうちにごぞんじのおかたもござりましょうが、

拙者親方と申すは、 お立ち合いの内に御存知のお方もござりましょうが、 


おえどをたってにじゅうりかみがた、そうしゅうおだわらいっしきまちをおすぎなされて、あおものちょうをのぼりへおいでなさるれば、

お江戸を発って二十里上方、 相州小田原、一色町をお過ぎなされて、 青物町を登りへお出でなさるれば、 


らんかんばしとらやとうえもん、ただいまはていはついたして、えんさいとなのりまする。

欄干橋虎屋藤右衛門、只今は剃髪致して、円斎と名乗りまする。 


がんちょうよりおおつごもりまで、おてにいれまするこのくすりは、むかし、ちんのくにのとうじん、ういろうというひと、わがちょうへきたり、

元朝より大晦日まで、 御手に入れまする此の薬は、昔、 ちんの国の唐人、 外郎という人、 わが朝へ来たり、


みかどへさんだいのおりから、このくすりをふかくこめおき、もちゆるときはいちりゅうずつ、かぶりのすきまよりとりいだす。

帝へ参内の折から、此の薬を深く籠め置き、用ゆる時は一粒ずつ、冠の隙間より取り出す。 


よってそのなをみかどより、とうちんこうとたまわる。すなわちもじには、いただき、すく、においとかきて、とうちんこうともうす。

依って其の名を帝より、透頂香と賜る。即ち文字には、頂、透く、香と書きて、とうちんこうと申す。


ただいまはこのくすり、ことほかせじょうにひろまり、ほうぼうににせかんばんをいだし、いやおだわらの、はいだわらの、さんだわらの、すみだわらのと、いろいろにもうせども、ひらがなをもってういろうといたしたは、おやかたえんさいばかり。

只今は此の薬、殊の外世上に弘まり、 方々に似看板を出し、イヤ小田原の、 灰俵の、 さん俵の、 炭俵のと、色々に申せども、平仮名を以てういろうと致したは、 親方円斎ばかり。 


もしやおたちあいのうちに、あたみかとうのさわへとうじにおいでなさるるか、またはいせごさんぐうのおりからは、かならずかどちがいなされまするな。

若しやお立合の内に、 熱海か塔の沢へ湯治にお出なさるるか、又は伊勢御参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。


おのぼりならばみぎのかた、おくだりなればひだりがわ、はっぽうがやつむね、おもてがみつむねぎょくどうづくり、はふにはきくにきりのとうのごもんをごしゃめんあって、けいずただしきくすりでござる。

お登りならば右の方、 お下りなれば左側、八方が八棟、 表が三つ棟玉堂造、 破風には菊に桐の薹の御紋を御赦免あって、 系図正しき薬で御座る。


いやさいぜんよりかめいのじまんばかりもうしても、ごぞんじないかたには、しょうじんのこしょうのまるのみ、しらかわよふね。さらばいちりゅうたべかけて、そのきみあいをおめにかけましょう。

イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、御存知ない方には、 正身の胡椒の丸呑、白川夜船。さらば一粒食べかけて、その気味合をお目に懸けましょう。


まずこのくすりを、かようにいちりゅうしたのうえへのせまして、ふくないへおさめますると、いやどうもいえぬは、いかんはいかんがすこやかになって、くんぷうのんどよりきたり、こうちゅうびりょうをしょうずるがごとし。

先ず此の薬を、 かように一粒舌の上へ乗せまして、 腹内へ納めますると、イヤどうもいえぬは、 胃肝肺肝が健やかに成って、薫風咽より来り、口中微涼を生ずるが如し。


うお、とり、きのこ、めんるいのくいあわせ、そのほか、まんびょうそっこうあることかみのごとし。さて、このくすり、だいいちのきみょうには、したのまわることがぜにごまがはだしでにげる。ひょっとしたがまわりだすと、やもたてもたまらぬじゃ。

