もうすぐ両親が、父のふるさと、台湾へ渡る。しばらくは台湾を生活拠点にする。

思えばあまりあれしなさい、これしなさいと言われたことのない人生だった。
両親には、自分と子どもはまったく別の人間だとして尊重している感覚があるのだと思う。
早く帰ってきてね、時間は守ってね、ひとに迷惑はかけちゃいけないんだよ、とは言われる。だが、進路や就職についてとやかく言わない。

何も言わずに持たせてくれるコーヒーやお弁当、毎日の送り迎えで応援されていることは感じていた。
幼いころは毎日全力で大人気なく遊んでくれた。
高校受験に失敗したときは、駅で一緒に大泣きしてくれた。
前の会社が辛くて精神的に参っていたときにすぐに休んでいいんだよ、頼りなさいと言葉をくれた。ふざけたフリをして電話をたくさんかけてくれた。
彼氏と一緒に食事をしたときに、私たち2人を信頼して結婚や今後のことについて触れずにいてくれた。

大層な言葉はなくたって、尊敬と信頼をもって大切に大切に育てられたのだな、ともうすぐ日本からいなくなるときにひしひしと実感するのだ。

カラオケに行ったり喫茶店でおしゃべりしたり、散歩したり、という日々が当たり前でなくなるのは寂しいけれど
どれだけ恩返しができるのかまったく目処は立っていないけれど

まずは2人からいただいた愛情と尊敬と信頼を、私の周りの大切なひとに注ぎたい。
それが、いつか巡り巡って2人に帰ってほしいとと願うのです。

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