「天獄と地国」感想 ※バレあり

ナツメトオルです。noteご無沙汰マンです。

昨日、EN劇集団 #さんたばっぐ さんの公演
#天獄と地国 の千秋楽を観てきました。

アンケートにも色々書いたのですが、こちらにも改めて感想をまとめました。
基本ネタバレです。終演後なので、お許しください。
(※たまテレさんの放送?で初見されたい方はお戻りくださいませ)

名前の間違いとかあったらごめんなさい。
また、拙くもスーパー独自解釈ですので、誤りがあるかもしれません。
変に感じる箇所ありましたら真に受けないよう心持ちいただけると幸いです。

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私は、舞台を観て与えられた世界に対して、よほど粗かったり雑な内容でなければ
「おもしれかったー!誰々さんの○○がよかったー!」
的な感想を抱く場合が多く、褒めちぎる傾向にあります。

過去のさんたばっぐさんの公演、幾つか拝見していて、物語も役者も一定以上のクオリティが約束されていますし、今回の感想も、基本線は上記のパターンです。前置きとして一応。

というわけで、まず各演者様への感想から。

●まみさん
ひとりの人生を演じ切っていた印象です。
あまりにちびま○子過ぎる姿(狙ってたでしょうね)はまず面白かったですが、小学生、中学生、高校は飛んで社会人になる前後と…。。
この演じ分けが素晴らしかったし、決していい事ばかりではない複雑な表情もしっかり見えていた。

複雑な幼少期、兄との離別、親友の援助、三角関係、良心の呵責、勝ち得た自由、からの……まさに激動の人生。
これだけ書いて気付きましたが、ほぼ主人公ですね。

最後の慟哭は、明確に他シーンと異なるエネルギーに、観ていてこちらも気分が黒く塗りつぶされていきました。
残酷な終焉。見事という他なかったです。

●ふみかさん
ずっと思ってますが、スーパーな女優さんですよ。
カメレオンすぎるのでその凄さが目立ちにくいのですが、これまで観てきた限り、役割を絶対に外さない。ヒロイン力も高い。
そして近年では芸人の属性までついた。(⇒客が親近感を抱きやすい)
でもその前にしっかりと女優さん。なんでもできる感。
だから今ほんと無敵だと思います。しょーゆーこと!

今回は、泉と親友、違う人を衣装チェンジなく演じ分け、が見事でしたね。
愛川と並んで奥に立っているシーン、愛川と目線の向きが違う箇所ありましたが…あそこ、なんだがゾっとしましたね。
あと何故かわからんのですが、居酒屋で皿間違えて指摘されてるシーンの「ごめんごめん!」の感じがお気に入りです。

前回公演から思ってますが、荒井さんとの舞台上での掛け合いがなめらかすぎて本当に面白いです。グーサインとハートが完璧すぎて絵面と表情でめっちゃ吹きました。
(余談ですが、前回公演にて、言い間違をつっこまれて素笑い、の場面は「会話あるある」としての自然な処理と反応、これ“成立”してるやん!たまらん!と感じておりました。。)

●三村さん・楠木君
知る限りベテランな印象の三村さん、不穏なところで「あ、見てる」ってなってたりする、セリフがほぼない中でのあの存在感。
今回残念ながら舞台上に出番がなかったけど、千秋楽後の場で陽の者のエネルギー全開だった楠木君の存在感。
どちらも瞬間のキラメキですが、素敵でしたね。

三村さん、もっと見たいなぁ…。
楠木君が準備してくれたらしい撮影スペースでアホな遊びしてすんません。次回は物語の中での活躍を期待しています。

●荒井さん
全ての感想が荒井さんに向かうことになるので、改めてピックアップする意味ないかもしれませんが、、
降りてきたものを唐突に一気にここまで仕上げるという集中力がすさまじいと思いました。ギリギリで書き倒した上に、本番ですごい量喋り倒してた印象です。本当にお疲れ様でした。ビールで超回復してください。

また、いつも通り全編ネタ仕込みまくりでしたね。
バスケのシーンであの曲のイントロ始まったら笑いますわ。

あと、荒井さんだけじゃないですが、好きなものについて語るときの語りの圧が皆さんやたら強いのおもろかったです。そういうものですよね~。

そして…

土居萌子さん
この人については、まず「主役の役割」を論じるところからいきます。

物語における「主役の役割」とは通常、その体験に「観客が共感する」ことが重要と、私は解釈しています。
簡単に言えば、観てて応援したくなるのが「主役」的というか。
(今泉さんの方が、一般的には「主役・主人公」っぽい)

ですが、今回の主役である愛川渚という人物は、
「観客と同じ目線で、目の前の出来事を観測する」
という役割だと最初解釈しました。

いわば、観客は「主役に共感する。」ではなく、
「観客と同じ立場の主役を通じて、物語を眺めている」だったのかなと。

物語内で起きていることを眺め、それにずっと共感をし続ける。
所々で今井&泉と会話はあるものの、基本的には「観測」に徹している。
そして「シーン全編からそれぞれ受け取ったものを、最後まで何かしらの形で持って行かなければいけない役なんだろな。」と思いながら観てました。