魚、鳥、木の子、麺類の食い合わせ、 其の外、 万病速効あること神の如し。扨、此の薬、第一の奇妙には、舌の廻ることが銭独楽が裸足で逃げる。 ひょっと舌が廻り出すと、矢も楯も堪らぬじゃ。 


そりゃそりゃそりゃ、そりゃそりゃ、まわってきたわ、まわってくるわ。あわやのど、さたらなしたに、かげさしおん。はまのふたつはくちびるのきょうじゅうかいごうさわやかに、あかさたな、はまやらわ。おこそとの、ほもよろを。

そりゃそりゃそりゃ、そりゃそりゃ、廻って来たわ、 廻って来るわ。アワヤ咽、 サタラナ舌に、 カ牙サ歯音。 ハマの二つは唇の軽重 開口爽やかに、あかさたな、 はまやらわ。 おこそとの、ほもよろを。 


いっぺぎへぎに、へぎほし、はじかみ。ぼんまめ、ぼんごめ、ぼんごぼう。つみたで、つみまめ、つみざんしょう。しょしゃざんのしゃそうじょう。

一っぺぎへぎに、へぎほし、はじかみ。 盆豆、 盆米、盆牛蒡。 摘蓼、摘豆、 摘山椒。 書写山の社僧正。 


こごめのなまがみ、こごめのなまがみ、こんこごめのこなまがみ。しゅすひじゅす、しゅすしゅちん。

小米の生噛、 小米の生噛、こん小米のこ生噛。 繻子緋繻子、繻子繻珍。

おやもかへい、こもかへい、おやかへいこかへい、こかへいおやかへい。ふるぐりのきのふるきりぐち。あまがっぱがばんがっぱか。

親も嘉兵衛、 子も嘉兵衛、 親嘉兵衛子嘉兵衛、子嘉兵衛親嘉兵衛。古栗の木の古切口。 雨合羽が番合羽か。


きさまのきゃはんもかわぎゃはん、われらがきゃはんもかわぎゃはん。しっかわばかまのしっぽころびを、みはりはりながにちょとぬうて、ぬうてちょとぶんだせ。

貴様の脚絆も皮脚絆、 我等が脚絆も皮脚絆。 尻皮袴のしっ綻びを、三針針長にちょと縫て、縫てちょとぶん出せ。


かわらなでしこのぜきちく。のらにょらいのらにょらい、みのらにょらいにむのらにょらい。いっすんのおこぼとけにけつまずきゃるな。

河原撫子野石竹。野良如来野良如来、三野良如来に六野良如来。一寸のお小仏にお蹴躓きゃるな。


ほそみぞにどじょにょろり。きょうのなまだら、なら、なままながつお、ちょとしごかんめ。

細溝に泥鰌にょろり。 京の生鱈、奈良、 生学鰹、 ちょと四五貫目。


おちゃたちょ、ちゃだちょ、ちゃっとたちょ、ちゃだちょ。あおだけちゃせんでおちゃちゃとたちゃ。くるわくるわなにがくる、こうやのやまのおこけらこぞう、たぬきひゃぴき、はしひゃくぜん、てんもくひゃっぱい、ぼうはっぴゃっぽん。

お茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ、茶立ちょ。 青竹茶筅でお茶ちゃと立ちゃ。来るわ来るわ何が来る、高野の山のおこけら小僧、狸百疋、箸百膳、 天目百杯、 棒八百本。


ぶぐばぐぶぐばぐ、みぶぐばく、あわせてぶぐばぐむぶぐばぐ。きくくり、きくくり、みきくくり、あわせてきくくりむきくくり。

武具馬具 武具馬具、 三武具馬具、 合わせて武具馬具六武具馬具。 菊栗、 菊栗、三菊栗、合わせて菊栗六菊栗。


むぎごみ、むぎごみ、みむぎごみ、あわせてむぎごみ、むむぎごみ。あのなげしのながなぎなたは、たがながなぎなたぞ。

麦ごみ、 麦ごみ、三麦ごみ、 合わせて麦ごみ、六麦ごみ。 あの長押の長薙刀は、誰が
長薙刀ぞ。



むこうのごまがらはえのごまがらかまごまがらか、あれこそほんのまごまがら。がらぴいがらぴいかざぐるま。おきゃがれこぼし、おきゃがれこぼし。ゆんべもこぼして、またこぼした。

