いわゆる”石丸構文”について

東京都知事選が終わり、結果云々ではなく結局注目を浴び、連日報道されるのが落選した石丸伸二氏であり、その現状が彼の言う”メディアの無能さ”を表していると思う。現に当選した小池百合子氏のニュースは全然見かけない。重要なのはそっちでは…?と思うのだけれども。

そんな中で、注目されているのが石丸氏の言動についてで、いわゆる”石丸構文”とよばれ話題というかネタにされてトレンドとなっている様です。
漠然とした幅の広い質問に対し、具体的にどれの事?って聞いているだけなのに「態度が悪い」とか「冷たい」「パワハラだ」なんて言われている様ですけど…

自分自身どちらかというとそっち(石丸氏)側のタイプの人間なのでなんら違和感ないのですよ。ちょっと具体例を出しましょう。
自分はシステム開発の仕事をしています。取引先からお仕事の見積もり依頼を頂く時によくあるのが、なんの資料もなく
「このサイトと同じものを作った時の見積もりを下さい」
というもの。
基本、見積もりは作業費が発生しない。そして見積もりを出して、仕事が取れなかった時にそこにかかった工数はこちら負担となり、会社としては損益となるので、そこにあまり時間をかけられず、要件を洗い出した要求仕様をざっと箇条書きでも良いから最低限欲しいわけです。
そこにさっきの、
「このサイトと同じものを作った時の見積もりを下さい」
と、平気で言ってくるわけです。
ここで、”同じ”というのが何を指しているのか?外見(デザイン)から何から存在しているものをまるまる同じにしたいのか、方向性として同じというだけで、大枠なコンセプトの部分で同じような事をしたいだけなのか、それによっても、場合によりそのサイトに会員登録してすべての機能を洗い出したりする必要もあり、作業ボリュームは大きく変わるわけです。
(そもそもまったく同じものが欲しいならそれを作った会社に依頼しろよという話だけど…)
話が逸れましたが、この例で言うと、
「その”同じ”は何を指してますか?そこを明確にしてもらえませんか?」
となるわけですが、それがいわゆる石丸氏の構文、逆質問だったり、明確に回答しない部分だったりするのかなと思います。

金融という責任の重い仕事をされていたでしょうから、おそらくミスは許されない、適当にあいまいなニュアンスを人から受取って、勘違いでしたでは済まされない。そういうプレッシャーがあったり、もしくは過去にそういう関係の痛い目に合っている人はこういう性格になりやすいんだと思います。これは後天的に変わることのある部分です。自分は大学のソフトウェア理論の授業で都度イレギュラーケースを想定して話を進めていけというのを学んでからこういう面倒くさいロジカルな性格になってしまった自覚はあります。

例えば、「昨日の夜にね…、あ、一昨日だったけ…あぁ、やっぱ昨日だったと思うけど…」みたいな話し方をする人見たことありませんか?
聞いてる相手としてはその”いつ”という情報は大事なのか?そんなのどうでもいいから本題に入れよ、と思うと思います。
でもこれが、自分の思う正しいことを常に正確に伝えたいという性格の人の特徴です。会話のどうでもいい部分でも正確に伝えたい、適当に話せないんです。

だから色んな捉え方がある質問が来ると、その意図を明確に捉えて、適切な回答を返そうという気持ちが働くので、ああいうやりとりになってしまうんじゃないかなと思います。自分がそうだからなんとなくそう思います。
まぁ石丸氏に関してはああやって悪目立ちすればメディアが取り扱ってくれるでしょって、確信犯でやってるとこあるみたいですけど。

だから自分は
「最近どう?」
みたいな質問が一番困る。
別に良くもなく悪くもなく普通なのだが…それ以上でもそれ以下でもないのだが…
でもそんな返ししたら「屁理屈野郎」ってなるし、機嫌が悪いわけでも冷たくしてるわけでもないけど、とは言え「元気」でもないしなぁ…
みたいな葛藤が頭をぐるぐる回ってすぐに回答できなくて黙ってしまって、結局「愛想無い奴」と思われてしまうという…
まあそもそもその質問自体が会話の導入用のテンプレで何も本気で体調気にして言ってきてるわけではない些細な事なんだろうけどね。
中にはそういう細かいとこまで常に気にしてしまう人がいるっていう話。

で、ここで例の日テレの番組で生まれた”石丸構文”について”そっち側”の性格である自分の視点から考察してみると、

・まず石丸氏が「政治屋」の定義を説明
【政治のための政治をする、党利党略に勤しむ、自分第一、これを言っているもの、やっているもの】

・その後、古市氏が質問
「石丸さんが批判する政治屋と石丸さん自身はどう違うんですか?」
つまり古市氏は、暗に「あなたもその”政治屋”じゃないの?」と揚げ足を取って、ブーメランであることを指摘したい意図かと思われる。

だけど、その前に政治家の定義を聞かれた段階で、
「石丸氏自身はこれに当てはまらないんですか?」
という質問にこう答えている
「そりゃそうだと思いますよ、自分で言ってるんだから。
それで自分が当てはまってたらシャレにならなくないですか?」

つまり、自分は”政治屋”の定義には当てはまらないと言っている。
そこへきて先程の古市氏の
「石丸さんが批判する政治屋と石丸さん自身はどう違うんですか?」
という質問。
どう違うと言われても、既にここまでの話の中で、”政治屋”の定義に当てはまらないと言っているので、つまり、”政治屋”と石丸氏の違いは、
”政治屋”定義である
【政治のための政治をする、党利党略に勤しむ、自分第一、これを言っているもの、やっているもの】
”ではない”という点であることは明確。
なのにしつこく聞いてくるので「え、さっき言ったじゃん」の流れに繋がってる気がした。

ただ、
「今までの話の流れをつなげればわかるでしょ」=「もう言ったじゃん」
というスタンスで回答してるから、受け手も
「いや言ってないじゃん」
となってる状況なのかと。
こういう小さなすれ違いがずっとあったのかなって思う。
そもそもテレビ側は本当の意味で質問していない。これを聞きたいあれを聞きたいではなく、「こう答えさせたい」からの答えありきで質問していた感じがして、どうにかそこに誘導しようと同じような無駄な質問が多かった気がした。

石丸氏擁護とかメディアの批判とかじゃなく、単純に自分の視点で客観的に今回起こった出来事を見ての感想です。単に感想なので絶対こうであるべきだ!って主張する気もないし、どっちが正しいとか間違ってるとかじゃなくて、こう受け取る人も少なくとも世の中に1人はいるよ程度に読んでいただけたらと。

散々叩かれてるみたいだけど、多様性の時代だなんだ言ってる昨今、こういう考え方や意見の多様性は受け入れてくれないのか?って思っちゃったけどね。


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