しあわせ家族


ごく一般的な家庭に生まれたつもりだった。一般的に不自由の無い生活の筈だった。そう思い込んでいた方が幸せだった。気付いた時に親との関係,周りの人との関係は終わりを告げようとしていた。中学の頃の部活でイザコザがあった,問題はとても小さな事から始まり,私は失明寸前の怪我を負い部活を辞める事でこの事件は収まった。私の素敵な未来像はこの日を皮切りに崩壊を始めた。部活に行けば毎日バックを捨てられたり殴られたりなどの嫌がらせを受けていた。他の部員はそれを見て見ないフリをして黙りを決め込んでいた。そんな環境に耐えきれなくて次第に私は幽霊部員と化し,親に知られると絶対大事になると思って内緒で本来部活動に勤しんでいるべき時間を隣町の図書館等で過ごした。でもそんな生活は長くは続かず,親にバレてしまった。叱責はいつも暴行と共に私を追い詰めた。それでも部活には行きたくなく,親の意思に反抗した。また痛い目に合うなんて思ってもいなかった。私はこの環境からの脱却を渇望し親にS.O.Sの知らせとしてこの行為の真意が伝わるかと思ったが望みは儚く散り去った。言葉1つ,身動き1つ間違えてしまったら今度はどうやって殴られるんだろう?どうやって怒鳴られるんだろう?何を人質に脅されるんだろう?母親の金切り声は何デシベルでこの家を駆け回るのだろう?そんな事ばかり考え恐怖に怯えながら過ごす日々は親と縁を切るまで続くのだろうと思う。
ある日ふと母親に『あんた何か産まなければよかった』と言われた。冗談のつもりで適当に応えたら『親にそう言わせる程の事をしたってアンタは悲しくならないの!?』との旨を叫ばれた。此処に居る限り私はずっと加害者なのだ

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