この役割、喋りが少ないから楽なんてことは絶対にないはずで。
しかも、ずっと舞台上にいて全くハケる場面がない。
2時間弱継続する集中力を要するので、むしろ一番きついのではないかと。
「観測」を一瞬でも怠れば、あの最後が崩れるはずです。
(もっとも、今回は演者全員が同等の集中力を要求されていたかもですが)

彼女はずっと、目の前の出来事に共感し続けていた。
これをみて「最後に何かあるな」と薄々感じながら、これが後でどう膨らんで弾けるのかを期待しながら鑑賞していました。

そして「私は悪くない」につながる。

ここからが本番で、この瞬間に、
愛川が今泉への判決を問われたのと同様に、
我々観客から愛川への判決を、この物語から問われている構図と感じました。

そして、主役はここで「観客に嫌われる」役割に転じていたように思います。
人によっては、嫌うより共感した方もいたかもしれません。

私には「無垢な邪悪」に見えました。
(これめっちゃ誉め言葉)

つまり、私も愛川の立場に立ったならば「地獄行き」と断じていたかもしれませんね。
※ここは敢えて「地獄」としています。

しかし萌子さん、以前拝見した360度舞台の公演で「うさぎ」という役だったでしょうか、ずっと喋らずに舞台のどこかにいる役割してたなぁ、と思い出しました。
その時から“セリフは発しないが舞台にいる。”という、言語以外での居方、空間への関わり方を、既に味わっていたのでは、と。
それって、今回に確実に繋がってるんだなと思います。

ちとヘンな言い方しますが、「よかったね。」って思いました。
そういう挑戦を任せてもらえるって、羨ましいし、羨ましくない(笑)

ごちゃごちゃ言いましたが
「特殊な役割の主役だったけど、集中力と共感力がラストに繋がって、
 見えないものが色々と伝わった!昔の経験が今にちゃんと実を結んで
 いるようにも見えた!オメーはすげーよ!(悟空)おつかれさま!!」
ですね。

●天獄と地国について
愛川が今泉に、「地獄」と思って判決を下したら、実際は「地国」だったわけですが、その意図と異なって今泉が送られる「地国」とは、「天国」のような楽園なのでしょうか。
愛川が最後にみた「天獄」の光景に対する反応からして、そうとってもいいかもしれませんし、可もなく不可もない、という幸せを享受できる場所なのかもしれません。

あれ?あの法廷が「地国」なんでしたっけ?ボケてたらすみません。
そういう解釈もあるかも、ということでひとつ。。

「天国と地獄」を直訳すると「Heaven and Hell」、
むしろ「Heaven or Hell」ですか。

で、「天獄と地国」の英訳を考えてみたいのですが、何になるでしょうね。

1語で置き換わる単語は存在しないし、「Heall or Heven」だとあまりにも…
違いがわからないですね。独自の言葉つくるしかないかなと。

「天獄」は、獄が監獄と捉えます。天国のような監獄、天にある監獄?
「地国」は、地にある楽園なのか、地にあるただの国なのか。

 「Heaven Prison or Ground Eden」
天国のようで監獄。そして、天国を楽園と考えて、地にある楽園。
あるいは…
 「Sky Prison or Land Nation」
こっちは、天にある監獄のような場所と、
楽園とまでいかないが、普通に過ごせる、地にある国。

うーん、しっくり来てないですが…解釈での遊びですね。
いやはや、膨らんで、いいですね。

●最後に
理不尽な不幸が、突然訪れることがあるかもしれない世の中。
そんな目に遭わずに済むのがもちろん良いことですが。

実際、良かれと思ってやったことが裏目に出て、その人らが破滅していても、自分の人生にはなんら跳ね返って来ないことってあるのでしょう。
自分がひどい目に遭う「理不尽」とは真逆に、「理不尽」を振りまいたけど、その報いは最期まで届かず終わる、いわば「逆理不尽」も。
逃げ切り勝ちかもしれませんが、なんだかなぁ…とは思う。

我々は、意図せず誰かの人生を狂わせる可能性がある。
「じゃあ、どうすればよかったのよ!?」
それは、きっと、誰にもわからない。きっと手段の問題ではない。
誰かが誰かを観測し、干渉しようとする限り、起こり得る連鎖なのかもしれません。

観測者として、とある人生が狂う様を俯瞰で眺めることができた我々は、
せめて「天獄」行きを避けたいところですね。

さんたばっぐの皆様、公演に関わられたスタッフの皆さま、
大変お疲れ様でした。
今年もまだまだご活躍の予定を見受けます。何卒ご自愛ください。

思わずここまで筆を走らせてみましたが、乱文極まりなく。
ここまで読んでいただけてたとしたら感謝いたします。

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