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【艦これ】煙幕発動時に電探が命中率に与える影響

はじめに

この記事は、2023/5/13にTwitterで投稿した、「発煙装置(煙幕)」による煙幕の発動(以下、煙幕システム)と電探の装備命中の関係について、過程などを補足することを目的とした記事です。

結論だけ知りたい方は、当該ツイートおよびスレッドをご覧ください。

検証の背景や各装備パターンの説明を読みたい方は、引き続きこの記事をご覧ください。

また、煙幕システムの概要を知りたい方は、前回の記事もご参照ください。

背景

公式ツイート

煙幕システムの実装時、「艦これ」開発/運営(@KanColle_STAFF)のツイートにおいて、電探装備が煙幕システムに関係することが示唆されていました。

  • 「光学照準の敵射撃・爆撃など」を阻害することが可能である。

  • 「電探装備の敵」には注意が必要である。

電探装備の敵艦

煙幕システムの実装以降、通常海域の様々な戦闘マスで煙幕の発動が試されていますが、電探持ちの戦艦タ級eliteが出現する4-5の2戦目で煙幕を利用した結果、「なんか戦艦タ級eliteが当ててくる」ような気がしていました。

こちらは私が2023/4/25に報告した集計です。

別の方(CCさん)が2023/5/7に報告されていた砲撃戦の被弾集計からも、同様に「なんか戦艦タ級eliteが当ててくる」傾向はみられました。

こちらはCCさんの結果をymcさんが可視化したもの(を引用したもの)

このまま4-5の2戦目で煙幕を炊き続けて被弾率のデータを積み重ねるのも一つの手なのですが、集計結果をある程度見た感じだと、撤退率と被弾数の面から、4-5の周回効率を下げてしまう予感がしました。

電探装備の自軍艦

直近のイベント海域の最終ゲージ(23早春E6-4)ではルート制御に一定数以上の水上電探が必要であったこと、道中の対水上艦隊戦闘マス(23早春E6-4-Zマス)で煙幕を発動させている方が見受けられました。
(このほかに、潜水新棲姫マスで発動させている例も見かけました)

私も生放送や使用感の報告ツイートなどは眺めていましたが、「いや当たらんわ」「当たらなくはない」「あんまり電探の恩恵を感じない」など、効果があるのかないのか結局よくわかりませんでした。
そもそも、イベント海域であれば命中率に特効がかかっている可能性もあり、通常海域との使用感が異なる可能性もあります。

また、自軍艦隊に電探を装備させたうえで煙幕発動時の命中率の集計結果や定量的な考察結果は、記事執筆時点では見当たりません。(私が気づいていないだけだったらすみません)

ところで、艦これの戦闘システムにおける命中・回避には、自軍のみ・敵軍のみに適用されると考えられている要素があります。(艦載機熟練度(自軍のみ)、雷撃命中補正(一部の敵軍のみ)、重巡夜戦回避補正(自軍のみ) 等)
自軍で適用されている仕様を確認できたとしても、それが敵軍に適用されるとは限りません(逆もまた然り)。
が、よくわからないのでとりあえずデータのとりやすそうな自軍側から電探の影響をみるのが、手掛かりとしては悪くない気がしましたので、やってみました。

検証

以下、装備パターン等を示すにあたり、作戦室さんで表示した画像をお借りしています。

検証結果

命中率等の個別の値は、都度表示すると煩雑になるため、最初にまとめて示します。以下を読み進めるにあたっては、必要に応じてこちらの画像、または結果のツイートを参照ください。

命中率の集計結果
命中率のグラフ
仮説検定とその結果

攻撃艦の選定

検証を行う艦(攻撃艦)として、榛名改二乙を選定しました。
選定理由は次の通りです。

  • 高速戦艦なので砲撃戦が2順化する(砲撃戦のサンプルサイズを増やせる)

  • 補強増設に電探装備可能で、5スロ電探が実現できる

  • 素運が高いため、旗艦に置いた場合の煙幕発動率を担保できる
    (※煙幕は旗艦の運が高いほど発動しやすくなると考えられています)

  • 瑞雲を装備することで、砲撃・雷撃が全然あたらなくても敗北回避できる

  • 雷装値持ちのため、閉幕雷撃のデータもついでに取得できる

  • 燃費が(大和よりは)軽い

出撃先の戦闘マスとして、1-3-Eを選定しました。
選定理由は次の通りです。

  • 燃料を拾いながらデータ件数を増やせる

  • 敵艦隊の数が3~4隻であり、瑞雲の航空戦で数を減らしても2巡目までそれなりに残る

  • 1戦闘目であり、ルート完全固定が可能

なお、燃料マスに立ち寄る関係で出撃時間が若干長いのですが、無疲労出撃を行う場合は疲労抜きの時間を要する場合もあるため、出撃時間の長さは大きなデメリットではないと感じました。

