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M-1グランプリ2016ドキュメント〜優勝が見えた瞬間〜その4準決勝、とんでもない化け物」


どうも、スーパーマラドーナ武智です。


今回はM-1グランプリ2016ドキュメント準決勝のお話です


2016ドキュメントは全て無料なので良かったら是非この話も他の話もご覧下さい


それでは





M-1グランプリ2016

我々は勝負ネタを温存した状態で準々決勝を戦い


何とか首の皮一枚と言う状況で準決勝へと駒を進めた


本当にギリギリの滑り込み


敗退していても何ら不思議ではなかった


準決勝まで約10日程、、


この10日間はエレベーターのネタを改良し、詰める作業をひたすらやっていた


毎日ひたすらやり続ける


やり続ける内にある2つの問題点にぶつかる


それは


ネタの中盤が弱く、改良しても改良しても上手くいかない事と


最後のどんでん返し、トリックのある部分だった



ネタの中盤部分、、


エレベーターの中と言う制限された場所で出来るボケ、考えられる行動パターンが少なかった


ネタと言うのは


制限が程よくある方が面白い


制限のない漫才はどんなボケでも出来る代わりに


振りがない


なので何でもありになってしまって面白くなくなる


なので程よく制限のある中でネタを作った方が良いネタが出来る


これはネタを作っている者なら誰でも知っている常識


しかし


このエレベーターのネタは


制限がキツ過ぎる


狭いエレベーターの中限定


ここでやれる範囲のボケと言うのは数えるくらい、、


しかし沢山ボケを出してどんどん良いボケが出来たら入れ替えていきたい


それが出来なかった、、


そして


最後のトリックの部分


漫才では珍しい形のボケ方


大喜利的要素で笑わせるのでは無く


驚きで笑わせる


驚きという面では申し分なかった


・実は後ろにもう1人いた

・そっちが田中だった

・キリッとしていたのは後ろの田中だった


立て続けに3連続の驚き


今まで沢山ネタを書いてきたが、ここまでのクオリティの裏切りを作れたのは初めてかもしれない


でも、、



イコール



何故それが面白いのかが



分からなかった、、



実はもう1人いたから


何で面白いの?



実は後ろが田中だから


何で面白いの?


キリッとしていたのは実は後ろの田中だから


何で面白いの?



これがお客さんにウケる!


それだけはすぐに分かった、、


でも



作った張本人でありながら


僕自身が、その面白さを理解出来なかった



解決出来ないまま



時間が過ぎて行く



もう少し時間が欲しい



やはりこのネタを思い付くのが遅かった部分が大きい


夏前か


最低でも夏には思い付いときたかった、、





そして




そんな不安を抱いたまま




ついに




準決勝の日を迎えた



会場は読売ホール



楽屋に入った僕は



まだお客さんの入っていない



読売ホールのセンターマイクの前に立ってみた



すごいホール


1階席、2階席が半円を描きながら


ギューっと小さく漫才師を取り囲むような


逃げ場のないような


包囲されているようなホール



でも開演前にそこに立てて良かった



心構えが出来る



少しでも緊張を和らげるために


そんな事もしていた



楽屋に戻るが



相変わらず重々しい空気



ほとんどの者が弁当に手を付けない


食欲より吐き気が勝る



皆、、水ばかり飲む


ヘッドホンをして集中している者


ひたすらネタ合わせしている者


引きつった顔で雑談している者


ずっと動かず何もしない者



様々だ、、


そして、薄っすら舞台に流れていた曲が段々大きくなる


照明が段々暗くなる





M-1グランプリ2016の







準決勝が始まった!






トップバッターは霜降り明星


いきなり!


トップバッターとは思えない爆笑を取る


決して軽いお客さんではなかった


しかしいきなりこじ開けた

中盤や後半の出番だったらどうなっていたんだろうと思うようなウケ方だった



そして錦鯉

とろサーモン

マジカルラブリーと次々に爆笑を取る


去年の準決勝と皆意気込みが違う!


順番が何番であろうが決勝にいってやる!


その想いと気合いがハッキリと出ている


誰も滑らない、、

いや


全員爆笑を取っている!



僕たちはBブロックの最初の方なので袖にいたのだが


正直皆の気合いとウケ方に足が震えていた


すごい、、


凄すぎる、、


震える、、


しかし

去年馬鹿よあなたはに食らったような恐怖から来る震えではない


武者震い


去年のように準々決勝でやったネタをまたやる訳ではない


ネタバレはない


十二分に隠した状態で挑めている


奥の手がある!





そして






Aマッソがネタを終え




ついに





我々の出番!




