#18 「さよなら私」がおもしろい

11月11日(火)

火曜日はドラマ「さよなら私」の日なのでちょっとソワソワします。これじつはたまたま予告を見ておもしろそうだなあと思って何気なく見たらハマってしまいました。ふたりの人物が階段から同時に転げ落ちることでからだとこころが入れ替わってしまうという、物語の設定は「転校生」という、もういまから30年くらい前に大林さんが撮った映画がベースになっています。しかもその映画「転校生」で主役を演じていた尾美としのりさんが重要な役で出ていたりして、そういうところもなるほどなあ、面白いなあと思って見ています。 

このドラマを見ていて、ふとおもしろいことに気が付いたんです。ふたりの主人公は永作博美さん演じる良妻賢母でやさしい優等生な女性と、石田ゆり子さん演じるキャリアウーマンで芯が強いキリッとかっこいい女性。このふたりが入れ替わるんですけど、入れ替わった後の方がふたりの女優さんの個性にピッタリはまってるんですね。これ、もちろん入れ替わってからの方がドラマ全体の尺としては長いから、そういうわりと実利的な理由でそういう設定にしたのかもしれません。 

でも、ぼくはそこにこそ、このドラマの妙味が隠されているように感じているんです。じつは子どものころから、お互いに入れ物を間違えたままムリな人生を生きてきたんじゃないか?無理な配役を与えられた女優のように、自分にそぐわない舞台を演じてきたのではないか?いまのほうがむしろ、こころとからだが素直にフィットしているんじゃないか?そんなことが、ドラマのプロットとは関係ないところで密かに語られているような、そんな気がしたんです。 

そういえば、変身願望なのか憧れや嫉妬なのか、むかしは「あの人みたいになりたい」とか思ったことがあるような気がするけど、いつからだろうなあ、そんな風にあまり思わなくなった。まあ自前のこいつでなんとかかんとかやってくしかないか、そう思えるようになったのっていつくらいからだろう。 

たぶんぼくは30過ぎたくらい。会社にではなく自分に仕事の依頼が来るようになったあたりだったんじゃないかな。まあそれが自立っていうことなんだろう。そこからわき目を振らずに10年やって自分を確立したところで、またブワッと波が来て、40歳で独立した。その決断はある意味では「さよなら私」だったんだなあと、ちょっとそんなことを思いました。おもしろいドラマって、たいがいそこに自分が映ってるんですよ。

それではみなさん今日もお元気で。I hope you enjoy Kyoto!

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