うつ病入院歴あり社畜OLが地下アイドルに救われて一年間走り続けたはなし
【?周目/火曜日/夏子/あくお/透子/逃子】
名乗る名前がありすぎる。
きのホ。(kinopo)という趣のある()寮で共同生活をしている、京都を中心に活動する5人組の女性アイドルグループにハマって、約1年が経つ。
1年の区切りに何か書こうとは常々思っていたが、 #きのポの推しどころ という企画が始まったので、折角だからと書きがてらこの機会に3年前に更新が止まった交換日記も更新することにした。
(勢いで書いてるから口語と文語が入り乱れてるし取り止めもない)(後で直す)
所詮は #きのポの推しどころ に託けて1年単位の日記を書いているだけだし、ツイートではないから #きのポの推しどころ のレギュレーションに違反してる自覚もあるので、何かを期待して読まない方がいいよとあらかじめ伝えておきたい。きのホ。の推しどころもそんなに書けてない。
これはたぶん、きっと、そう。一人のなんでもない人間が、好きなアイドルを通じて人生と向き合うだけの日記なのだから。
きのホ。と私の出会いは、2022年8月7日に開催されたTOKYO IDOL FESTIVAL 2022 だった。
『TOKYO IDOL FESTIVAL』通常TIFとは、2010年(平成22年)より開催されている、女性アイドルを中心に多数のアイドル/アイドルグループが出演する日本最大級のアイドルイベントのことだ。
新型コロナウィルスの流行に伴い、開催を中止されていた本イベントが約3年ぶりに夏開催復帰を遂げたこの2022年、私にとってもこのイベントは大きな意味を持っていた。
以下は私にまつわることなので読む必要はない部分である。部分的にフェイクを入れている箇所があるかてについてもあらかじめ記しておく。
☝︎これを読み飛ばした人のために説明すると、私が自身を取り巻くトラブルが原因で2022年の頭にうつ病になり入院をした、ということが長々と書いてある。
入院することにはなったが、入院したことでかなり思考がクリアになり、退院して少ししてから復職して半日でも働くうちにだんだん心身の調子が良くなっていって、買い物などのために短時間の外出をするようになり、友達に誘われて旅行に出掛けてそれを楽しいと思えたりと半年かけて少しずつ自分の足で立っていけるようになった。
しかし、完全にうつ病以前のようになることはできず、また、集中力と感性が戻っていないためか、これまでのように何かを好きとか何かに夢中になることはなかったのである。
そんな中、うつ病からの緩やかな回復状態にあった私が、自分の意思で行きたいと思えたのが、2022年の8月に開催された、TOKYO IDOL FESTIVALだつわた。
元々、仕事でうまくいかない辛い時期にBiSHというアイドルグループとその楽曲に支えられていた私は、アイドルが好きなこともあり、BiSHは出演していないものの、頑張るアイドルたちを見て元気をもらえたらなと思い大学時代からの友人を誘ってTIFのチケットを取った。
3日間開催されるTIFのなかで8/7のチケットを取ったのはなんとなくで、強いて言えば同行してくれた友人が前田敦子さんがいた頃のAKB48のオタクで、その上数年前に一緒に泊まり込みでプロデュース48を全話鑑賞したことがあり、48グループが多くその日に出演していたからだったと思う。
そして迎えた8/7当日、半年前まで10分と立っていることができなかった身からすると危機感を覚えるほど、晴れた暑い日こと。
無事会場で落ち合うことのできた私たちだったが、そこで、48グループの多くが出演するHOT STAGEなる屋内のステージがどうやら入場するまでの列が凄すぎて、生半可な覚悟では中に入ることができないらしいということを知り、早々と諦めて気ままに色んなステージをまわるという戦法に切り替えることとなる。
なんとなくこのグループは見たいな、というグループを抑えながら、暑さゆえにかなり長い休憩も挟みながら、音楽がなる方にふらふら近づいて通りがかったステージを見るなどしていた私たちは、日差しが強くなった13時過ぎに、青海臨時駐車場に造られたDREAM STAGEに辿り着いた。インドア派のオタク人間二人にとってアスファルトの上は暑すぎて、やがて暑さに耐えかねて端っこの方にあったテントに避難し、二人で遠くにステージを見ていた。
