応援してくださる皆様へご報告

2018年以降に当時の所属声優事務所から引き受けていた一部の業務について生じ、2019年8月頃より協議等を続けていた法的な諸問題について、この度、対外的なご報告が未了だった部分も含め、私の責任として現時点でできることについては、ひとまず全ての対応が終了しましたので、略儀ではありますが、その旨をここにご報告させていたただきます。

なお、これまで実施してきた対応の内容(時系列には約3年間に亘りました)としては、当時の所属声優事務所との間で生じていた未払い報酬の一部解消や、関係者や第三者による虚偽の事実の流布ならびに誹謗中傷への各種対応を含みます。

また、一連の経験から、声優という仕事が、業界や所属声優事務所の事情、アンバランスな契約関係などが理由で、労働法制の保護が受けられず、当事者だけでは必ずしも妥当な解決を目指すことが難しいことを痛感し、今後、私と同じような経験をする人を少しでも減らすにはどうすれば良いかを弁護士さんとも相談し、上記の対応に加え、当時の所属声優事務所との間で締結されていた役務提供契約に係る内容について、然るべき機関への申告も実施いたしました。

いずれも、私自身ができる対応はすでに終了していることなど諸事情を踏まえ、詳細への言及は控えさせていただきます(対応に至る経緯等につきましては、後記の小野田峻先生の補足をお読みください)。

この業界から生み出される作品に多くの希望をもらってきた一人として、業界の健全な発展を切に願っております。

最後に、改めて、本件に関連してお心配り下さった皆様、ご尽力くださった代理人弁護士の小野田峻先生には、深く感謝申し上げます。

2022.12.23
江口 菜子


江口菜子氏を応援してくださっている皆様

江口氏の代理人弁護士の立場から少し補足をさせていただくと、これまでの各種法的対応の実施や、今回の皆様へのご報告は、そこに至る経緯において以下の事情を前提としています。

  • 江口氏の当時の所属声優事務所が、当初から私(代理人弁護士)の同席のもとでの協議を拒否したことで、江口氏が退所以外に解決に向けた方途がない状況に置かれ、その後の代理人間でのやりとりにおいても、同事務所が、事実関係や江口氏の主張に何ら向き合うことなく、かえって形式的あるいは不合理な自社都合の対応に終始したこと(なお、当該やりとりは、事案の性質上、様々な法的事項の調査確認や関係各社との協議等と併行しながらの作業とならざるを得なかったため、時系列としては約3年間に亘りました。この間、所属声優事務所以外の関係各社は、一社を除いて、当職からの各種調査要請等に応じるとともに、江口氏への謝罪や未払い報酬等の支払いを実施しており、また、要請や支払いに応じなかった残る一社についても、訴訟手続き(不当利得返還等請求訴訟)において、様々な事情が新たに明らかになるとともに、支払いを認める判決がなされ、これが確定しております。)。

  • 上記のように、当時の所属声優事務所が、長期に亘って法的な諸問題の解決や原因究明等に向き合わないという事態は、声優の大多数が、法的性質の曖昧な「専属」という、対等な立場では声を上げにくく、また、雇用形態ではないがゆえに法的に弱い立場にあり、労働法制の保護を受けられないなど、一般社会の労働環境とは異なる環境、あるいは不公平な関係性に置かれていることを併せて考慮すると、再発防止や業界の自浄作用に繋がらないと評価せざるを得ないこと(ゆえに、下請法の規定に照らした外部からのチェック作業が必要であること。)。

以上の事情に加え、応援してくださっている皆様への説明責任、ネット上の誤った情報の払拭、及び、業界の健全な発展が、今回のご報告に至った趣旨ですので、特定の法人や個人を糾弾する趣旨ではないことをご理解いただくとともに、本件や江口氏に関して、推測や憶測に基づく発信や誹謗中傷等は厳にお控えくださいますよう、お願い申し上げます。

2022.12.23
小野田髙砂法律事務所
代表弁護士 小野田 峻


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