エピソードA-1:父とお金にまつわるエトセトラ 其の一。

私の実家は関西にある、秘境レベルのスーパーど田舎だ。父は兼業農家の長男で、田舎の長男教の典型的産物。関西的にはじゃりン子チエのテツ(見た目も)。

父は正社員で外に勤めには出ていたが、皆が週休1.5日制だった昭和中~後期から、週休3日制を自主施行していたようだ。母曰く、家に給料を入れたことは1回たりとも1円たりともない。それどころか、出張前夜に上司から手渡された旅費を呑み屋で使い果たし、母が翌朝に近所を金策に回ったことも1度や2度ではないらしい。主な使途は呑み代(これについてはいつか書きたい)と、定期的に勃発する様々な一過性の趣味(ゴルフ、釣り、バイク、自転車、etc。とにかく形から入り、用具一式揃えるが、半年もたない)と推察するが、全容は未だ定かではない。

なので、父から小遣いをもらったことは一度もないし、逆に貯金箱を荒らされたことは何度もあった(父曰く、1回やられてそれでも箱にいれるお前がアホやとのこと)。近所のラーメン屋に誘われて、食べ終わったあとに「俺、金持ってへんから」も普通。これらは私が小学生の頃の話である。ちなみに私は社会人になってから一時海外に住んでいて、その間郵便物は実家に届くようにしていたのだが、ある日父から国際電話がかかってきて、「あのな、〇〇銀行から、おまえの口座残高のお知らせきてたんやけどな。金の使い方、分からんのやったら、教えたるで」と言われたことがある。即切った。

幸い、祖父母の持ち家に同居し、米と野菜と卵は自給自足、魚と鶏肉は近所の漁師や養鶏場と物々交換で、たまに買うのは牛豚肉くらい。学校は最寄りの公立一択で習い事も塾も無し、という環境だったから、一般事務職の母親の収入だけで、貯金はなかったようだが生活は普通にできた。

其の二 につづく。


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