解説:Fabfilter ProQ3(デジタルEQ)

解説:Fabfilter ProQ3(デジタルEQ)
七輝@bx_7min

お気に入り度:10
価格:15000円くらいーFab公式サイトで持ってる製品分追加割引(2022年)

まず、インサートしただけで音が変わるのはだいぶ知られてきた。
それは良い変化とも悪い変化とも取れるような変化で、

俺のイメージだと、音がピシッとしてほんの少し立体感や解像度が落ちるような感じ。
(ゼロレイテンシーモードの場合)

このゼロレイテンシーモードがいかに優れているか書きます。

対抗馬としてデジタルEQとしてはClaroやキルヒホッフEQという高性能なものもでてきた。

ただ、ProQ3の場合、俺はProQ3独特の音質がトラック処理に向いていると思ったので、
結局メインウェポンとして利用し続けている。

基本的にゼロレイテンシーモード。
ジャスティンビーバーのエンジニアjosh gudwinが、
ゼロレイテンシーモードでトラックやボーカルバスに刺してることが多かったのと、
実際ゼロレイテンシーモードは音のスピード感というか、
音の立ち上がりや終わりが鈍らない感じが良い。

逆にナチュラルフェイズやリニアフェイズは使えないのか?
という点においては。

実際ゼロレイテンシーモードはほんの少し解像度の落ちる感じがあるので、
ナチュラルフェイズでマスターやバスに挿す場合もある。

リニアフェイズはなんか違和感があるので俺は使わない。
先ほどの音のスピード感かなあ。
ナチュラルフェイズは許せる。

逆に、解像度が少しシンプルになる、ピシッとした感じがよくて
あえてマスターバスに使うというアイデアも有効。
マーシャルマキシマイザーみたいなスピード感のあるタイトなエレクトロ曲とか合いそう。

ただ世界トップレベルの曲でマスターバスにProQ3挿してるエンジニアは見たことない。
(逆にトラックには非常によく使われている)

あとダイナミックEQがあまりにも使いやすすぎる。
オゾンアドバンスを持っていれば、ダイナミックEQを単体エフェクトで使用できるが、
ProQ3とはだいぶかかり方が違う。

オゾンのダイナミックEQは大好きでバスやマスターで使うのだけど、
トラックにはしっかり音の膨らみをスマートに抑えられるProQ3のダイナミックEQが
非常にしっくりくる。

あとProQ3はClaroとかより軽いので、
たくさん刺した時にプロジェクト全体が重くならないのも良い。

あとめちゃくちゃ見やすい。ProQ3。

余談だけれど、AOMのtranquilizrG2は面白いデジタルEQで、
Claro,キルヒホッフ,ProQ3とは少し傾向の違うカッチリさを感じる。

音がスカスカしないというか、密度を保ったままブーストやカットする印象だった気がする。

ボーカルバスでハイのブーストとか気持ちよかったので、
今は使ってないのだけど、tranquilizrG2はいつかまた使ってみたいかも。

ちなみにオートゲイン機能があるが、トラック処理では基本使いません。
減るものがちゃんと減った感じを得られないので。

マスターとかならオートゲインありかもね。

あと地味に自分が気に入っている裏技として、

リバーブにProQ3がとても合う。
これもゼロレイテンシーモード。

Logic付属のチャンネルEQを使うことも非常に多いのだけれど、
カットやブーストの感じが少し荒いので、
リバーブに対しては、ProQ3の方が相性がいい。

また、ProQ3ゼロレイテンシーモードのスピード感のある音が
リバーブのタイム感を損なわなくて良い。

KINGの歌ってみたmixにレキシコン480Lリバーブの後ろに刺して、
ローカットとハイブーストしたときはマジで音が気持ち良くハマった。

MS処理もけっこう使える。普通に良い。
あとローシェルフカットも良い。ボーカルバスで最後にローシェルフでモヤ取りしたりする。
というかローカット・ハイカットの質が非常に良い。
今更だけど、ProQ3は本当にブーストや削れ具合といったかかり具合が
トラック処理を絶妙な感覚にフィットしてやってくれる。

Claroは音自体は綺麗なんですけど、
カーブというか削れ具合がややオゾンのデジEQに近かった印象ですね。
ゆるく削れるというか、「そこいらん!ズサ!」てしたいところを、ぬるっと削っちゃうので中途半端なんですよね。

EDMのプロのプロジェクトで、うまくローパスとハイパスフィルターを使って
100hzや16000hzでフィルターして、絶妙に無駄な音圧をカットしていたりしていた。
(16000hz〜のハイエンドは無闇に切って良いものじゃないけど、
EDMなどトラックを何個もレイヤーする場合は、チリツモで無駄な音圧・音領域を食うことを考えての処理だった)

ただローカットはProQ3だけじゃなく、コンソール系プラグインなどでやるのもナチュラルで良い。
(bx_console4000Eなど)
ProQ3のローカットとコンソール系のローカットは
コンソール系のローカットとProQ3のローカットには明らかな違いを感じる。
plugindoctorで解析すると普通にコンソール系の方が緩くかかるようになっているが
基本的に俺は「耳で変化を感じられたら重要、感じなかったらどうでもいい」
と考えているので、耳で変化を感じており、それが有効な差だと思うので、
コンソール系ローカットは良いと思う。

じゃあどう使い分けるかというと、
・コンソール系の味がついても構わなくて、
立体感を重視する場合は、コンソール系のローカットを使用する。

という考えでやってる。

またハイカットも同様。
ただしコンソール系はナチュラルに切れるようになるので、
特にハイカットは緩く音楽的に掛かるようになっている。

ちなみにbx console4000Eはデフォルトで16hzと22000hzのフィルターが入り
無駄なローエンドとハイエンドの底、天井を取り除くようになっている。
(あえて使わない場合もある)

追記:7/12/22
キルヒホッフEQ試したんですけど、カーブを選べるのはいいですね。
SSLEやGのEQデジタル版と考えて使えるのは嬉しいです。
また細かくモードで音質を最適化できるのもいいですね。
けどProQ3の完全上位互換ということもないかなと。
ProQ3はそれはそれでやはり使いやすい音質・カットをもってるな〜って感じです。
使い分けでいいと思います。

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