やがて、暑かったしもう疲れていたけど、どこを歩いてもアイドルの楽曲が聞こえてくることや、オタクたちが楽しそうに闊歩している様子などからフェス楽しいね、どのグループもすごく良いね、と話していた私たちの会話を遮るように次の出演グループを紹介するアナウンスと音楽が流れて。
そして、ステージに現れた6人組のアイドルグループが、私がそこから1年追いかけるようになる、「きのホ。」だった。
印象的な楽曲、安定した歌声、全力のパフォーマンス、衣装やダンスで使う扇子から感じる和のテイスト、メンバーそれぞれの個性、そして、ステージから感じる、熱意と熱量。一つ一つの要素がどれも良くて、思わず魅入っていたが、何曲か聴き終わった後で隣にいた友達と「このグループすごいね、もっとステージの近くで見よう!」と言い合って歩み出した次の瞬間、きのホ。の出番は終わってしまった。
でも、彼女たちがステージから降りてもなお、私たちの心はきのホ。に惹かれたままだった。
何が、そんなに私たちの心を惹きつけたのだろうか、と今でも考える。
考えて考えて、決定的な何かが分からないからいつも「運命」という言葉を使ってしまうけど、あの時感じたことは今も覚えている。
まずは、きのホ。のメンバーのキャラクター性について。昔よく読んだ、「漫画の描き方」みたいな本で、「キャラクターを作る時はシルエットで判断できるように造形すること」という記載を目にしたことがある。
きのホ。はそういう、外の人間が見てすぐにメンバーの見分けがつくこと、個性や特徴がわかることが凄いなと思う。
前述したようにかなり後方からステージを見ていたのだが、それでも、「メンバーカラー赤の子は黄色いインナーカラーをしていて、元気な印象で、関西弁を話して、声が伸びやかな子」「メンバーカラー青の子は黒髪ロングの綺麗な子で、歌い方が可愛くて特徴的な子」「メンバーカラーオレンジの子は、オレンジの髪をお団子にしていて、ダンスがすごく上手な子」「メンバーカラー緑の子は、黒髪ボブで緑のカチューシャをしていて、歌の表現力が高くて笑顔が可愛い子」「メンバーカラーピンクの子は、ピンクの髪の毛をハーフツインにしていて、大切にされてきたギターみたいな、ハスキーで印象的な歌声の子」「メンバーカラー紫の子は、ビジュアル担当なんだろうな思わせるビジュアルの高さと、すぐにビジュアル担当と思ったのは偏見だ、と理解させるパフォーマンスの高さと熱量が印象的な子」という具合に、名前こそまだ覚えてなくても、一回ステージを見ただけで次に見た時も、例え髪型や衣装が変わっていても、どの子がどのメンバーカラーの子かわかるだろうと思わせるくらい、メンバー全員が記憶に残ったグループだった。
きのホ。、マジでいいところが無限にあるのだが、
まず、「パフォーマンスがいい」「歌とダンスが上手い」「ライブが楽しい」「ライブでのパフォーマンスが高い」「ライブの完成度が高いのにライブをやるごとにどんどん成長している」
曲もMVもいい
衣装もいいし振り付けも最高
と、軽く書くだけでも全てが最高なのである。
しかし、まだきのホ。の全貌を知らず、1ステージ見ただけの私たちは暑さと興奮でどろどろのまま、涼しいところを目指してゆっくりと移動しつつ先ほど初めて見たきのホ。のメンバー一人ひとりとその良さを確認し、「わかる…」「よかった…」といつまでも言い合っていた。お互い気になったのがオレンジとピンクの子の二人なのだということを言い合っては「わかる…」(好きそう)になっていた。(のちに友人はオレンジ担当の小清水美里ちゃんにハマり、人生初の遠征まですることとなる)
TIFではアイドルと握手ができたりチェキが撮れる特典会があるので、その後の私たちはもしかしたらきのホ。もやってるかもしれないなと思いきのホ。の物販にも行ってみた。あいにく今日の特典会はすでに終わってしまっていたのですが、夜にまだSKY STAGEというところで出番があることを物販にいたスタッフさんに教えられ、二人していくことを決意する。ちなみに友人はそこできのホ。のロゴの缶バッジを、私はランダムチェキを購入した。さてはもうハマってるな?
