ズボンの中にポップコーンが入ってた日


カラオケ行こ!という映画を見てきた。

野木さんが脚本の割にはちょっと会話のテンポが悪い気がするなぁ(原作のテンポ感には敵わないな)とか、あのシーン描かないんだぁとか、聡実くんの語りが常時入ってもよかったのになぁとか、でも綾野剛のカラオケ行こ!の声ゾクゾクするほどカッコよかったな、とか。

なんだかんだ思いながら尿を足そうとしたその瞬間。


ズボンとパンツの狭間にポップコーンがあるではありませんか。


さっきまで散々目にしていたポップコーンが非日常を感じさせる存在に変わったのだ。


私はベルトをしっかりと閉めたズボンを履いていた。なのに何故。何故。

何故、ズボンとパンティーの狭間にお前らがいるんだ?つまりどういうことだ?
私は初めてポップコーンを見て困惑した。

ズボンの黒にポップコーンの黄ばんだ白。
ここまで存在感のあるポップコーンを見たことがない。ポップコーンなんて群れるものだろ。なんで被写体みたいになってんだよ。  

この世にポップコーンの種として生を受け、産まれ弾けるその日まで静寂を突き通す。そしていざ弾けた時の爆発力とエネルギッシュさと言ったらもう、まさに産まれながらにしてのエンターテイナーだ。

命尽きるその前に、産まれた時以上のデッカいことをやって生きた証を残す。


……ちょっとカッコいいじゃねぇかよ。


私はそのポップコーンを何も言わずに食べた。
なんだかいつもより、しょっぱく感じた。

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