契約更改振り返りと感想

23-24シーズンを終え、今年もストーブリーグが開幕。Mトーナメントと同時並行で24-25シーズンに向け各チームの戦略や意図、次シーズンに懸ける意気込みがこの契約更改から見えてくる。

注目ポイント

最注目はやはりフェニックスだろうか。近藤新監督就任1年目はまさかの2年連続最下位。選手を入れ替えたとはいえ、連続最下位はあってはならない事態。次シーズンをどんな布陣で迎えるか、入れ替えは起こるかに関心が集まった。

また、8位に終わった雷電にもフォーカス。同一選手構成で3年間を過ごし、最下位3位8位という順位推移。契約続行となれば入れ替え規定への再挑戦を余儀なくされた中で、萩原の去就がチーム最大の目玉だった。今シーズンこそ僅かなマイナスで終えたが、生涯成績は歴代40名以上で見ても大きく後れを取っている。断言こそ出来ないが、チーム構成の変更がいつあっても全く不思議ではないと私は考えている。首脳陣の判断は如何に。

これらの注目点も併せて、各チームの情報を見ていこう。

【ドリブンズ】

6/3、公式Xにて契約更改内容が開示され、4名全員との契約更新が発表された。23-24シーズンでは浅見・太が加入し2度目の優勝を目指した中で最後までPiretesに喰らいついたが結果は準優勝。しかし、あくまで目標はチーム優勝。オフのMトーナメントを経て開かれる7年目のシーズンでは、4人力を合わせ初年度以来のシャーレ奪還を期す闘いが待ち受ける。ドリブラー歓喜の瞬間へ、新編成勝負の2年目が始まる。

【風林火山】

5/19、シーズン終了から僅か2日後にチームの藤沢晴信監督が「来シーズンもこの4人で闘う」とXで宣言。今シーズンはレギュラーで松ヶ瀨が個人最下位に沈む大不振がありながら、勝又が1人踏ん張り下位4チームによるデッドヒートを制すると、セミファイナルでは4人全員がプラススコアを叩き出す大爆発で2年連続ファイナルへ。しかしPiretesには遠く及ばず、結果は2年連続4位と苦杯を舐めた。現体制では4シーズン目となる来シーズン、規定にはかからないとはいえ今シーズン以上の成績をファンは望んでいるはずだ。2度目のシャーレ掲揚へ、シン・天下布舞軍団の号令が鳴り響く。

【サクラナイツ】

ファン感謝イベントが行われた6/2、選手4人との契約更新をファンの前で発表した。今シーズン大活躍でチームの柱に成長した岡田、ここ一番で頼りになるチームのエース堀を中心に昨シーズン叶わなかったファイナルの舞台に戻って来た。が、ファイナルではPiretesの前に屈し3位でシーズンを終えた。
今シーズンチーム唯一のマイナスポイントに終わった内川は来シーズン、最大級のプレッシャーと闘うことになるだろう。参入6シーズン目、この4人で目指す2度目の優勝に向けて再び走り出す騎士団を見守ろう。

【格闘俱楽部】

6/8、公式Xにて契約更改内容が開示され4名全員との契約更新が発表された。今シーズンは伊達・寿人が開幕直後から連勝を重ねロケットスタートを切るも徐々に失速。伊達こそ個人グランドスラマーとなる4着回避率のタイトルを獲得したが、チームは終わってみれば期待を大きく裏切る形のセミファイナル敗退。滝沢もシーズン終わりに「フォームを改造する」と宣言し、トレーニングに励んでいる。ファミリーに歓喜の瞬間を届けるべく、オフシーズンの改革に期待が集まる。

【ABEMAS】

6/9に公式Xにて契約更改内容が開示され、4名全員との契約更新が発表された。23-24シーズンでは連覇を目指した中で、初めてファイナルを逃し6位という成績でシーズンを終えたABEMAS。オフの配信中に「来シーズンは押し気味に行く」という宣言をした多井がこのチームの運命を握るといっても過言ではないだろう。2度目の優勝へ、常勝軍団は再びMリーグを黄金一色に染め上げる。