あと物販の方の対応がめっちゃ良くてへろへろやってきた新規にグッズについてとか無料で貰えるペーパーとか一つひとつすごく親切に教えてくれたので、優しい〜! と思った。
これもきのホ。のいいところのひとつ、運営がとても良い。ちなみなオタクも雰囲気よくてライブも見やすいので初めて来る人も安心です。すごい。
この、きのホ。の運営の方たち優しい〜とか丁寧〜とか信用出来る〜の感情はこの後一年間、随所で感じることとなる。
その後も私たちは様々なステージを見てはダイバーシティで休憩をすることを繰り返し、間でテレビ東京に取材をしていいか声をかけられて「ちょっと今はまだ推しとかいないので……」と断ったりなんかもして、TIFを楽しみ尽くした。
そして、私たちにとってその日最後のステージとなる、SKY STAGEでのきのホ。の出番がやってくる。
フジテレビ湾岸スタジオの屋上にあるSKY STAGEはその名の通り空高いところにあって、強いライトに照らされたステージを東京の星の見えない真っ暗な夜空が取り囲んでいて。その、塗りつぶされたような黒を背景に歌うきのホ。が、ファンが手にするサイリウムが、その日まで名前も知らなかったメンバーカラーピンクの小花衣こはるちゃんが、あまりにも綺麗だったから。私は、この景色をずっと忘れないんだろうなと思ったし、夜の庵という曲の歌い出しのこはるちゃんの声を聞いたあの瞬間から、心の中心部分にはずっと、あの子がいる。
めちゃめちゃ好きな漫画「AKB49」に「本当のスターは黒でも輝く」というセリフがあるのだが、きっとその通りで。辺りを照らすための白いライトをその身に受ける、真っ暗な空を背負った、モノトーンの衣装を着たこはるちゃんが悲しくなるくらい綺麗で眩しくて、このステージでこんなに眩く見えるのは、彼女が内面から輝く存在だからなんだろうなと思った。身体と心の一番底から発する光って、黒い闇の中でこそ完全に見えるのかもしれないと感じた。
アイドルグループのピンク担当で思い浮かべる一般的な印象とは少しズレる、ハスキーで印象的な、人の心まで震わせる歌声。魂を燃やすような強気なパフォーマンス、客席や配信のカメラを見つめ続ける優しい視線、それでいて時折見せる不安そうな表情。真面目そうな人柄。
彼女の何もかもが素晴らしくて、あの日見たアイドルは全グループ良くて、全員良かったけど、私は手放しでこはるちゃんのパフォーマンスが一番好きだと思った。思ったけど、なんでこんなに涙が出るほどに心に入り込んで、好きだと思うのかは分からなくて。でも結局のところ理由なんて、ひとつなのだと思った。
あの頃、私の心にずっとあいていた穴の形が、あの子の形をしていたのだ。
だから、こはるちゃん見た時に私はもう大丈夫なのかもしれないと思ったし、これからは自分の足で立っていけるのだという気がした。そして今も、私はなんとか自分の足で歩めている。
結局のところ私みたいなタイプの人間は生きている限り何かに救われ続ける。あまりにも不完全な人間だからだ。もしかしたらあの日、私はこはるちゃんに救われなくても後日ちゃっかり他の何かに救われかもしれない。心の穴の形は日々変わる。私はアルコールに救われていたかもしれないし、食べることや性愛に救われていたかもしれないし、ギャンブルに心救われていた可能性もある。何にでも救われた可能性があるからこそ、私は、私を救ってくれたのが小花衣こはるというアイドルであったことを心から幸福だと思っている。
それから一年、私は、出来る範囲できのホ。を、小花衣こはるちゃんを追いかけた。
1周年記念ライブ、沖縄公演、クリスマスライブ、主催フェス、京都でやっている定期公演、タワーレコードでのミニライブ、そして全国ツアー。
きのホ。を見るほどに、きのホ。というグループそのものを、そしてきのホ。のメンバー全員を好きになっていった。
きのホ。のメンバーを全員好きだし全員の個人ファンクラブに入ってはいるものの、心をこはるちゃんに救われた関係でこはるちゃん推しだと思われているだろし、その環境で他のメンバーのここが好き、ここが良いと言っても「お前に何がわかるんだ」となるかもしれない。と思ってこれまで言えないでいたが、なんだかんだ1年推し続けているしメンバーも全員私の名前知ってくれているので、この機会くらいは現在のきのホ。のメンバー全員の好きなところを言わせてほしい。
3日放置グリーン担当
御堂莉くるみちゃん(くるちゃん)
保冷剤ブルー担当
御守ミコ(ミコちゃん)
内出血パープル担当
桜寝あした (らねちゃん)
なんともいえないオレンジ担当
小清水美里 (みりちゃん)
生焼けピンク担当
小花衣こはる (こはるちゃん)
最初に、人生に向き合う日記と書いておいて特に向き合ってないだろって思ったかもしれないが、実はきのホ。にハマってからの1年は、私の人生のこれまでの集大成のような一年でした。
私はこれまでずっと人生でオタクをやり続けてきて、いろんなジャンルを通じてできた友達が沢山います。
