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勝手にしやがれ

 たまたま通りかかったら午後のBS映画をやっていた。ジャン・ポール・ベルモント。ジーン・セバーグ。これは「勝手にしやがれ」だ。古い映画。私が大学1年の時に認識していたから60年代には見られていたということだろう。(1960上演とあり)

友達が映画研究会に入っていて、特にフランス映画に傾倒していた。友達の下宿に遊びに行った帰りだったか、その人と学校の近くの林を雨の夜に歩いていて、足が泥だらけになった時、彼女が言った言葉が「勝手にしやがれ」。

その頃はみんな寮でなければ下宿だった。下宿では大抵タバコを吸っていた。この映画でもヒロインのパトリシアがタバコを当然のように吸っている。今若い女がタバコを吸うと間が抜けた感じすらするが、女子学生がタバコを吸うと云うことは何か主張があるような時代だった。友達は薄荷入りの外国タバコのセイラムを吸っていた。お金がなくなると、やはり薄荷入りの日本製のタバコを吸っていた。その名前が思い出せない。

この映画はヌーベル・バーグの作品だという。今見てどこが新しかったのかよくわからぬ。アングルがどうとか書いてあったが。主役の男ミッシェルが時々ポツポツと短い詩のようなキザなセリフを吐く。「殺人者は殺人し、恋人は恋をする」とか。 ミッシェルは警官を殺した車泥棒なのだが。

結局パトリシアに通報される。 パトリシアは電話するために入った店ではじめ「スコッチ」と言う。やはり一杯引っ掛けないと言えないのでしょう。でもなかったので酒ではないものを飲んだ。その後、通報したことをミッシェルに言う。

意地悪するなんて愛してない証拠ね。

不幸な恋などないんだ。

私束縛が嫌いなの。

だから密告したの。

とんだ屁理屈だよ。

もうたくさんだ。

疲れたよ。眠りたい。

ミッシェルが警官に撃たれて、最後の言葉はパトリシアに向かって「最低だ」だった。

ジーン・セバーグのショート・カットはセシル・カットと言われていた。それはなぜだったのだろう。忘れていた。やはりジーン・セバーグが主演した「悲しみよこんにちは」のヒロインの名前だった。

だいたいこの番組は1時から3時なのに2時半に終わった。すると、余った時間の続きで別の映画が始まった。なんだろう、西部劇? 函館? 「ギターを持った渡り鳥」だった。小林旭が若くて痩せている。浅丘ルリ子がショパンの「華麗なる大円舞曲」のはじめのフレーズを弾いている。それを、「今弾いていたのはお嬢さんですか」と褒めておいて、「でもここが違っています」となんと小林旭がはじめのフレーズを弾くのである。後ろ向きだが。一体何者なんだろう?と思う。この続きを見ることはできない。


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