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教室での性暴力:あなたが知っておくべきこと

米IFL(チャイルドマレスター検挙・告発支援の慈善団体)記事抄訳

免責事項:
私たちは、教員が非常に重要な存在であることをよく知っています。次世代の育成に生涯を捧げる方々に心から感謝もしています。その仕事が必ずしも華やかでないことを理解しているためです。
この記事は、こんなことが自分や周囲の子どもの身に起こり得るはずはないと思っている大人たちに現状を知らしめ、広く情報提供することを目的としています。
ほとんどの教員は、子どもたちの幸せだけを考えている素晴らしい人間です。しかし、しばしば、捕食者がシステムの隙間から入り込んでしまうのです。子どもたちの安全を守るために、この情報を参考にしていただき、常に警戒を怠らないようにお願いします。

私たちは、教師と生徒の恋愛をファンタジーとして楽しむ文化の中に生きています。
少し立ち止まって考えれば、教師と生徒の不適切な関係をロマンティックに描いた映画やドラマを、少なくとも一つは挙げることができるでしょう。
ハリウッド映画は、教師と生徒の恋愛を美化し、生徒が教師との肉体関係に同意したり、時には彼らの側からそれを求めるほど、精神的に成熟しているとでも言いたげな描写を行います。
アメリカで人気のスケッチショーのひとつ、Saturday Night Liveを見てください。例えば人気回である「Teacher Trial with Dolly」では、生徒が二人の教師とのロマンスについてエキサイティングに語る様子が描かれています。この番組はコメディとして制作されていますが、児童虐待は笑い事ではありません。

同様のシチュエーションで、現実には何が起こるのか。教師がどのように生徒を食い物にするのか。生徒への長期的な影響、被害者の経験は多様であること、教育者と生徒間の権力差がどれほど効果的に生徒を危険に晒すのか——人々がよく理解しているとはいえません。
現実には、性非行はファンタスティックでもなければ、愉快でも無害でもありません。教師と生徒間の関係は違法であるだけでなく、倫理面でも虐待的で、同意に基づくと言えるものではないのです。
性犯罪は現実の問題であり、子どもたちにとっては、明白かつ現在の危険である可能性があります。教育現場の性的不品行について理解を深めることは、子どもたちの安全を守るため、しかるべき警戒の維持につながるものなのです。

子どもは同意できない

なぜ、生徒は教師との関係に同意できないと言えるのでしょうか?
それが「同意」というものの性質だからです。

「性交同意」とは、人々が互いに性行為に同意することをいいます。「YES」は自由に与えられなければならず、どちらかが止めたいと思えば中止されます。強制することも、されることもありません。参加者が意図的かつ意識的にその性行為に参加しているという条件下における「YES」または「NO」の話であり、未成年者にはその能力が確約できません。

米国最大の反性暴力団体であるRAINNは、同意が存在しえない状況を明確に説明しています。

未成年者、薬物やアルコールで酩酊している者、睡眠中など意識のない者は、同意することができません。脅迫や威嚇のもとでおこなわれた同意は、自由に与えられたものではないため、同意とはみなされません。従業員や学生との性行為のような不平等なパワーダイナミクスも、同意が自由に与えられないことを意味します。

同意について話すとき、年齢は重要なファクターになります。未成年者、特に12歳以下の子どもは性行為の本質を完全に理解できないためです。

性交保護年齢は、州によって16~18歳とバラつきがあるものの、基本的に子どもがセックスに同意したり、性行為に協力したりすることは違法です。

子どもは、法的な意味で性交に同意することはできず、協力は同意を裏づけるものではありません。

メリーランド大学の犯罪学・刑事司法教授であるコートニー・フィッシャー氏は、同意と協力の違いについて、著書「Something Bad Happened Last Night:The Study of the Victim's Role in the Criminal Justice System」(刑事司法制度における被害者の役割に関する研究)の中で、以下のように記しています。

年齢や関係に基づき禁止されている性行為は、子どもに対する有形力の行使、対象の青少年・児童の協力の有無にかかわらず違法となります。犯罪の性質上、子どもがその行為に「同意」したという法的なシナリオは存在しません。性的虐待や性的暴行の性質上、一部の子どもは行為に協力的に見えることがあります。しかし、そうした態度や子ども自身の行為は、法的な意味での「同意」を構成するものとはなりえません。