【フェニックス】

6/10に公式Xより契約更改内容が開示され、初年度ドラフト1位魚谷と21-22シーズン加入の東城が退団することが発表された。2年連続最下位という成績で終わったことを鑑みて、初年度ドラ1にして歴代MVPの魚谷と22-23シーズンでMVPクラスの活躍を見せた東城の"りおみん"コンビ契約満了という重い英断を下したフェニックス陣営。今後はネット麻雀ゲームMJの選手を中心にチーム編成を組むものと思われる。今オフのドラフトにて、新戦力を獲得し新たな扉を開けるフェニックス。過去2度届かなかった栄光へ、逆襲逆転の不死鳥はどんな復活を遂げるのか。

【雷電】

6/6に公式Xより契約更改内容が開示され、4名全員との契約更新を発表。これにより、来シーズンはレギュレーション変更が起こらない限りレギュラーシーズンでの敗退は入れ替え規定適用対象となる。今シーズン振るわなかった本田・黒沢はもちろん、萩原・瀬戸熊にとっても勝負のシーズンとなる。入れ替え規定回避だけではファンは喜ばないはず。悲願の優勝へ、全身全霊の覚悟で挑む。

【BEAST】

5/23、BS Japanextで放送中のチームの冠番組「BEAST ROAD」にて4選手との契約更新を発表。これにより、来シーズンは現行のレギュレーションの変更がない限りレギュラーシーズンでの敗退は入れ替え規定適用対象となる。注目はやはり2年目突入となる中田に向くだろうか。参入初年度にこのステージで闘うことの意味やプレッシャー、チーム戦の難しさなど多くのことを肌身で経験したことだろう。また、チームメイトからのアドバイスやエールも彼女の血肉となり成長の材料となったはずだ。来シーズンこそは戦力となり、チームに貢献できるか。

【Pirates】

6/10、公式Xにて契約更改内容が開示され4選手との契約更新を発表。今シーズンを圧倒的な成績で駆け抜けた海賊団は、来シーズンこそ20-21シーズンで果たせなかった連覇への新たな挑戦が待っている。歴代MVP戦士2名を要し、穴のない闘いぶりを見せた海賊団が続くシーズンでも圧倒的に勝ち優勝を掻っ攫うか。

以上の結果から、フェニックスのみが選手の入れ替えを行うことが確定。最大人数の拡大がない限り、この2名を巡るドラフト会議の結果を経て晴れて24-25シーズンを闘うMリーガーが確定することになる。

なおこの指名権獲得によりフェニックスは参入初年度指名の以外では全チーム最多となる4回目のドラフト指名を迎える。そこで、今回入札が予想される選手を見ていこう。

ドラフト注目選手

まずは男性陣。私はこの3名を指名候補として挙げておきたい。

◯竹内元太(最高位戦)

現最高位にしてタイトル連覇中の団体最高峰選手。前年も有力候補の1人として挙げられるも、入札には至らず。連覇を果たした今年は、大本命と言える存在だろう。近藤・醍醐に次ぐ歴代最高位の系譜を引き継ぎ、不死鳥復活へのキーマンとなれるか。

◯新井啓文(最高位戦)

BEAST指名オーディションでは菅原に僅か700点及ばず届かなかったMリーグへの重い扉。しかし、今回こそはその熱い思いを胸に自身が"白ユニ"ではなく"チームユニフォーム"を着る姿をファンへ見せるチャンスだ。この舞台で自身が一発屋ではなく、真の一流選手であることを証明できるか。

◯浅井堂岐(協会)

団体への縛りがなければ、間違いなくリストアップされるべき人材だと私は思っている。2年前の雀王であり、BEAST指名オーディションではFINALに残った選手だ。昨年今年とMトーナメントに出場し、好成績こそ収められなかったもののこの舞台で闘える技量を兼ね備える選手であることは誰もが知るところ。歴代雀王4人をMリーガーとして輩出した協会勢から、新たな刺客が殴り込みを図れるか。

