「いやそれはない笑」って言われたい
小学生の時、友達の好きな色を真似していた。中学生になると、周りと違うことをしたくなった。高校生で付き合った人はみんなに「もっと良い人いるよ」と言われた。大学生は承認欲求と戦いながら、YouTuberもラジオも服も好きなものを好きって言えるようになった。
みんなと同じじゃなくても良いんだと自覚してから、イケメンが苦手なことに気付く。
「自分が隣に並ぶなんておこがましいのでは」
と気負ってしまう。この前飲んだ後輩に
「B専ですね」
と言われたことで、今まで自虐的に使ってきたこの言葉を改めて他己紹介された。
改めてググると、あまり的確表現ではない「ブサイク専門」の略であるB専。有名無名問わず、異性の好みが人と合わないと気づいたのは高校生くらいだったかもしれない。亀梨くんより中丸くんで、山田涼介より八乙女光で、中島健人より菊池風磨な私はどうやら少数派だった。同じクラスにフィールドを落としても結果は同じ。
イケメンと付き合ってしまったらおそらく気が気じゃない。どんなに小さなきっかけも敏感に勘ぐってしまいそうだ。相手の携帯とか見ちゃいそう。面食いな友達に対しては、
「自分のアクセサリーにしてるだけなんじゃない?」
とか思っている。これは本当に良くない。
そんな、少し人とずれた感覚を持っていることに、どこかアイデンティティを感じている。
「いやそれはない笑」
と言われることに少しだけ快感がある。自分の好きなものに対して、みんなが魅力を感じないのはメリットじゃない?てつややしばゆーよりも虫さんのグッズが手に入りやすくなるんだから。元カレのことは、その当時の誰よりもかっこいいと思っていたし、好みのタイプを話すときもあえて外しているつもりはない。次にこの話題が出たときは、かまいたちの濱家みたいな顔が好きだという切り札を最近温めている。
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