#13 はじめはみんなニンジャタートルズだった

11月5日(水)

サントリーのシングルモルトウィスキー「山崎」が英国のウィスキーガイドブックが選ぶ世界最高のウィスキーに選ばれたそうです。ウィスキーの本場で日本のウィスキーが最高賞を受けるって、これけっこうすごいことですよね。でもぼくはこの逆だって、あったってぜんぜんいいんじゃないかと思うんです。たとえば最高のすし職人がスペイン人だったり、最高位の歌舞伎役者がアイルランド人だったり、横綱だって…あっ、相撲はいまやグローバル先進社会ですね。 

 それはすなわち日本文化が世界に浸透しているという証左になるからです。ウィスキーの世界最高賞が日本のウィスキーに与えられたのは、それだけ広くウィスキーが世界中の人に愛されてきたからであり、そのことにオープンでいたからではないでしょうか。スコッチの製法は一切門外不出で「日本人が作ったウィスキーなんて認めねえ」ってやってたら、ウィスキーはこんなに世界中で飲まれていなかったかもしれません。 

 いっぽう京都ではけっこう敷居を高くして京都ならではの不文律を守ろうという傾向が強いと思います。もちろんそうしなければ守れないものもあるだろうし、そうやって文化を維持しないといけないという側面は否定できないと思います。そこは京都に限らずスコッチだってもちろん全レシピを公開しているわけではありませんしね。ただ、日本のウィスキーを「ニセモノ」みたいには扱わないというか、まあ日本人もなかなかやるじゃないか、って受け入れる度量みたいなものが、この受賞に至るまでのはるか昔から英国にはずっとあったんじゃないかなと思うんです。もちろんこれは想像ですけどね。

 たしかに日本文化のオリジナルは日本だから、日本の素材で日本の職人で日本の気候でないと作れないということはあると思います。でもたとえばすごく日本が好きになってくれた外国人がいたとして、気候や土や水やなんかの違いを一所懸命研究して、はじめはニセモノの忍者映画みたいなものかもしれないけど、どうしても日本文化好きだからがんばって、やがて日本人も驚くような版画や刀や和食や着物を作るかもしれない。もしそうなったら。それはそれで、とっても素敵なことだと思うんです。カリフォルニアロールなんか寿司じゃないとか、外国人の点てた茶なんか本物じゃないとか、そういう堅いことは言いっこなし。まずは知ってもらうこと。それからモノだけじゃなくどんどん楽しみ方を輸出したらいいと思うんです。あのサントリーだって90年かかったわけですからね。世界最高品質の日本酒の酒蔵がフィンランドにあったっていいじゃないですか。

それではみなさん今日もお元気で。I hope you enjoy Kyoto!

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