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ルームシェア計画をしたら、女装子の夫ができたー結婚編1

 2022年12月31日、結婚願望ゼロの私がなぜか入籍しました。
 自分のことながら「人生って何があるかわからん、面白いなあ」と思ったので、こんなの書くしかないでしょう。

 と言っても、すべてがノンフィクションではなく、ところどころフェイクも入れていきます。フィクションなのかどうかは、読んだ人の感じるままにお任せします。
 「こんなこと、現実にあるわけないじゃん」と思ったら、結婚ファンタジー小説として、「でも…ひょっとして、あるのかも?」と感じたら、ノンフィクション風エッセイとして楽しんでいたければ幸いです。1回でまとめるのはしんどいので、連載にします。多分、月1、いや隔月かも、不定期な感じになるかと思います。

10年来の友達、ナナオちゃん

 まずは人物紹介をしていこうと思う。
 私、セヨは40代、年女。冒頭にも書いたけれど、子どもの頃から結婚願望皆無。結婚生活そのものだけでなく、結婚式やウエディングドレス、指輪に憧れた記憶もなし。もちろん、親戚や友達の結婚式に出席して綺麗なドレス、タキシードを着て幸せそうな新郎新婦を見ると「わ~綺麗だなあ」とは思うし、ちょっとおしゃれをしていつもと違う料理を食べるハレの日はうれしく楽しい。でも、「いつか、私も…」と憧れを抱くことはなかった。
 かといって「結婚制度、反対!」などのこだわりがあるわけでもなく、ひたすら「無」だった。何なら相手があって初めて成立することを、その相手がいない状態で欲する心境がわからず。今もわからない。それって「ピアノ弾いたことないけど、ピアニストになりたい」と言っているように感じる。ちょっと違うのかな。どうなんだろう。

 そして、そんな私と入籍することになった相手は2才上のナナオちゃんだ。本名ではないので、あしからず。

 約10年前、飲み友達のシズクちゃんによってグループに引きずり込まれたナナオちゃんの初対面は女性浴衣姿。とても美しく着付けをしていて、スッと伸びた背筋や何でもない所作が堂に入っていて、見事だった。その浴衣会から始まり、数カ月後には旅行に参加するほど倍速で馴染んでくれた。
 シズクちゃんとナナオちゃんは新宿にあった某女装バーの常連だったものの、面識はなかったそう。ママさんが「気が合うと思うから、遊びなさい!」と仲介してくれたらしい。自分の力や行動だけじゃどうにもならない流れ、縁とか巡り合わせってあるんだなあとしみじみ思う次第。ちなみに、ノーマル女性を「純女(じゅんめ)」と呼ぶことを初めて知った。まだまだ知らないことばかり。

 季節の行事大好きグループなので、新年会、花見、ゴールデンウィークのロリータ会、浴衣会、ハロウィン、クリスマス忘年会などを楽しむのに全力だ。ナナオちゃんの衣装やコスメも借りまくり、何なら、目の前で「キャミソール着てるから、いっか~」と堂々と着替えようとする始末。ナナオちゃんに「まだ着替えるな!」と制止されたのもいい思い出。ホントごめん。

 一応、補足しておくと、ナナオちゃんは女装をしてるけれど、恋愛対象は女性。平日はTシャツにパンツスタイルで、便宜上「ナナオ君」と呼んでいる。「あ、今日はナナオ君なんだね~」みたいな感じだ。

 女装は趣味…それ以上のもので、自分らしくあるために必要な要素なのだろう。それは、私が「文章を書く」ことが自分でいられる要素であり、やめようと思ってもやめられない「業」と同じようなものだと勝手に思っている。

 飲み仲間から一足飛びで入籍…ではない。
 いや、関係的には大差ないけれど、親しくなってから1年経たないくらいには、サシ飲みやお互いコーヒー好きなこともありコーヒーイベントなどに出かけるようになっていた。2人でも遊ぶ友達。その位置のままだった。

発端はルームシェア

 最大10人強の飲み男女グループ。何だか大学生のサークル延長みたいだけど、ほぼ40代後半、一番若くて30代。立派な大人の集まり。
 得てしてこうした飲みグループは結婚や子どもなどの変化によって、自然消滅することが多い。残っても2、3人とかが普通だろうし、私自身、そうなったグループもある。でも、「今」そうなっているだけで、つながりたい気持ちと縁があれば、また人生の岐路が変わって交わると確信がある。離れてしまっても「またね~」くらいな気持ちで、寂しさを感じないのは薄情っちゃあ薄情か。でも、また縁がつながる日を楽しみなんよ。

 無論、うちらのグループも不変ではない。転勤や結婚などで中々会えない人もいるけれど、よく会う顔ぶれは変わらなかった。ちなみにグループには2組のカップルがいるのだが、諸事情で籍は入れておらず、子どももいない。他は独身、私も含めて彼氏彼女なし。

 年齢が年齢なこともあって、若い頃とは違う意味で「みんなで暮らすのアリじゃね?」と話すようになっていった。夢としてはマンション一棟を手に入れて、各自部屋はバラバラ。でも、共有のラウンジなどを作って、そこで毎日安否確認をする。何なら料理上手な男性2人、ナナオちゃんとママんが1階でカフェをやれば収入も…なんて欲深い話が膨らむ。
 そのための第一歩として、考えられるのは「独身チームで住んでみよう」だ。お、だいぶ現実的になってきたじゃん。そう思ったら大間違い。所詮は飲んだ席での与太話。仕事やら日常の雑務、ちょっとした変化に追われて、中々実際には動かない。まあね、そんなものよね。

 「そうなったら面白い」と思う一方で、実際はもう大人…初老に差し掛かった大人たちのルームシェアは敬遠されるだろうし、見るからに怪しいよね。契約とか親をはじめとする周囲への説明を考えると面倒で、腰が上がらない。何より、えいや!でルームシェアを始めて、誰かが「結婚するから出て行く」となったとき、困りそう。前もって、半年前に報告すること!と決めたとしても、何があるかわからない。

 あーどうしたもんか。やっぱり無理か。そう諦めかけたとき、ふと、思ってしまった。契約も周囲への説明も、よほどのことがない限り同居は解消しない約束と意思表示……それらを一発で解消する方法。

 男女いるんだから、籍、入れちゃえばいいんじゃーん!

 え、それって偽装結婚!?って思った方、ご安心を。
 婚姻の義務は民法第752条「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」とある。同居し、お互いに協力するので義務は果たす所存。

 恋愛結婚やお見合いでもないけど、偽装でもない。同居婚? いや、それ単なる結婚だし。何婚がいいんでしょうか。いいのあったら、教えてください。タイトルを変えるかもしれません。

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