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2018.12.9 浮世企画 平成感謝祭公演「SHIP」@APOCシアター

【出演】山脇唯/四浦麻希/西岡未央/今城文恵 
日替わりゲスト:ザ・ギース高佐/や団・本間キッド
OPEN 12:30/START 13:00 OPEN 17:30/START 18:00 前売り¥3,500

Twitterに流れる、山脇さん単独ライブでの高佐さんの評判を興味深く眺めていたところに、
その単独に脚本を提供した方が主宰する劇団の日替わりコーナーに高佐さんがゲストで出るなんて情報が舞い込んできたら、そりゃあもう行きたくなっちゃうよねってことで即予約。
寝起きじゃなかったらもうちょっと冷静になって止めてたかもしれない。寝起きの勢い大事。

公演当日は朝の9時に家を出て千歳船橋へ……
なんか勝手な名前のイメージで、千葉寄りの東京あたりかと思ってたけど全然違った!
小田急線で行くような場所だとは思ってなかった。

会場はAPOCシアターという初めて聞く・行く場所で、1階はカフェ、2階は劇場。
開場までの時間はカフェスペースで待つこともできたようだけど、場所の雰囲気も、お客さんの雰囲気も当然お笑いライブとは違うように感じて、めっちゃ寒かったけど建物の外でこそこそと会場を待つ。
今回のチケットの購入方法はイープラスと劇団Web予約があり、せっかくなら記念に紙のチケットを残したいと思ったので夜公演のほうをイープラスで予約してみたけど、劇団予約でもチケットはもらえたのでイープラスの手数料を無駄にしただけだった……(´;ω;`)

劇場の中はちんまりとしていて、傾斜もあるのでたぶんどこに座っても観やすいような感じ。
私は昼公演2列目、夜公演は3列目で観たけど見え方に不満はなかったです。


そして開演。
どういった作品なのか、説明は浮世企画さんHPの公演紹介に載ってるので割愛。
生の山脇さんを初めて見たけど、なんとなく想像していた感じと全然違っててびっくりしました。声とか雰囲気とか。

お芝居が始まってすぐはマツイとミーのテンションにちょっと置き去りにされて、あっちょっとこれは自分の苦手な感じかもーヤバいかも……と思ったけど、
シナノが出てきて「うわ、こういう女いるわ」と思ったあたりから、一気に作品の世界が身近なものになった気がして、気づけばすっかり心が引き込まれてました。

登場人物の年齢(それぞれ演じている女優さんと同じ設定だったらしい)は皆アラサー、私もまさしくアラサーなので、随所に出てくる世代を感じさせるようなネタはどんぴしゃで、懐かしく思ったり笑ったり。
でもネバーエンディングストーリーは知ってはいたけどあんま分かんなかったなー。

で、短い休憩を挟みお待ちかねの日替わりコーナー『あの人は日曜日よりの使者』。
まずは今城さんの呼び込みで高佐さん登場、「お笑い芸人のザ・ギース高佐です」としっかり自己紹介したので、おお、と思ったり。
(上から目線のつもりはないんだけど、そういえば普段出る舞台とは違うんだからこういうとこ重要だよなあと気づかされて素直に感心しました)
そして同じくゲストの、や団・本間さんは、ショッキングピンクのカーディガンにロングスカート、ロングのウイッグで、女装して登場。
今回は女優としての参加ということらしい(笑)

高佐さんプレゼンツの企画は「人狼」。
といってもルールは通常の人狼と同じなんだけど、設定がこの日のために考えられた特別仕様。

――舞台はとある劇団。
劇団を率いる高佐座長と5人の女優たちは、公演を控えて一堂に会していた。
ところが、公演が始まるまであとわずかだというのに、台本はまったく完成の兆しを見せない。
どうも原因は、劇団の女優との不倫にうつつを抜かしているせいのよう……
劇団存続のため、女優たちは『不倫女優』を暴き出して劇団から追放することができるか!?

みたいな。

そんなわけで高佐さんはゲームには参加せず、ゲームマスターとして進行をする立場。
役職は、
市民=女優、占い師=尾行女優、人狼=不倫女優
といった感じで置き換えでした。
不倫女優のことを『高佐の女』って演者さんたちが言ってたのに笑った。

で、1ゲーム目は西岡さんが不倫女優に。
3分間のシンキングタイムはわちゃわちゃしてる間にほんと一瞬で終わっちゃって、
疑惑を拭えなかった西岡さんが1日目の夜(要は1巡目)で不倫女優と見抜かれちゃって終了。
あまりにあっさり終わっちゃったので2ゲーム目に突入するも、またしても1日目の夜で今城さんが不倫女優と見抜かれて即終了。

そんな感じで昼公演はちょっと人狼らしい盛り上がりには欠けたまま終わってしまった(´・ω・`)
企画のコーナーはたぶん20分くらいだったかなあ、しかも最初にお客さんが足元のドリンクを倒してその処理で時間を取られてしまったのもあったり。
えーこれで終わりなの……!?とは思いました。正直。