沖縄にも10年来お世話になっているフォロワーさんがいるので、きのホ。の初遠征で沖縄に行く際に会えないかとそのフォロワーさんに声をかけました。
そうしたらその方は別のフォロワーさんも呼んで一緒にホテルにも泊まってくれて、それからきのホ。のライブのチケットがまだあることを調べてくれて、一緒に行ってもいいですか?って言ってくれたんです。
私それがめちゃくちゃ嬉しくて、なんか、単純にきのホ。を見てくれる嬉しさもあったのですが、その方の優しさというか、普通そんなことしないしできないだろうに当たり前のように同じ景色を見ようとしてくれる、みたいな。元々このフォロワーさんには本当にお世話になっていて、私が初めて小説を書くようになった頃にその方にアンソロジーに誘っていただいて、はじめて自分の書いたものが本になったりその方を通じて知り合いが増えたり、人と何かをやる時にどういうふうに声をかけたらいいのかとか、まだ学生だった頃の私にとって何もかもその方から学んだり与えられたりしたことが本当に多くて。ずっと尊敬していて、こうなりたいなと思っている方だったのですが、ここに来てまたさらにこの方みたいになりたいな〜!と思いまして……。
そして結局その方が、さらにお友達を二人も連れてきてくださって4人でライブを見て、それも含めて沖縄にいた間がめちゃめちゃ楽しかったんですよ……。
そして、一緒にライブを見てくださった方たちが、きのホ。いいねって言ってくれたのも嬉しくて、
私もこんな風にありたいな、とフットワーク軽く、そしてちゃんと人と向き合ったいきたいな、繋がりを大事にしたいなと思えました。
年始の頃に全部の繋がりを断ちたくて死のうとして失敗してた私ですが、一人きりになった時にいろんな友達が支えてくれたり会いに来てくれたり声をかけてくれて、
私はこれまで自分から人を全然誘えなかったのですが、大切にしたいものをちゃんと大切にしようとそこで決められたからこそ、以降、いろんな人と連絡をするようになり、会うようになり、知らなかった一面を知ってもっともっと大切な人たちのことを大好きになりました。
今年開催されたきのホ。の全国ツアーを通じて、遠方に住んでいてなかなか会えていなかった友達にも会うことができました。もしよかったらきのホ。も見ない?と誘ったらみんながみんな見る、と言ってくれて、
中にはあなたが好きなものなら絶対に素敵だから、と言ってくれる方もいて。あそこで死んでたらもう会えなかった人たちに会えて、言えなかったことが言えて、
自分ってなんでもないって思ってたけど、これまでやってきたことが無意味じゃないって思えたり、好きな人のことをもっと好きになれたり、新しいかけがえのない思い出を作れたり。
これまで生きていたこと、ここまで生きていたことを、今生きていることのその全部を、よかったと思えた一年でした。
10年ぶりに連絡した友達との仙台旅行、走馬灯に出るくらい楽しかった。今ではきのホ。に何かあるたびに連絡しあってるよ。
中学の親友をきのホ。のライブに誘ったら、今度はその子が好きなモーニング娘。のライブに誘ってもらったよ。20年ぶりにモーニング娘。のライブを見るよ。8月がすごい楽しみなんだ。
初めて行った広島がすごくよかったから、次は友達と旅行で行くよ。
大学の親友と次は京都にツアーの裏ファイナルを見に行くよ。
きのホ。がきっかけで連絡を取れた人たちと、遊ぶ予定が今年の夏はいっぱいあるよ。
全てはきっかけでしかないかもしれないけど、かけがえのないきっかけをくれてありがとう、こはるちゃん。
もう死んでいたような私の、大逆転人生はこはるちゃんと一緒にあるよ。
社会人になってうつになってしまったこはるちゃんが、今こうして光の中にいることが何よりも嬉しくて、ずっとずっと勇気をもらっています。
歌が上手いところ、強気なパフォーマンス、元気な笑顔、真面目すぎるほど真面目なところ、努力家なところ。全部が好きです。
こはるちゃんを好きなこと、運命で誤魔化しちゃうけど、本当はこはるちゃんが苦しみながら生き続けて、アイドルになってくれて、そしてアイドルとして輝き続けてくれる部分に惹かれていて、憧れていて、その全てを大好きだと思っています。
こはるちゃんと出会えてからの一年、これまでの集大成だったようなこの一年は人生で一番楽しくて、そして、こはるちゃんが居てくれるから、これから先の日々はもっと楽しくなると確信できます。
私を救ってくれたのがこはるちゃんでよかった。
アイドルになってくれてありがとう。
こんなに素敵な景色を見せてくれてありがとう。
たくさんの経験と、感動をありがとう。
私をここまで連れてきてくれてありがとう。
元・うつ病入院歴有OL
現・社畜な君のオタクより
世界で一番大好きなアイドルへ
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