#20 筋書きの向こうへ

11月13日(木)

よくテレビの野球中継なんかで「監督、今日は筋書き通りの試合展開だったんじゃないですか?」みたいなお決まりの問いがあって、監督が「出来過ぎです」とかって謙遜するようなやりとりありますよね。あれ、でもそういう試合ってたいていあまりおもしろくない試合であることのほうが多いんじゃないかなと思うんです。 

なにをするにしたってまずは筋書きがないと始まらないから、プレーヤーだったりディレクターだったりはそれぞれに筋書きを描きます。チームの場合はそこで摺合せもします。でもいったんゲームが始まるとそのとおりにはならない。だから何重にもケースごとのプランBやらプランCやらをつくることになる。そのうちゲームを忘れてプラン作りが主になってしまうっていうこと、けっこうあるんじゃないかなあ。 

もちろん、だから筋書きなんかはじめからなくたっていい、という話であはりません。筋書きを描くことはすごく大事。とりわけチームで仕事する場合はね。でも同時にそこから逸脱する勇気も大事だと思うんです。状況の方が逸脱した場合に、こっちだって負けずに逸脱する柔軟性がないと、ねじれてポキンと折れちゃうからです。自分の考えに束縛されてしまうと、けっこう身動き取れなくなるんです。他人の束縛なら逃げ出せるけど、自分から逃げ出すのはけっこうかんたんじゃないんですよね。 

それにドラマって、思惑を超えたところから始まるんじゃないかなとぼくは思うんです。筋書き通りうまくいかなくて苦しい時もあるけれど、逆に自分が描いた筋書きを超えて状況のほうが勝手にいい方向へ動き出していく楽しさって、やっぱり経験すると何物にも代えがたいものです。がんばっていればこういうミラクルがある。ご褒美はきちんと待ってくれている。で、これ「型と逸脱」の話(https://note.mu/708/n/n4ed33d7c1b6a?magazine_key=m58d3199add9e) と似てるよね、と気づくんだなあ。なに、だいじょうぶ。心配しなくったって、どんな立派な筋書きであっても、ぜんぶ筋書き通りに行きっこないんだから。

それではみなさん今日もお元気で。I hope you enjoy Kyoto!

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