また、女性陣からはこの3名をリストアップしておこう。

◯丸山奏子(最高位戦)

22-23シーズンまで4年間ドリブンズに在籍していた彼女だが、生涯出場試合数は僅か44試合と出場機会には恵まれなかった。しかし、この数年で最強戦ファイナル出場が2回、女流最高位戦Aリーグ昇級など着実に実績を挙げている。リーグ初の返り咲きともなれば、その注目度は大きく上がるはずだ。過去の自分を振り払い、またこのステージに戻ってくることは叶うか。

◯根本佳織(最高位戦)

団体初にして唯一の永世女流最高位であり、茅森との親交も深いこの選手。「近藤マジック」があるならば、彼女のサプライズ指名があっても全くおかしくはないと考える。現役時代の近藤自身のような、チームの精神的支柱の役割を担える選手でもある。齢43歳、第2の青春はこの秋に訪れるかもしれない。

◯松嶋桃(協会)

初年度から小林未沙とともに公式実況者として長くリーグを支えてきた彼女。京大卒のインテリ雀士としてクイズ番組で観る機会も多く、クイズ作家古川洋平氏率いるカプリティオチャンネルのメンバーとしても活躍しているが本業はプロ雀士だ。6年間実況席から多くの感動的シーンを観届けてきたこの環境に憧れを抱かない人などいないはずだ。実況者から選手への転身は起きればもちろん史上初。小型肉食獣とも称される彼女はMリーガーという絶好の獲物を捕まえ、このステージにアタックする。


過去のチーム構成は女性3男性1のいわゆる「ハーレム構成」という唯一無二の特性を持ったチームだった。しかし、今回その構成は逆ハーレム状態(男性3女性1)にならない限り崩れる公算は高い。近藤誠一監督仕切り直しのドラフト指名では、誰に自身と歴代選手たちが抱いた夢を託すか。その決断の時はもう間もなく訪れようとしている。

最後に(筆者所感)

36選手中34選手が更新となった今回の契約更改。方々で「マンネリ化」への心配の声が上がる中、私の第一感は「甘いのでは?」であった。正直、今のレギュレーションでは「最悪規定を回避すればOK」という考えに及んでしまい、この舞台を待つ選手たちに対する示しは全くつかない。また、チーム編成に対しファンの間で論争が巻き起こるケースもこの数年多く見られただけに監督スタッフ陣へ契約更改の判断すべてを一任することはもう限界があるのではないだろうかと推測する。

私は数年前から、今のレギュレーションを根本的に壊し「個人成績で制約を設け、規約を達成できなければ即刻退場とする」方がシンプルな構図となりチーム内で遺恨が生まれることもなくファンも納得するのではないかと思っている。

例えば、

① レギュラーシーズン個人成績でMリーガー総数の下位25%に入った場合は警告1枚(イエローカードのようなもの)を与え、そこから3年以内に再度このゾーンに入った場合は自動的に契約満了とする。(翌シーズン以後個人TOP10内だった場合はリセットさせるなど解消策も併せて検討)

② ①に該当しないものの、マイナス3桁を2年連続記録した場合は自動的に契約満了とする。


これらはあくまで一例だが、"最高峰の麻雀プロリーグ"という言葉を謳っているのであればマンネリ化させないようなシステム作りも盛んに議論が行われるべきだと私は考えている。
また、プロ野球の選手会に相当する組織を発足させて選手側が抱えている要望などを選手会から機構側に提出し適宜対応・解決していくなど今後長く続くにあたって選手もファンも納得するリーグになって欲しいと私は願っている。
JリーグやBリーグなどを生み出した川渕三郎氏が最高顧問として名を連ねている以上は、過去の経験で培われたリーグ運営のいろはをぜひこのMリーグにも落とし込んで浸透させてほしいものだ。



シンジラレナーイくらい顔真っ赤やん右の人・・(この女最高)

(了)


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