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ルームシェア計画をしたら、女装子の夫ができた~結婚編3

 気づいたら、3月。引っ越しをした吉屋です。ええ。ついに、ナナオちゃんとの同居開始…! 引っ越し編は別途書く予定なのでお待ちください。しれっと予告してみたりして。

 今回は、この入籍計画を話したとき、まわりの反応が意外なものだったり、「あー、やっぱりそういう風に思うよね」と予想通りのもの、思わぬ波乱など様々だったので、書こうと思います。ディープな話もないので、まるっと無料。軽ーく読んでください。完全ノンフィクションではないので、あしからず。

反応1:驚きからの納得

 最初に入籍計画を話したのは、姉。ナナオちゃんと会ったこともあるし、家族内ですべてを知っている人がいてほしいなあと思ったのと、親に対してどう説明すればスムーズに進むかを相談したかった。

 計画が爆誕してから、数日後にはもう話すという謎の行動力。自分でも本当なのか半信半疑で、言葉にすることで実際、起こっていることだと確認したかったのかもしれない。

 サイゼリアで飲みながら、タイミングを見計らい「あのさー話があるんだ」と切り出す。
「何?」
「実は、ナナオちゃんと入籍する話が出てて」
「えええぇぇっ!? あ、実は、つき合って…」
「つき合ってはない。何も変わってない」
「は? つき合ってないの?」
「うん。友達のまま」
「えーと、私の知ってるナナオちゃんと入籍するんだよね?」
「そう」
「つき合っては」
「ない」
「……」
 姉の顔に大きな「?」マークが見える。そりゃそうよ。つき合ってないのに、入籍って意味不明なのよ。イチから説明開始。
「はぁぁぁ、なるほどねー。えーおもしろい。え、でも、ナナオちゃんと2人じゃなくって、ルームシェアなの?」
「その予定。でも、基本2人で払える範囲の家賃にして、誰か加わりたい人がいたら、それもありって感じが現実的かなあと思ってる」
「うんうん。そのほうがいいよ。じゃないと、ルームシェアしてる人に恋人ができて、同棲とか結婚するときに困るもん」
「いや、だよね。そうなのよ。私とナナオちゃんは、結婚に関して願望ないし、しないものだと思ってたからいいけど。少なからず、恋愛とか結婚したい気持ちがあるなら、ルームシェアはやめたほうがその子のためにもいいと思うし。だって、いい感じの人ができて、その人と急に部屋飲みしようって話になったとき、せっかくのチャンスなのに許可っていうか連絡が必要になるじゃん」
「しかも、異性でしょ。え、何で?って思う人もいるだろうしね」
 その後は「はーそういうのもありだよね。セヨらしい気がする」とか「いやーいいじゃん。ナナオちゃんとか」と言いまくり、ふと、真顔になって、私の顔をじっと見てきた。
「え、何?」
「すぐ言えなくてごめんね。おめでとう! 私はすごくいいと思う」
 おめでとう? 何が?と思ったのは内緒。ちょっと間があって、ああ、入籍のことか!と気づくって、どういうこっちゃ。でも、それくらいおめでたいことではなく、あくまで「どうしたら、ルームシェアをスムーズにかつ、安心して行えるか」を考えた末の手段に過ぎなかった。

 姉をはじめ、私を知る友達は概ねこの「驚きからの納得」反応だった。そして、もれなく「つきあってたの?→つきあってない。おめでとう→おめでとうと言ってもらっていいのかどうか…」というやり取りを繰り返す。

反応2:まさかのいい話!

 続いての反応は姉友達。私はもちろん、姉も予想外の「感動話」に変換されてた。恋愛でも家庭を作るためでもない超打算的な入籍計画を、なぜか絶賛していたという。
「えーいい話じゃーん!」
「恋愛じゃなくても、お互いに必要だと思う部分があって、結婚するんだから。むしろ恋愛マジックにかかってない分、ちゃんと考えた結果だろうし。ちょっと感動した」
 姉からこの反応を聞いたとき、ポカーンとなったのは言うまでもない。何なら既婚者が多いし、みんなちゃんとしてる人たちばかりだったので、「まったく、セヨちゃんはそんなことばかり言って! もっときちんと考えないと」くらいは言われるかなと思っていた。
 それが、まさかまさかのもろ手を挙げて大賛成。「いい話」の連呼。そんなバカな。
 いや、我ながら面白い話だとは思ってる。うん。こういう結婚があったっていいじゃん。全員がこんなんじゃ困るけど、たまにはいいでしょ。でも、いい話とは断じて思ってなかった。ましてや感動されるなんて。おもしろい時代だ。

 さらに「結婚なんて、絶対したくない!」と拒否を通り越して、嫌悪感バリバリの姉友達のお嬢さんに「大丈夫。こういう結婚もあるから!」とうちらの話をしたそうな。そういう意味での例に出されるとは、びっくり。個人的には結婚拒否の気持ちも十分わかるから、そのまま拒否を貫いていいし、これからはもっと様々な幸せや生活のあり方になっていくんだろう。いや、そうなっていってほしい。

反応3:賛成だけど……

 そして、予想通りというか、むしろ、こういう反応がほとんどだろうなと思っていた。とりあえずは、賛成だけど色々疑問、ちょっとした反感が見え隠れするもの。

主に聞かれたことは、こちら。

「入籍した後で、本当に好きな人に出会ったらどうするの!?」
「介護する覚悟あるの?」
「親とのつき合いはどうする気?」
「同居人だよね。それで、自分は別れたよ」
「愛はあるんですか!?」