赤疲労時に電探の装備命中値の影響を見る

手始めに、そもそも電探に効果があるのかを見るため、電探の装備命中値に極端に差をつけて、件数を稼げる(連続出撃ができる)赤疲労時の命中率を確認しました。

左:パターン①(電探5つ、電探装備命中合計15、赤疲労(Cond29未満))
右:パターン②(電探5つ、電探装備命中合計49、赤疲労(Cond29未満))

パターン①(命中+15)の命中率が低すぎたため、誤差範囲を縮めるためにサンプルサイズ(砲撃戦回数)を増やさざるを得ませんでしたが、命中値を高くした場合パターン②と命中率に有意差があることを確認できました。

パターン①とパターン②の比較より:
煙幕発動時、赤疲労時において、電探の装備命中値を高くすることで、命中率が高くなる。

無疲労時に電探の装備命中値の影響を見る

パターン①(命中+15)の命中率が低すぎた反省から、無疲労出撃で命中率を比較する必要があると考えました。
まず、パターン③として電探の装備命中値をパターン①と同値(+15)に揃えた命中率を集計しました。副産物として、煙幕発動時も赤疲労で命中率が低下することは確認できました。

左:パターン③(電探5つ、電探装備命中合計15、無疲労(Cond33~49))
右:パターン④(電探0、非電探装備命中合計15(+副砲★+2)、無疲労(Cond33~49))

パターン①とパターン③の比較より:
煙幕発動時、赤疲労の場合は命中率が減少する。

次に、パターン④として電探を使わずに装備命中値を+15に近づけて命中率を集計しました。手持ちの装備ではどうしても副砲の改修値★+2が乗るパターンしか組めなかったのですが、それでも電探あり同命中値であるパターン③より命中率が低ければ「電探の装備命中値が生きている」とは言えるわけです。
なお、無疲労出撃の待機時間緩和のため、ここから条件が許す場合には旗艦MVP誘導のために瑞雲を採用することにしました。(それでもたまにMVP逃しますが)

結果としては、電探0のパターン④の命中率が低すぎたので、有意差があることを確認できました。

パターン③とパターン④の比較より:
煙幕発動時、非電探装備の命中率への寄与は、電探に比べて極めて小さい。

続いて、パターン⑤として無疲労の場合に電探の装備命中値を高くして(電探で+39)、パターン③(命中+15)と比較しました。

パターン⑤:電探4(測距儀3)、装備命中合計42、無疲労(Cond33~49)

こちらは、パターン⑤の誤差範囲が広いため、サンプルサイズを少し増やす必要はありましたが、有意差があることを確認できました。
(パターン①・②の比較を無疲労で再走しつつ、測距儀の効果も見たかったのだと思います)

パターン③とパターン⑤の比較より:
煙幕発動時、無疲労時において、電探の装備命中値を高くすることで、命中率が高くなる。

検証結果のまとめ

ここまでの検証結果と解釈に誤りがないことを確認して、2023/5/12にツイートとして投稿しました。

追加の検証

記事もツイートも、公開した後から色々と思いついたり気づいたりすることはよくあります。
今回もその例にもれず、結果を公開した後で、どうしても気になる条件を思いついてしまったので、追加の装備パターンを試しました。

上左:パターン⑥(電探1(命中+3)+非電探命中+12、無疲労(Cond33~49))
上右:パターン⑦(電探1(命中+3)+非電探命中+0、無疲労(Cond33~49))
下:パターン⑧(測距儀1(命中+10)+非電探命中+5、無疲労(Cond33~49))

電探を1つだけ積んだ場合の影響を見る

思いついた条件というのが、「電探のある・なしに基づく条件分岐」です。要は電探を1つ以上載せているときに、電探0の時と比べて挙動が変わるのではないか、というもの。

まずパターン⑥として電探1積みしたうえで、電探と非電探の装備命中値を合わせて+15とした場合の命中率をみました。
結果としては電探のみで装備命中値+15としたパターン③に近い命中率となりました。
ただし、「統計量(ここでは命中率(命中数の平均値))が異なること」を示すことに比べて、「統計量(ここでは命中率(命中数の平均値))が同一であること」を示すことは、少し話がややこしくなるようです。一応方法はあるようですが、説明が煩雑になりそうですし、統計エアプの自分にはちょっと荷が重そうでした。

