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ザ・バンド〜かつて僕らは兄弟だった(映画レビュー)

去年12月ですが、60年代後半から70年代に活躍した、「ザ・バンド」の足跡を辿る音楽ドキュメンタリー映画。見て来ました。
リアルタイムにもザ・バンドは聞いてますが、好みではなかったのか、記憶があまりない。でも、リアルタイムの活躍を知る一番下の年代ということもあり、バンドの設立の経緯や当時の音楽シーンのことも後から知ったことばかり。ボブ・ディランのバッグバンドから活動が始まったことや、まして、ディランがフォークからフォークロックに移行する時期に当たった為、ついて来れないファンのブーイングにさらされた散々のツアー経験のこと、ウッドストックに住み着いていたことも、全く知らなかったことです。
早すぎたディランとザ・バンドに世の中が着いてきたのは後になってからです。
強い絆に結ばれた彼らは、様々な困難に出会い、困難の中で絆が深まり、また、時代の流の中で揉まれ、絆にヒビが入ります。当時のロックミュージシャンにありがちな、酒とドラッグ、交通事故、お金の問題も。
依存症のことなど誰も知らなかった当時、社会に反抗するロック魂は私生活も波乱万丈の人が多かった。そんな、時代です。誰かが悪かったというわけではないと思うのです。
サブタイトルは、「かつて僕らは兄弟だった」とついています。バンド結成から最初の頃は、これ以上ない絆で結びつき、音楽的にも一致して、後には、イギリス生まれのビートルズ、アメリカにはザ・バンドがいると言われるようになるのです。エリック・クラプトンが仲間に入れて欲しいと熱望するほどのザ・バンド。
彼らの良い時代は限られていました。何事も、そんなものかもしれません。いずれもひとかどの男が5人も集まり、ぴったりと息が合うなんて至難の技。その奇跡が一時的とはいえ、ザ・バンドでは成り立っていたようです。ロック以外のロカビリーやR&B、ヨーロッパの音楽も吸収して多彩な才能をスパークさせた彼ら。様々な楽器を演奏できて、美しいハーモニーを奏でることができた彼ら。
偉大な業績は、兄弟のような信頼関係の上に見事に咲いた、奇跡の花だったのですね。