いいかげんてむつかしい
昔、大学のゼミの先生に進路相談をしたとき、
「きみ、向いてるの無さそうやね。家庭裁判所の事務官とかどう?」
と無茶振りかつ適当な返しをされたことを、今でもたまに思い出す。
いい加減なところが、他の学生には不評なようだったが、私にはそのいい加減さがちょうど良く、このときも図星すぎて納得してしまった。
このあと、なんとかひとつ内定が出たものの、不安要素を口にする私に、
「なんでOKしちゃったのー?笑」
とこれまたド直球を投げられ、またまた納得してしまった。
そのまま就職し、退職し、専門学校の推薦書をお願いしたときも、就職の報告に行ったときも、そのままを受け止めてくれる。(深入りは決してしないけれど。)
私は何ごとにも、早く結論を出さなければと焦るクセがあり、その都度立ち止まってその言葉の意味を考えるということを飛ばしがちになる。
20代前半の頃は特に、立ち止まらず流れに乗っていかなければという強迫観念のような不安とともに、とにかくやり散らかしていたと思うし、いい加減なこともしていたと自分では思う。
大学を出てすぐに勤めた先の、退職理由を問われる機会が何度かあり、答えるたびに、
「真面目やね!笑」
と言われ、少しムッとしていた。
それが、立ち止まることが多少出来るようになり、自分でも不思議なくらいに、
「あれ?もしかしてわたしってクソ真面目にクソ真面目の上書きしてるようなクソ真面目?」
というクソみたいな思考にたどり着くことが、最近よくある。
凝り固まった頭が、少しずつ少しずつ解けていっている気はする。
今日も、ふと思い出す。
辞めたいと思いながらも毎日吐いて吐いて、専門誌の編集長を長年勤めた、クソ真面目でいい加減な先生のことを。
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