EGOの木
目次
そもはじまり
変人たち
清潔について
先生方
闇と光
不幸な人
マニア男
フェアウエル・パーティー
西陽の下宿
流れる手
逃走
アルバ
1. そもはじまり
入寮式の日は花曇りだった。
わたしが寮についたら、すぐにマイクで呼び出しがあった。玄関のあたりに行ってみると、上級生の寮長から、「あなたは籤ではずれましたので、十三号館に行ってもらいます」と言われた。
十三号館とは?
はじめは一番新しくて設備のよい南寮に申し込んでいた。でもそこには入れなくて、あなたは西寮になりました、という知らせが来ていた。ところが今、更に西寮からも遠ざかって一体どこへ行けというのであろうか。私たちの年は、入寮希望者が多かったので、四つある本館に入りきれなかったらしい。
玄関前に六人の運の悪い人が集まった。と、不安そうな新入生の前に、リヤカーを引いた上級生があらわれ、「これに荷物を積んでください」と言う。そこで六人は寮のロビーに届いていた多くの荷物の中から、自分の布団袋を探し出し、リヤカーに積んだ。そして、林の道を上級生に先導されて進んで行った。
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