#7 杖を抱えて跳べ

10月29日(水) 

 「ヘタの考え休むに似たり」という諺がありますね。ちなみに英語でも“Inadequate ideas are worse than none at all.”という表現があるようです。しょうもないアイデアはノーアイデアにも劣る、みたいな感じでしょうか。おもしろいなあと思うのは、日本の「ヘタの考え休むに似たり」はとくに最近ではどちらかというと「だから、考える前に動け」的な意味で続きに来る意味の方を重視して語られることが多いことです。

 ところが“Inadequate ideas are worse than none at all.”のほうはというとハッキリ無策のほうがマシなんだと言っているんです。マイナスになるくらいならゼロでいい、という。合理的というか「ヘタの考え」に対するアプローチが異なるように思うんですね。ぼくはこの年になってようやくですけど、この「ヘタの考え休むに似たり」の続きとしての「考える前に動く」を実践するようになりました。たしかにあれこれ迷って100点を求めて考えているうちに、誰かに先を越されたりベストなタイミングを逃したりということがあって、それじゃつまらないなという経験を経て、自然にそうなったんですね。

でも。でもですよ。「考える前に動け」と言っている人だって本当はそこに至るまでにうんうん考えてきたんだと思うんですよ。ほんとに思いついて瞬間に手や足が動いていたのかというと、そうじゃない場合のほうが多いんじゃないかなあ。あれこれ悩んで、頭の中でさんざんシミュレーションもして、友達や家族や仲間にも尋ねて、そこでも結論は出ない、「えいもうやっちゃえ!」だと思うんです。考えに考え抜いたうえで、考えても答えが出ないならやっちゃおう、ということだろうと。 

 東京にはもしかしたらそういう「いいね!」「やろう!」だけで進めていけるスピードが求められていてそれを実現できる街なのかもしれない。だからネットだとそっちの意見ばかり活躍しているように見えます。でも京都にいると、むしろ考える時間がたっぷりあります。悩みに悩み考えに考えたうえで、それでもこりゃもう始めてみんとわからんよな、で重い腰を上げてスタートする。そういうプロジェクとがたくさんあるように思います。どっちがいいとか悪いではなく、京都でモノづくりする自分には、京都のやり方があってるなあと思います。

よく考えると「見る前に跳べ/Leap before you look」はLookbefor you leap「転ばぬ先の杖」」のもじりでしたね。ぼくはとりあえず「杖を抱えて跳べ」と言っておきます。

それではみなさん今日もお元気で。I hope you enjoy Kyoto!

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