「はいどーもスーパーマラドーナですよろ、よろしくお願いします!」


去年同様、最初の自己紹介で噛んでしまう



しかしその時すでに少し笑いが起こった


去年は噛んでも笑いゼロだったのに


去年のファイナリストというアドバンテージが早くも助けてくれる



そして1つボケる




2つボケる




3つボケる




ここである事を確信する









これはいける!!



思ってた1.5倍ウケる


最後のトリックに行くまでに2〜3個拍手笑いが来ている




そして最後のとどめのオチ



3連発で拍手笑い



特に1番最後の拍手笑いは


今手を叩いてない人いるのか?


そう思う程の拍手だった



終わって袖に戻る



そしてインタビューを受ける


正直ホクホク中のホクホク


最後の拍手笑いの余韻を十分に楽しむ



恐らくここまでの段階で1番ウケているのは我々



決勝行ける気満々


軽快にインタビューに答える


ウケた嬉しさを止められない


有頂天ゾーン突入


この時の自分を今の自分が客観的に見てたら殴りたくなる程の調子、、





はずだった、、




舞台上から



爆発音のような凄まじい拍手笑いが聞こえてきた



いや


聞こえてきたと言う表現ではない



吹き飛ばされた



先程の有頂天武智は凄まじい拍手笑いに


吹き飛ばされた



舞台で漫才をしていたのは




カミナリ!



更に驚く事が、、



そのカミナリが放った大爆笑拍手笑いは




まだ一つ目のボケだった、、



僕らが1番最後に取ったくらいの拍手笑いを



彼らは


一撃目に軽々と取っていた、、


そしてそこから


それと同等か、、それ以上の笑いを取りまくり



ほぼ全てを拍手笑いでネタを終えた、、



今までM-1予選で人のネタをたくさん見てきたが



ここまでウケているコンビはお世辞抜きで初めて見た



インタビューなんて止まったまま



僕たちも


インタビューしてた人も


全員がカミナリに釘付け


先程の喜びはどこかへ去ってしまった、、



それと同時に不安が急に押し寄せてくる、、



まだまだ準決勝は終わっていない、、ここから我々より面白くて受けるコンビが何組も出たら、、決勝が危ない、、


その予感は的中


インディアンス

さらば青春の光

和牛

ミキ

学天即

相席スタート

ニューヨーク

アキナ


スリムクラブが爆笑を取る



特に相席スタートとスリムクラブはとんでもない爆笑






決勝に行けるかどうか一気に分からなくなった、、

そして南海キャンディーズがトリを飾り




M-1グランプリ2016準決勝は幕を閉じた



2時間後、結果発表


それぞれ楽屋に待機したり


外の空気を吸いに行ったり


様々、、



僕はとても不安だった、、


大丈夫か?


行けるのか?



ネタをやり終えた直後、あれだけ自信があったのに



カミナリのインパクト


そこからの猛者たちの爆笑を見て全く分からなくなっていた、、






そして




結果発表




皆が地下駐車場に集められる



何十台ものカメラが芸人を捉えている



そしてM-1のお偉いさんが登場


「えー、皆さん準決勝お疲れ様でした!毎年のように言ってますが、本当に過去最高の準決勝だったと思います、、それでは、M-1グランプリ2016、決勝に進出する8組を発表します、、」




ついに来た




呼ばれるのか




呼ばれないのか



最初にあった自信は




もう全くない




呼ばれなければ敗退




その可能性は



ある




エントリーNo.





73






カミナリ!



いきなり来た!




そりゃそうだ



あんなにウケてて通らない訳がない



73番から発表したと言うことは、今年もエントリー番号順だ、、





我々は171番、、





呼ばれるなら絶対次だ、、





頼む、、






頼む!!








エントリーNo.















171番!スーパーマラドーナ!





驚いた






去年は名前を呼ばれた時、走馬灯が走るくらい歓喜した!





今年は




2年連続行けると言う事



周りの爆笑を聞いていると言う事で自信を無くしていた分




本当に嬉しさよりも驚きが勝っていた






そしてそこから


銀シャリ

ハライチ

さらば青春の光

相席スタート

スリムクラブ

アキナと



8組全ての名前が呼ばれた




すぐに気が付いた、、





和牛がいない、、





和牛は準々決勝とてつもないウケで通過した




決勝最有力と言われていた




準決勝も爆笑を取っていた






本当に、



本当に僅かだが、お客さんが笑い出す間と



本人達がやりたい間がズレていた



そこで少しだけ笑いの量が落ちていた、、




本当に僅かな差




こんな僅かな差で



決勝に行けるか行けないか決まってしまうのかと、、




M-1の残酷さを改めて知った、、















そして決勝戦










とんでもない爆笑を取っていた7組と


我々と


敗者復活戦から上がってくる1組



この9組で




王者の椅子を巡り










M-1史上最も激戦だったと言われた戦いが




始まろうとしていた。















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