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SNSで縮まる友達ブランク

 高校時代の思い出を何も覚えていないよね、という話になった。今年、大学院を卒業するということは、高校を卒業してから7年が経っているというわけで、7年前のことを思い出せと言われれば、記憶が薄いのは妥当かもしれない。SNSというのは、相手との距離を遠くに感じさせることもできるけど、当時は関わりもしなかった高校の友達との距離を7年越しに縮めてもくれる。

 もう実際に会ってくれるような高校の友達は、部活の集まりを除けば1人2人である。友達なんて、当時絡んでいたであろう母数から、それぞれの道を歩んで減少するのが道理なのに、不特定多数という名の少数に向けたストーリーに1度も話したことのない旧友から反応があり、それなりに話が弾んでいるから不思議である。7年前に仲良くしていた人と、どんな風に呼び合っていたかも忘れているんだから、名前と部活だけ知ってるくらいの人の方が話しやすくなっている。

「なんかうちの高校は異質を嫌う風潮があったよね」
「わかる、多数派が主導権を握ってたね」
「体裁作ってたからあんま覚えてないのかも」
「多感な時期だったから周り気にしてたのかもね」
「なんか世界狭かったよね」

 彼も去年、大学院を卒業した写真を投稿していた。それで共感してDMをくれたみたいだ。宛先を間違えたのが嘘か本当か知らないが、かれこれ1週間弱やりとりがスムーズである。対面して話したことは1度もない。顔と名前と部活は分かるが、声は知らない。身長は高かった気がする。彼と私の間に共通の友人が思い浮かばない。こちらとしてはパートナーもいませんし、正直会ってやっても良いぞとか思っているが、それじゃあキモい院生丸出しなので、このまま飽きるまで続けてみようと思う。

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