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ジョン・シングルトンのために


ボーイズ’ン・ザ・フッド


 しばらく名前を眼にしていないと想ったら、鬼籍に入っていたとは……。

ミッシング ID 2011   監督
フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い 2005 監督
ワイルド・スピードX2 2003 監督
サウスセントラルLA 2001 監督製作脚本
シャフト 2000 監督製作原案脚本出演
ローズウッド 1996 監督
ハイヤー・ラーニング 1995 監督製作脚本
ポエティック・ジャスティス/愛するということ 1993 監督製作脚本 ボーイズ’ン・ザ・フッド 1991 監督脚本

 主要作品をならべてみると、90年代の4作に輝きが集中するような。

 このうち、『サウスセントラルLA』は、ネトフリで配信されている。
 ところで、このサイトは『アメリカを読むミステリ100冊』(2004)をまるごと再録していくためのもの。アカウントはずいぶんと昔に登録していたが、多忙をきわめるうちに、ゴースト・サイトになってしまった。
 コンセプトを変えて、再発動する。
 『アメリカを読むミステリ100冊』は213頁の軽い本で、『北米探偵小説論』の軽装版のような体裁だが、あつかった対象は少し「増補」したかたちになっている。その意味で、『北米探偵小説論』と最近の『北米探偵小説論21』を橋渡しする位置を占めているようだ。とにかく20年前の論考であり、より『北米探偵小説論』の二〇世紀的「古さ」のほうに近い。
 そのWEB版の「序」に、シングルトンへの追悼が掲げられるのは何故? 
 という疑問には、以降の内容が答えることになるだろう。
 シングルトンは、1980年代後半から10年ほどつづいたブラックシネマの光芒の有力な表現者の一人だった。ブラックアメリカンの激烈なドラマが、アメリカン・ミステリの根源的なテーマとして視野に入れられることは、ほとんどなかった。『北米探偵小説論21』の「ブラック・ノワール」の章が、やっとその入口に立った、というところか。

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