向うの胡麻殻は荏の胡麻殻か真胡麻殻か、 あれこそ本の真胡麻殻。 がらぴいがらぴい風車。 おきゃがれ小法師、 おきゃがれ小法師。 昨夜もこぼして、又こぼした。 


たあぷぽぽ、 たあぷぽぽ、ちりから、 ちりから、つったっぽたぽたぽ、ひだこおちたらにてくを。にてもやいてもくわれぬものは、ごとく、てっきゅう、かなくまどうじに、いしくま、いしもち、とらくま、とらぎす。なかにもとうじのらしょうもんには、いばらきどうじが、うでぐりごんごう、つかんでおむしゃる。

たあぷぽぽ、 たあぷぽぽ、ちりから、 ちりから、つったっぽ。たぽたぽ、 干蛸落たら煮て食を。 煮ても焼いても食われぬ物は、五徳、鉄弓、 金熊童子に、石熊、石持、虎熊、虎鱚。中にも東寺の羅生門には、茨木童子が、うで栗五合、掴んでおむしゃる。 


かのらいこうのひざもとさらず。ふな、きんかん、しいたけ、さだめてごだんな、そばきり、そうめん、うどんか、ぐどんな、こしんぼち。こだなのこしたに、こおけにこみそがこあるぞ、こじゃくしこもって、こすくてこよこせ。

かの頼光の膝元去らず。 鮒、 金柑、椎茸、定めて後段な、 蕎麦切り、素麺、饂飩か、愚鈍な、こ新発知。 小棚のこ下に、 小桶にこ味噌がこ有るぞ。こ杓子こ持って、 こ掬てこ寄せ。


おっとがてんだ、こころえたんぼの、かわさき、かながわ、ほどがや、とつかははしってゆけば、やいとをすりむく、さんりばかりか、ふじさわ、ひらつか、おおいそがしや、こいそのしゅくをななつおきして、そうてんそうそうそうしゅうおだわらとうちんこう。かくれござらぬ、きせんぐんじゅのはなのおえどのはなういろう。

おっと合点だ、 心得たんぼの、川崎、神奈川、程ヶ谷、戸塚は走って行けば、灸を擦りむく、 三里ばかりか、藤沢、平塚、 大磯がしや、小磯の宿を七つ起きして、 早天そうそう相州小田原透頂香。 隠れござらぬ、貴賤群衆の花のお江戸の花ういろう。 


あれ、あのはなをみて、おこころをおやわらぎゃあという。うぶこ、ほうこにいたるまで、このういろうのごひょうばん、ごぞんじないとはもうされまいまいつぶり、つのだせ、ぼうだせ、ぼうぼうまゆに、

あれ、 あの花を見て、 お心をお和らぎゃっという。 産子、 這子に至るまで、此のういろうの御評判、 御存知ないとは申されまいまいつぶり、角出せ、棒出せ、 ぼうぼう眉に、


うす、きね、すりばち、ばちばち、がらがらがらと、はめをはずしてこんにちおいでのいずれもさまに、あげねばならぬ、うらねばならぬと、いきせいひっぱり、とうほうせかいのくすりのもとじめ、やくしにょらいもしょうらんあれと、ほほうやまって、ういろうはいらっしゃりませぬか。

臼 、杵、 擂鉢、ばちばち、ぐゎらぐゎらぐゎら (がらがらがら)と、羽目を外して今日御出の 何も様に、 上ねば成らぬ、 売ねば成らぬと、息せい引っぱり、 東方世界の薬の元締め、薬師如来も上覧あれと、 ホホ敬って、ういろうはいらっしゃりませぬか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?