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彼らがやりたかったことと私(たち)が見たかったこと〜vol.5

順不同で書きなぐってきたGALA観劇感想文。残すは祭、変面、演舞、エンディングの風。

変面は言わずとしれたうちのエース、岩本照が操る世界。これも譲り受けて繋いでる演目だけど、面だけじゃない、光も操るのか。照明とレーザービームのイリュージョン、変面の鮮やかな色を引き立て、マントパフォーマンスも健在。北斉時代の王様が女性的な顔だったことから敵に侮られないように面を冠ったのが始まりとも言われているそうだけど、うん、岩本さんもすのチュで見せた女性顔はオリエンタルビューティーだったわ、脱いだら敵が逃げそうだけどね。
やっぱりこれも王様。王道、神、私のイメージする舞台での岩本さんって神格化してるかも。

岩本さんは0番が似合う。新世界での神々しいまでの存在感、片肌脱いだ三武将での信長でも感じたことだけど、もっと岩本さんの0番があっても良かったのでは?ご自身が振付すると岩本さんが見たい体系になるけど、岩本さんが振付たのならなおさら0番に立つ貴方が見たい。均等割りに近いから少なく感じたのかどうかはわからないけど、3人の中では末っ子でも俯瞰して見る力も胆力もやっぱりリーダー。センターかつエースってやっぱり強いし、剣道団体で言うと大将。ちなみに、深澤さんは副将、宮舘さんは中堅ですかね。多分、デビュー前もデビュー後も先を見てるし背負ってるように見えるんですよね、自分のこと以上にメンバーのことを。だから、ソロの舞台や、今回1人で魅せた変面も岩本照に集中する岩本さんを拝見して圧倒されたというのが感想です。

ちなみに、祭で魅せたおかめひょっとこは深澤さんと岩本さんのいわゆる[いわふか]。新吉とお丸を彷彿とさせる仕掛けもありましたが、私には仲の良い夫婦に見えました。

観劇後振り返りポスト

たまたま歌舞伎でも見たばかりで、イメージがドンピシャ。公然とじゃれ合ういいふたり。面をつけたことで見る側は日常見る彼らに思いを馳せて、面が作った2人の距離感がまた歯がゆいといいますか。

方や狐になりきって腕がほんとにキツネかと思った宮舘さん、 稲荷神の御遣いとなる神使、神秘的な存在というのもそうだけど、猪鹿蝶の舞台装置を駆け巡る姿は子どものよう。体力おばけの本領発揮ともいうべき軽快さが終盤でも健在。ポールダンスやったよね、何ならずっと動いてる。

神社の祭を盛り上げたのは舞台の新機軸と言ってもいい、客席参加型だったこと。テーマパークのキャストさながら、客席に鏡で振りを教える宮舘さん。客席と対話しているかのようなレクチャーも初だったし、一緒に踊ることができてかなりブチ上がったでしょう。初日は康二くんが観劇していて、宮舘さんに呼ばれても控えめでしたね。
紹介からの「宮舘、ここにいる」という観劇メンバーに目を遣る客席いじりは定番でしょうね、どなたが観劇したとしても。

キャストも観客も一緒に踊る新たな演目。宮舘さんが行き過ぎたファンに苦言を呈したときに書いた「皆さんと一緒に」、こういう楽しいことは大歓迎。舞台はカンパニーと括ることが多いけど宮舘さんの「みんな」「全員で」は伏線回収だろうと感じたのです。この興行が松竹座、南座、博多座なら御当地の舞踊を座位で楽しませてくれるかも…数あるうちの目玉となればいいなと思います。あの祭の出で立ちは神田明神のお祭り、鳶頭の出で立ちがとても似合う。江戸の祭でも将軍も見物したという「天下祭り」。岩本さんを先頭に(本当に頭:カシラ)ジュニア、JACの若い衆、ダンサーのモダンな町娘と皆で踊る姿は笑顔が満開。深澤さんと宮舘さんの手が触れて握って握り返すのもファンにはたまらない。宮舘さん、肘から先、指まで美しい。メンバーカラーを差し色にした衣装が三者三様、よく似合ってました。三人が縦に並んで山車に乗って、扇を持ちながらキメてるのは華やか。このまま終わらないで欲しいと思った「祭」です。