性的虐待 vs. 性非行

同意についての認識のすり合わせに続いて、性的虐待と性非行との違いを明らかにし、言語化したいと思います。二つの用語は同じように見えるけれども異なるものです。

性的虐待は、成人による未成年者への違法な犯罪的性行為のことをさします。合衆国法 [18 U.S.C. § 2242]によると、性的虐待は、行為者が恐怖を利用して、性的行為を他者に強制した場合に発生します。あるいは、同意を与えることができない者や、その行為を拒否したり、意思伝達が物理的に困難な場合などにも発生することがあります。この定義には、児童との性的行為、レイプ、児童虐待記録物(児童ポルノ)の作成などの性犯罪が含まれています。

性非行とは、性的虐待を含むより広い用語であり、犯罪にあたらない風紀違反も含むものです。たとえば法的な同意年齢が16歳とされる州において、学校職員が16歳の生徒と性的に関係をもつことが(違法ではないものの)校則で禁止されているケースなどがそれにあたります。

発生頻度

2004年、米国教育省は、 教育現場での性非行に関する調査報告書をリリースしました。それによれば、幼稚園から高校までの学校生活の中で、およそ10%の児童生徒が教師による性非行を経験していることになります。
少し古い情報ではありますが、さまざまな研究やメディアの後追い報道が、同様の結果を堅持しています。

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典型的な搾取者

Policy and Program Studies Serviceは、報告書「教育者の性的不正行為:既存研究の総括」その中で、この種の加害者の典型的な類型について詳しく述べています。主として男性。校内において人望や人気があり、仕事の上でも優秀とされている可能性が高いということ。教師、コーチ、カウンセラー、校長、教育監など、あらゆる種類の学校職員が加害者になりうるということ。年齢は平均28歳、下は21歳から上は75歳までと幅があります。多くは男性ですが、女性も加害者になることがあります。

どの年齢をターゲットにするかによって、搾取者の行動パターンに違いがあることは、注目に値する傾向です。
中学1年生以下の児童を狙う者は、特に優秀と見なされており、時には「有名な」教育者であることさえあります。そのため、虐待が発見されたとき、学区の関係者や地域住民は衝撃を受けます。「あんな素晴らしい人が信じられない」——虐待者たちは、自分が「優秀」であることを、子どもたちを搾取するための手段として利用するのです。

一方、中学1年生以上の子どもを狙う搾取者は、低年齢の子どもを狙う教師ほど「優秀」とはかぎりません。計画性はなく、より日和見的で、搾取者自身の判断力の欠如や『誤った特権意識』のあらわれである可能性が高くなります。

見かけの上では良い教育者のようですが、羊の皮を被った狼にすぎないのです。

典型的な被害者

NCJRS(National Criminal Justice Reference Service)が2017年に発表した事例研究によると、学校職員による性被害に遭う可能性が最も高いのは、低所得者層出身の女子高生だといいます。いじめに遭っている、家庭環境に問題を抱えているなど、困窮しているように見えることが多いようです。

さらに、障害のある生徒は、障害のない生徒に比べて、被害を経験する確率が高くなっています。 教育機関における性犯罪の調査報告書によれば、対象の17%が特別な支援を必要とする児童生徒にあたりました。

なぜ?

教師や学校管理者の仕事は、生徒を教育し、指導することです。時に生徒は、教材を使って学んだり、クラブ活動の練習のため、個別指導を必要とすることもあります。生徒とそうした特別な時間を過ごすことは、この仕事では当たり前のことですが、搾取者たちはその立場を利用して子どもたちを虐待しているのです。

NCJRSの事例研究が、この現象を巧みに描出しています。

理想的な教育環境を構成する教師と生徒の関係ほど、時に搾取的な関係へと転じるうる。

典型的な被害者は、低所得層の出身であったり、家庭環境が芳しくなかったりする場合が多く、格好の餌食になります。搾取者にとってみれば、満たされないニーズを持つ学生は、親密な関係になるのが容易なため、搾取しやすく、被害者になりやすいのです。

究極的には、搾取者は、意図的または日和見的に特定のタイプの学生をターゲットにし、コントロールすることができます。どのタイプが選ばれるかは、対象のコンプライアンスと秘密を守る能力の高さに依存します。
その方法は、「グルーミング」です。

