私自身の定点観測
自分自身の定点観測、してますか?
私の場合は「毎年同じ日に同じ本を読む」で自分自身の定点観測をして居ます。
同じ本です。
何回読んでも内容は変わりません。
けれど、一年前或いは五年前と比べて、本の受け取り方に差が出ます。
これを、私自身は「定点観測」と呼んでます。
定点観測日は、11/9。つまり今日です。
私が定点観測の為に毎年読み直しているのは、岩松了さんの『青い瞳』です。
シアター・コクーンの為に書き下ろされた戯曲で、その初演を観ました。初演を観た日が11/9日だったので、この日を定点観測日に定めています。
元々、上田竜也さんの舞台を観たくて、チケットを取りましたが、この舞台は一度で理解するのが難しいな、と感じました。
出来ることならば、初演キャストでもう一度、別キャストでもう一度、十年後、初演キャストでもう一度観たいなと思ったのが、何度もこの本を読み直すきっかけでした。
上田さんは、テレビドラマよりも演劇の舞台が向いている方だと思いますが(古川日出男の『冬眠する熊に添い寝してごらん』も、上田さんの最後の台詞が本当に凄かった。『After Life』は最初から最後まで泣きっぱなしだった)、この『青い瞳』もずっと、その時の上田さんの発声のトーンで覚えている位、見事にハマっていたと思います。
今は、私は旧ジャニの方は見に行かないようにしようとしていますが、それがなければ、上田さんの舞台はいろいろ観たいですね。とても良い俳優さんだと思いますので、演劇がお好きな方で、旧ジャニの諸々に抵抗がない方は、是非ともご覧になってくださいまし。
さて、定点観測に戻ります。
あの舞台をあのキャストでもう一度観たいな……と思いつつ、そのキャストが成立しても、私は、前述のとおりチケットを取りません。
ここは、一年前と変わったところです。
『戦争』の足音がなぜか近くなったように感じる昨今で、『帰還兵』の話という『青い瞳』の物語は、一年前よりも、なお重々しく内容が胸に迫ってきます。
「人の憶測どおりの人間になっていくことが社会に参加すること」という言葉は、今まではひっかからず、今年の私が引っかかった言葉でした。
そして、また、上田さんの発声であの台詞を思い出します。
「兄さんは忘れてたんじゃないのか? ここが戦場だってことをさ……」