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家に居ろと言われると外出たくなる

 社会人初めての夏季休暇は10日間。帰省する同期、旅行に行く友人に対して、私は資格予備校の授業が4日間。残り6日は何の予定も入れず、ただただ、ダラダラするつもりだった。
「お盆は何するの?」
実家暮らしのインドアには、この難問の最適解が分からなかった。何を答えたら相手を困らせなかったのか。

 熱が出た。ダラダラのお盆休みのうち、1日だけ大学の友人と集まった3日後のことだった。発症せずに3日間も私の体内を潜伏するな。こちとら、その間におばあちゃんに会いに行っている。幸い、おばあちゃんは元気そうで良かったが、保菌したまま何させてくれてんねん。

 検査の予約が取れた頃には、熱が下がってしまっていたので、看護師さんの陽性者扱いには少しイラッとしてしまった。陽性の2本線を「でしょうな」と思いながら確認し、薬は薬局の外で渡された。

 そろそろ休みも明けるし、仕事脳に切り替えようとしたところで、流行りのイベントが発生してしまったもんだから、いそいそと滑走路を引き返す。短いはずの社会人の夏季休暇は、大学生ほどでは無いが、小学生の夏休みくらいになってしまった。結局のところ自発的ダラダラが、強制的ダラダラになっただけで、予定通りではある。

 家から出るなと言われると、旅行でも行きゃあ良かったと思ってしまう。会社だりーって思ってたのに、ちょっと行きたくなってしまう。ないものねだりなインドアである。

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