滝沢歌舞伎の時代、群舞は楽しみの1つで、曲が持つ優雅さと彼らが踊る美しさに惹かれたものですが、今回新たな群舞はみなぎる力強さと雄々しさ、「弾ける」彼らが雨に打たれながら踊っている。例のハンモックフライングがこの前後だったと思いますが、デニムのデザイン、宮舘さんのこだわりかなと思って見てました。ショート丈のトップスにパンツ、ジュニアの皆さんも光ってましたね。衣装と演技、曲、照明がどの演目もそれぞれが引き立たせているのもこの舞台の特徴で目も耳も楽しい。

ハンモックを使ったパフォーマンスについて。
フィギュアスケートのフリー演技って後半のジャンプは得点が1.1倍でしたっけ、それをイメージしました。繰り返しになるけどOPからずーっと止まらない3人、後半にこれは大変だと思います。挑む姿も演技、その日によって出来映えの差があるのはこの演目だけじゃないでしょうし、ハンモックの輪の中に入ったり移動したり、これは拍手で見守りましょう、彼らは大丈夫。だってOne Teamだから。1人はみんなのために、みんなは1人のために、みんなで作っているのです。

エンディングの風の前に3人がスピーチを聞かせてくれます。舞台にかける思い、私たちへの心のこもった言葉の数々。XのPostできっと上がっていることかとは思いますが、やりきった演目の後に聞く言葉は、彼らがどれだけ舞台に上がることを切望し、興行を迎えるまでに準備して楽しんで、という濃密な時間を経て私たちに魅せてくれたその全てにありがとうという気持ちになったのを覚えています。
メインテーマの「風」も3人の持つ精悍さ、優しさが溢れる楽曲。最後の最後まで楽しそうに踊る3人を見て心が踊り、笑顔のままで見ることができて幸せな気持ちになりました。

岩本さんが「新しいことに挑戦するってこういうこと」って言っていたのが印象的で、◯を打ってからこの企画が立ち上がるまで、いざ準備に入って初日を迎えてもずっと「挑戦」の中に身をおいているんだろうなって。これは深澤さんも宮舘さんも同じだと思うのですが、これも繰り返しで、演舞場で育ち、演舞場でメインとなるというのは筆舌に尽くし難いことだと推察するのです。アイデアを形にする楽しさ、作る過程、演じる過程全てが初だし、素地があったにせよ、宮舘さんも言っていた「一歩踏み出すのは大変なこと、でも心躍る舞台を作る」というのは共通認識だったのでしょう。
「楽しんで欲しい、笑顔になってほしい」
ちゃんと3人の気持ちは受け取ったし、彼らがやりたかったことと私(たち)が見たかったこと、笑顔を通じて新橋演舞場でキャッチボールができたと思ってます。

パンフレットのジュニアのみんなのコメントも「アクロバット、みんなでできたらいいよね」という3人の意気込みを受け取って彼らも挑んでる様子が伝わってきて、芸の伝承も方法論は変わっても前向きな彼らを見ていると千穐楽を迎える頃にはひと回りもふた回りも成長しているだろうと想像してます。

宮舘担としては衣装は気になるところで、洋服の知識なんて全く無くても、一人ひとり体に合わせて作るとあんなにも美しく体のラインが強調されるのかとただただ関心するばかり。動きを計算し、光を受けると色柄どのように変化するのかを考えているのでしょうね。シルバーもスーツのインナーのときはグレーに近いいぶし銀、群舞のデニムとあわせたシルバーは光沢があった。メンバーカラーの黄、紫、赤は組み合わせるものによりトーンが違って、OPのコシノジュンコさまが手掛けられた掛と袴、頭の色と布の色がつながって見えるのも素敵。あれは真似しても安くなる、舞台の中にとどめておきたいフォルム。

大切なことだから何回も言うけど、今回3人が新橋演舞場に戻ってきてくれたことは偶然でも必然でもどちらでもよくて、私はただただ感謝しかない。季節は巡っても、あのときめいた春はもう戻ってこないんだって思っていたから、ただ嬉しくてたまらない。個人的には新生活に挑む年に彼らが挑む姿を観て勇気をもらい、背中を押してもらったような。
挑む姿は美しい。彼らが歩もうと決めたのだからこれからも応援し続けたい。
舞台の成功は笑顔の輪が広がっていくこと。
千穐楽までどうかご無事で。



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