 しごく真っ当な疑問なんだけど、これって、結婚制度そのものに関わることだよね。

 恋愛した結果入籍しても、不倫で離婚することもある。そもそも、本当に好きな人の定義って何なのか。誰のことを「本当に、一番好きだったか」なんて死ぬ間際じゃないとわからなくないか。みんなが結婚当初から「将来、介護するぜ!」と覚悟と準備をしているとも思えないし、その場面になったら調べまくって、使えるサービスをすべて使ってどうにかするしかないよね。お互いの親とのつき合いにしたって、打算結婚じゃなければスムーズにいくのかというと、そうではない。
 はい、同居人ですが、何か。むしろそれが希望。でも、これはお互いに一致していて、初めて成り立つもの。別れたのは、相手が「同居人ではなく、ちゃんと家族になりたい」と願っていたからでは?と思う。最後の愛うんぬんについては、「CMか!」とのツッコミで終了とさせていただいた。

 恋愛だろうが見合いだろうが、結婚にまつわる不安や疑問、トラブルは変わらない。ただ、このルームシェアを目的とした入籍で違うのは、「外で恋愛するのはOK」ってことくらい。もちろん恋愛すれば、その相手と結婚したい!と思うのは自然なことなので離婚となるけれど、そのための準備期間は設定することにした。

 こういう結婚がうまくいくかはわからない。言っちゃえば、実験だ。長い間、ひとりで暮らしてきた者同士、もめて当然。もめないわけがない。でも、どういう感情であれ、心が波立つのはストレスにもなるだろうけど、いい刺激にもなってくれる…かもしれない。

 何せ、愛とか幸せとか崇高な要素は皆無なので、お互い、ひとりのときよりもほんのちょっとでも負担が減れば、不安が軽くなれば大ラッキー。そんなスタンスがちょうどいいのかな、と思う次第。


番外編:苦難を乗り越えたんだね。ホロリ…という誤解

 最後に、私が送った写真つきのLINEのせいで、大きな誤解を生み悩ませた話を(笑)

 入籍計画は友達に一斉お知らせしたわけではなくて、直接会って話したほうがいいと思う人や割と会いやすい人にはLINEやメールでは知らせず、中々、会えない人の方が早めにLINEで知らせていた。

 そう。知らせてない人と知らせた人、ナナオちゃんの話をしてた人してなかった人が混同! で、うっかり、入籍どころか、ナナオちゃんのことも話していなかった友達Yちゃんに、写真つきでメッセージを送ってしまったのだ。

「指輪まで買っちゃった(笑)」

 指輪? ええ。結婚指輪。親戚とか公的な場で不自然にならないためのものなので、めちゃくちゃ安くシンプルなやつ。でも、一応、ペアリング。そりゃね、結婚指輪だからね。しかも、ナナオちゃんは可愛いブラウス、私は普通のシャツで、手元しか写ってないペアリングしてる写真。

 おさらいです。
 Yちゃんは、入籍もナナオちゃんのことも知らない状況。

「指輪? お姉さんとペアなのかな?」
「えー違うよ。ナナオちゃんとだよ。左の可愛いブラウスがナナオちゃんね。入籍するから、一応、必要かなと思って」
「えっ! 入籍するの? おめでとう!!!!」

 はい。ここで、ようやく気づきました。Yちゃんに入籍話、してなかったことに。やべ~とは思ったものの、でも、まあ話そうと思ってたから、いっかとお気楽。ちなみに、ナナオちゃんのことも話してなかったことにはまだ気づいてません。気づいてー。

「あれ、話したと思ってた。ごめーん。まだ具体的には決まってないし、そんな、おめでとうと言ってもらっていいかわからないんだけどね」
「そうなの? でも、おめでとうだよー」

 ナナオちゃんが女装子さんだと知らないYちゃんの中では、このとき、ナナオちゃんは完全に女性で、「おめでとうと言ってもらっていいかわからない」という私の言葉により、さらに誤解を深めていく。そうでしょうね。

「あー、セヨちゃんは同性婚をするのか。平手さん好きだし、なるほど。今はパートナーシップもあるし。でも、入籍って? もうできるようになったんだっけ。あんまり聞いたりしないほうがいいかな。色々あったんだろうな」

 そう思い悩んだYちゃんは、私とオタ仲間として交流がある自分の娘さんに相談したそうな。彼女は「パートナーシップは入籍と同じなんでしょ。そういうことだよ。何も聞かず、お祝いしてあげればいいじゃん」と言ってくれていたとか。誤解が広がっていってる!

 この誤解がとけたのは、つい最近。
 直接、謝ったけど、改めて、ごめーーーーん!!!!!(ここで謝るな)

 Yちゃんにいきさつを説明し、誤解があったことが判明したとき、何で、ナナオちゃんのことを話してたと思ったんだろう。話してないなんて、微塵も思わなかったことが自分でも不思議だった。
 Yちゃんに「ナナオちゃんのことを話すのが普通で、可愛いブラウスがナナオちゃん!と気にせず送るくらい、当たり前なんだろうね」と言われて、ああ、そういうことかと腑に落ちた。

 Yちゃんが「中々できない経験をさせてもらったよー。二重に驚けて、おもしろかった!」と笑ってくれて、よかった。今後10年は、Yちゃんにこのネタでイジられても仕方ない。いや、何ならイジり続けて、漫談ネタとして昇華していきたい。

 今回は以上でーす。


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