教育現場でのグルーミング

グルーミングとは、性的虐待者が、子供に性的な行動を起こさせ、思考を停止させ、内密裡にことを進めるという目的を達成するために、不当な信頼関係を作り出すことです。
搾取者がターゲットにした子どもの信頼を得て、生活上のニーズを満たすことで、子どもを孤立させ、関係を性的なものにし、支配を維持しようとするときに起こります

教育者による性的非行という文脈では、教育者が子どもに特別な注意を払ったり、学習資料や能力の提供、学習機会を与えているように見えるかもしれんません。これは、子どもの信頼を得る以上に、親の目を欺くものでもあります。恐ろしいことに、親は通常、自分の子どもに熱心に関わってくれることに感謝するのです。

グルーミングがどのように起こるかをより理解するために、ジェームズ・ノールによる「児童性的虐待防止:犯罪者が語ること」をもとに、を作成しました。

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グルーミングされ、性被害を経験した後、多くの場合、子どもたちは自分のことを共犯者であると感じます。教育者に「やめて」と言わなかったことで、自分を責めるようになるのです。

性的虐待が被害者に与える影響

教育者による性加害は、性的虐待に該当します。(RAINNの定義によると、サバイバーは心理的、感情的、または身体的な影響を受ける可能性があることを意味する)
これらの影響には、一般的なうつ病の症状、フラッシュバックPTSDなどが含まれます。

性的虐待は、自傷行為、性感染症(STI)、薬物乱用、解離、摂食障害、妊娠、睡眠障害、自殺など、さまざまな有害事象につながることがあります。そんなことを望む子どもは一人もいないでしょう。彼らは自分が抱えたトラウマからくる症状に対処し続けなければなりません。

先に述べたように、教育者は児童生徒の生活上のニーズを満たすことによって、ターゲットを手なずけます。したがって彼らは、ターゲットのハンディキャップを人為的に埋めるため、さまざまな役割を果たすことが考えられます。

例えば、親代わりを必要とする生徒をターゲットにした場合、教育者は「疑似親」としての役割を担うことになります。「疑似親」による性的虐待は、生徒に近親相姦と同じ裏切られた気持ちや羞恥を味あわせることになります。教育者による性的非行の長期的影響は、セラピストや神父から性的虐待を受けた人々のそれに匹敵するという説もあります 。

性的虐待の悪影響は、ずっと後になってあらわれることもあります。精神科医のブライアン・ジャックスは、「被害者は人生の後半になるまで虐待の影響に気づかないことがよくある」と説明しています。ジャックス医師は、自分の意志が利用されたことに気づいて「人生を棒に振ってしまう」と続けています。

ジェンダーの影響

女子は男子の4倍、性的虐待の被害者になりやすいとされています。
しかし、私たちの文化は教師と生徒の性的関係を美化してきたため、一般に男性の被害者は、女性被害者が受けるような配慮や社会的支援を受けることはありません。男性の被害者は被害者になることができず、代わりに虐待の責任を負わされたり、被害をなかったことにされることもあるのです。

教育現場での性犯罪の被害者として、10代の少年に対する人々の認識は、見当違いもいいところでしょう。男の子は性ホルモンの分泌が盛んで、教師とのセックスを空想している、という主張です。もし少年が協力したり、興奮の証拠(例えば射精)を示したりしたら、その少年は教育者と性的に関わりたかったに違いないというのです。

セックスに対する 生理的反応は意識的なものではないので、勃起、潤滑、覚醒、オーガズムなどの 反応は同意とはみなされません。

搾取者は、虐待を秘密にしておくため、あるいは自分の責任を矮小化するために、被害者の生理的反応を利用することがあります(例えば、被害者に「好きだった」と言うなど) 。

法律、心理学、ソーシャルワークの専門家は皆、性犯罪の男性被害者に対する明確なダブルスタンダードが存在することを認識しています。この不平等な扱いは、学校、裁判所、法律事務所にまで及んでいます。

例えば、キャメロン・クラークソンは16歳の時、25歳の女性代替教員兼スポーツコーチから性的虐待を受けました。虐待は2カ月以上に及びましたが、問題が明るみに出た時、非難されたのはクラークソンの方でした。人々は、この「かわいそうな女の子」の人生を台無しにしたとして、少年を嘲笑し、彼の車や家を破壊したのです。