そこで、同じ電探1積みでその他の装備命中値を下げたパターン⑦との比較によって、電探を積んでいれば非電探装備の装備命中値が命中率に寄与することを示すアプローチとしました。

パターン⑥とパターン⑦の比較より:
煙幕発動時、電探を装備していれば、電探以外も含めた装備命中値に応じて命中率が向上

測距儀くんが電探扱いであることを見る

ほとんどの人は気にしていないと思いますが、測距儀は光学照準の機構ときいていたので、煙幕の影響を受ける可能性があるのではないかと個人的に気にしていました。装備の半分は電探なので影響を受けない気もするのですが、一応、測距儀1積みのパターン⑧も集計して、測距儀以外の電探と同じ挙動であることを確認しました。

パターン⑦とパターン⑧の比較より:
煙幕発動時、測距儀を装備していれば、装備命中値に応じて命中率が向上する。
したがって、測距儀も電探扱いである。

検証結果のまとめ(再)

一部の条件を精査した形で、2023/5/13に、検証結果を再度投稿しました。

考察

電探の仕様の恩恵を受けそうな深海棲艦

今回考察した電探の仕様(電探装備の場合は装備命中値が仕事をする)が敵軍にも適用されていた場合は、深海棲艦の装備はレーダー以外も命中値がシャレにならないものも少なくないため、煙幕発動時でも普通に当ててくる可能性があります。
レーダー持ちのネ級改夏modeやヌ級はただでさえ辛いのですが煙幕で対抗できないため、別のアプローチ(お祈り含む)で対策する必要がありそうです。

電探持ちの無法者たち

電探の仕様の恩恵を生かす装備構成案

ymcさんの考察によって、煙幕発動時において、命中率が極端に低い(熟練度クリティカル補正込みのクリティカル率を下回るほど低い)場合にも、熟練度クリティカル補正の分だけ命中弾が得られることが確認されています。

ところで、艦載機には高い装備命中値を持つ装備がありますね。自分は光電管を持ってませんが。

友永隊(増やせる)
江草隊(増やせる)

熟練度付きのこれらの艦載機を合わせれば、煙幕発生時にもそれなりに命中弾を得られるかもしれません。(足し算の発想)
すなわち、電探で恩恵を受けやすい艦は、電探を積むスロットの余裕がある艦ということですね。そうだね一航戦だね。

装備スロット数で無法する(かもしれない)者たち

いかがでしたか?

本記事では、煙幕発動時において電探が命中率に与える影響を考察しました。要点は検証結果の報告ツイートの通りですが、次のようなものです。

  1. 電探装備時、電探以外も含めた装備命中値に応じて命中率が向上

  2. 電探非装備時、電探あり同一装備命中値の場合より命中率が低下

  3. 測距儀も電探扱い

  4. 赤疲労時は命中率が減少

最後に、今回の検証結果を実際の運用に生かすうえで、気を付けていただきたいことをいくつか。

今回の検証結果から、電探を使った場合に「相対的に命中率が高くなる装備構成」を導くことはできます。
ただし、「どの程度命中率が高くなるか」までを断言できるものではありません。このことは、十分な件数およびパターンのデータが集められたうえで、煙幕発動時における命中・回避の推定式(モデル)が定まらないと説明できないと考えています。
現時点で私個人でここを追及する予定はありません。

また、煙幕発動時に相対的に命中率が高い装備構成を組めたとしても、運用上は次の点に気を付ける必要があります。当たっても敵の装甲を抜けないと意味がないこともよくあります。

  • 想定する敵艦隊に対して、煙幕発動時においても必要な命中率を確保できる装備構成であるか

  • 想定する敵艦隊に対して、必要な火力を担保したまま必要な命中率を確保できる装備構成であるか

  • 煙幕発動時以外の戦闘でも、火力や命中率を担保できる装備構成であるか。(煙幕を使えるのは出撃で1戦闘だけです)


煙幕システムは、適切に使えれば強い場面もありそうな、可能性を感じるシステムだと思います。
どのような場面が適切であるか、引き続き考察しつつ、煙幕ライフをエンジョイしていきましょう。

なにかお気づきの点などあれば、わたしのTwitter(@about6833)までご連絡ください。

更新履歴

2023/5/13:新規作成

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