Olympic Games London 2012

ロンドンオリンピックの開会式直前。

世界各国から集った誇り高きアスリート達が競技場の外で今か今かと入場行進を待つ中、夏生は入場順が近いジャマイカの選手に声を掛けられた。



???
「夏生…?夏生選手ジャマイカ?なんちゃって♪」

夏生
「(うざ…)そうだけど。君は?」

ブレーク
「僕はヨハン・ブレーク。君と同じ陸上の100mと200mにエントリーしてるんだ。」

夏生
「へーそうなんだ。…とても充実した表情をしてるけど、調子はいいの?」

ブレーク
「ああ!先日の大会で優勝したからね!それに何よりも、この憧れのオリンピックの舞台に立てる、それだけで興奮するジャマイカ!なんちゃって♪」

夏生
「(まじうぜぇ…)あっそう。ジャマイカからは君1人のエントリーなの?」

ブレーク
「いいや、他にも君にとって強力なライバルになるであろう奴がエントリーしてるよ。」

夏生
「ライバル?」

ブレーク
「ああ、せっかくだし紹介するよ!おーい、こっちに来いよー!」

???
「んだよ、こちとら旗手務めでなるべく動きたくねぇってのに…」

ブレーク
「夏生、紹介するよ。彼が君の最大のライバルになるであろう、100mと200mの世界記録保持者、ウサイン・ボルトだ。」

ボルト
「ボルトだ。てめぇは?」

ブレーク
「ばっ!馬鹿野郎!この方は日本代表の夏生選手だぞ!!」

ボルト
「ジャパンのなつお…?あの『神速-KAMISOKU-』の…?ほー、てめぇがあの…。おいおいおい、オレぁこの大会で『生きる伝説』になる男だぞ?馬鹿も糞もねぇや。それに……"かみ"だかなんだか知らねぇが、そのデコっぱちの広さは余りの『髪削く-KAMISOKU-』に耐え切れねぇ生え際の"かみ"が抜けたせいか?w」

ブレーク
「ちょっ!おまっ!夏生!ボルトが失礼な態度を取ってしまって申し訳ない!どうか許してくれ!ほら!ボルトもちゃんと謝れ!」

ボルト
「はっ!オレぁ世界記録保持者だぞ?むしろそっちが先に挨拶に来るべきじゃあねぇのか?」

ブレーク
「ボルトぉぉおおおー!!!!」

夏生
「いや、別に気にしてないよ。デコが広いのは事実だし。世界記録保持者に対して失礼をしてしまった僕の不躾な態度こそ許して欲しい。」

ボルト
「さすがは『かみそく』様だぜ。デコと同じく広ぇ心をお持ちなこってw」

ブレーク
「くっ…!ボルトぉおお…!夏生、すまない、ボルトには後で僕からきつく叱っておくから!」

夏生
「大丈夫だよ。えーっとボルト君だったっけ?よく覚えておくよ。」

ボルト
「ああ、よーく覚えておけ。オレが"サンダーボルト"だ!」

夏生
「"稲妻"、ね…。」

ブレーク
「どこの誰が付けたやら、ボルトの速さと雷の疾さを掛けたニックネームなんだ。ところで、夏生の方は調子はどうなんだい?」

夏生
「ああ、椎間板ヘルニアに両ハムストリングの肉離れと問題が無いわけじゃないけど、それ以外はパーフェクトだよ。虫歯も無いし。」

ブレーク
「うーん、きっちり仕上げてくるあたりはさすがは夏生だ。」

夏生
「で、そっちのボルト君の調子はどうなの?」

ボルト
「ふん、愚問だな。オレがオリンピックという大舞台に照準を合わせてどれだけ完璧な調整をしたと思ってやがんだ。あくまでもオレの目標は100mと200mを連覇して『生きる伝説』になることだ。」

夏生
「『生きる伝説』…。ふーん、何?君はシーラカンスにでもなるつもりなの?」

ブレーク
「夏生っ!シーラカンスは『生きた化石』ね!!…は、はは、夏生は冗談も『神』レベルだなぁ…!こ、こりゃあ一本取られたジャマイカ?なんちゃって♪はは…。」

ボルト
「ブレーク、お前うぜぇよ黙ってろ。HAHAHA!面白ぇこと言うじゃねぇか!まあてめぇもその『髪削く-KAMISOKU-』で頭ペッカリ金メダル目指して頑張れやw」

ブレーク
(あわわわわ……)

夏生
「………」

ボルト
「………」


夏生・ボルト
「HAHAHAHAHA!!」



2012年、ロンドンオリンピック開幕。

2012.07.29 00:00

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