昼公演が終わってひとりご飯を食べてたら、どんどんお芝居の内容が思い出されてきて、
私も知らずのうちに誰かの地雷を踏んでるのではないか……とか、
私もマツイみたいな人の責め方してるなあ……とか、そんなに人を責められるような生き方を自分はできてるのか……とか、
自分と同じような年齢の人たちが、あんなにも素晴らしいものを作り上げているのに、私は一体今まで何をしてきたんだろう……とか、
もうなんか言い知れぬずーんとした感情に包まれて、めちゃめちゃ凹んだ。

だから昼公演が終わったあとの率直な感想としては、面白かったー!とか楽しかったー!とか、思わずほくほく顔で劇場から出てきちゃうような感じでは決してなく、
『考えさせられた』という感じでした。
(↑深いようで浅い言葉だと思うのであんまり使いたくないけど、こうとしか表現しようがなかった)

でも夜公演は心の準備ができてたからか、私も自然と、自分の痛いところと冷静に向き合いながら観ることができて、そうしたら得られる感情も変わった気がしました。
相変わらず心臓にぐさぐさ刺さってくるものはあるんだけど、矢が刺さりっぱなしで苦しんでた昼公演の後とは違って、夜公演はちゃんと自分で矢を抜いて手当てをしてあげられた、という感覚。

心に余裕を持って観たら、細かい部分にも気づけてより楽しめたし。
シナノが「オーナーと……」って告白したときのマツイの表情なんかも、ああ他の2人とはちょっと違うなあなんて思ったりしました。

2度目の高佐さんのコーナーは昼公演と内容変わらず女優人狼。
高佐さんの中では、高佐座長の設定は『才気煥発で賞とか取ってる』イメージらしくて、
その考える『賞』が、
高佐さん「アカデミー賞とか……」
今城さん「岸田國士戯曲賞とかね」
と、それぞれの立場によって全然違うのが面白かったです。

1ゲーム目は昼公演と同じく西岡さんが不倫女優だったんだけど、
初日の夜は些細なことから疑惑の目を向けられた四浦さんが疑いを晴らせずに追放され、
2日目の夜は本間さんが追放され、
最後は残り西岡さん・山脇さん・今城さんの状況から山脇さんが追放され、不倫女優の西岡さんが勝利。
ようやく人狼らしい醍醐味のある展開でめっちゃ面白かった!
無実の人を人狼に仕立て上げていく西岡さんがすごく怖くて最高でした。

2ゲーム目はせっかくなので高佐さんもプレーヤーに回りましょうということで、今城さんとゲームマスターを交代。
……なんだけど、占い師になった本間さんと、今城さんの間で意思疎通がうまく行かなくて、
(今城さんは『その人は人狼です』って意味で×サインを出したんだけど、本間さんは『その人は人狼じゃないです』って意味だと思った)
結果追放会議は混乱の様相を呈し、おかしいことに気付いているお客さん側も徐々に笑いが堪えきれなくなってきて、ざわめきが大きくなってきたところで今城さんにより強制終了。
これはこれで、1ゲーム目との落差があって面白かったです。

結局高佐さん成分はほんのちょっっっっっっとしかなくて、時間も思ってたより短かったし、(コーナーの時間は20~30分って書いてあったからMAXの30分のほうで期待しちゃってた)
もう普通に正直に書いちゃうけど、本来お芝居より高佐さんの方が目当てだったから、そういった意味ではちょっと物足りなさはあった……。
たぶん同じように高佐さん目当てで来て昼しか見ないで帰った人、結構不完全燃焼だったんじゃないかなあと思ったり。

私も昼しか観てなかったら、お芝居見て凹んで高佐さん成分の薄さにしょんぼりして、肩を落としながら帰ってたかもだけど、
夜公演を見て気持ちが変わって最終的には前向きになれたし、私も頑張って生きなきゃと思えたし、
(「頑張ろー!」って感じではなく、あくまでしみじみと「……頑張ろう」と独りごちる感じ)
このお芝居を見て良かったと、今日来た価値があったと思えました。
家でまたじっくり反芻したいなあと思って、帰り際に台本も買いました。

あと高佐さんは、きっと自分目当てのお客さんじゃなくて浮世企画を観に来るお客さんのほうが多いと思って、そういう人たちが観たいだろうと思う企画を考えたんだろうなと個人的には思いました。
それもまた思慮深い高佐さんらしいなと。私の勝手な想像ですけどね!!!!!

こういった小規模な演劇を観る機会もなかなかないので、今回は貴重な経験ができて新鮮でした。
そして何より、同年代であれだけパワフルに頑張っている今城さんという存在を知ることができたのは素晴らしい出会いでした。
自分も頑張ります……うん。頑張ります。