別の16歳の少年は32歳の女性教師から性的虐待を受け、後に自殺願望の詩を書きました。「人生と自分の嘘にうんざりしている/この地球と自分の未来にうんざりしている」。
被害者の少年が自殺願望を表明していたにもかかわらず、加害者の刑期はわずか1ヶ月でした。

なぜなら、男性被害者の声は耳を傾けられず、かりにその経験を信用されたとしても、最小限に見積もられるからです。

性犯罪の被害者は、性別に関係なく被害者である——その通りです。被害経験を否定することは許されません。性的虐待の悪影響は性差を考慮してくれません。

性別と量刑のパターン

加害者の性別と被害者の性別によって、量刑のパターンに違いがあります。教育者が男性で被害者が女性の場合、教育者が女性で被害者が男性の場合よりも、加害者がより厳しい判決を受ける可能性が高いのです。

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これは、被害生徒の経験が性別により異なることを考慮に入れていません。

とはいえ、量刑相場や賠償額には、以下のようないくつかの要素が関係しています。

・性交渉の頻度や種類
・被害者の年齢と州の同意年齢との比較
・調査中に被害者が見せた苦しみ

教育関係者による性犯罪の量刑相場に普遍的なデータは存在しないものの、こうしたケースを多く扱う弁護士は、格差の存在を認めています。

略奪的な教育者を捕らえる

多くの場合、子どもたちは誰も信じてくれないことを恐れて、自分の身に起こったことを話しません。教育者と生徒の間には大きな力(能力・経験値)の差があり、生徒より教師が信じられることの方が多いからです。

その上で、告発する生徒の経験の内訳は、言葉や視覚的な虐待を含む性的非行よりも性的虐待、望まない接触、ハグ、キス、強制的な性交が多くなっています。
つまり、女子生徒を虐待した男性教育者は、男子生徒を虐待した女性教育者 よりも捕まる確率が高いのです。

オスの捕食者とメスの捕食者では、捕まり方も違います。

男性捕食者は、被害者による直接の訴えや、学校の管理職が発見したり、あるいは警察によって捕まる場合が多くなっています。女性の略奪者は、他の生徒からの通報や被害者の保護者からの通報により捕まるケースが大半です。

これからのこと

子どもたちが教育者に性的虐待を受けたとあなたに相談してきたなら、まず耳を傾け、信じることです。教育者による性犯罪を受けた後では、すでにあなたの子どもには多くの影響があらわれています。

・グルーミングからの生還(加担していると感じてしまうこともある)
・教育者と生徒間の歪な力関係
・性的虐待による羞恥心やその他の悪影響

自分の身に起きたことを話すのは勇気がいることです。トラウマを追体験することは、苦痛と恐怖を伴います。嘘をつく可能性は極めて低いと考えてよいでしょう。

調査によっても、性的虐待の被害者が虚偽の告発をする可能性は極めて低いことが分かっています。
全米性暴力情報センター(NSVRC)は、性的暴行の虚偽報告に関する 報告書を発表しました。調査結果によると、虚偽報告の統計は2〜10%となります。性的暴行に関するプロトコルや定義に一貫性がなく、性的暴行全般に対する理解も弱いため、実際よりも多く出ている可能性があるようです。

自分の身に起きたことを打ち明けるのは難しいものです。難しくしているのは、信じてもらえないのではないかという不安です。サバイバーが信じてもらえなかった場合、すでに抱えているトラウマに、さらに別のトラウマが加わることになるのです。

あなたはお子さんの最大の擁護者です。他の誰も守ってくれないような時には特に、あなたがお子さんを支えてあげることが非常に重要なのです。

私たちができること

児童の搾取、搾取を促進するウェブサイト、児童虐待記録物を流通させるために使用されているソーシャルメディアなどをILFに報告したい場合はこちらから。虐待されている児童を知っている場合は、Cyber Tiplineに通報してください。
ILFは、子どもを搾取する人間の調査を支援します。あとは法執行機関が対応します。

Innocent Lives Foundationは、(特にオンライン上の)匿名の児童虐待者を特定し、裁判にかけるための活動を行っています。
ぜひご協力ください。

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