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その4「祝宴のすべて 2023に起こった奇跡とジグザグな軌跡」

12、祝宴当日、リアルマニーとの対面
12月某日、ついにその日はやってきた。
私は司会でプログラムをきっちり回すという大役を仰せつかっているので、この数日台本を読み込んでいた。修正が直前まで入ったので正直練習時間が足りなかったがもうやるしかない。そんな思い出目覚めると、iPhoneがフリーズしたまま使えなくなってしまった。
電話も時計も切符もぜーんぶスマホで済ませていた私、祝宴関係の連絡も家を出たら全く返信することもできない。なかなかのトラブル。
家を出る前にチームに報告すると、きっと私は司会業務に専念せよってメッセージなんだよと慰められた。
ロビーで他の実行委員と待ち合わせた。下見で会った以外のメンバーとはこの時が実際に会うのは初めましてだった。
私はこの日に相応しいキラキラの星が入った宇宙柄の着物で挑んだ。
光の間に移動すると担当のT口さんが迎えてくれた。
「本日はよろしくお願いします。昨日も宿泊されていたじょうさんがご挨拶してくださって、頭取ともお会いしました」
頭取って呼んでくれたー!!
私たちは先にマニーからこういう格好で行くよと写真を見せてもらっていたのだが、それはぬいぐるみの姿だった。
そんなぬいぐるみをT口さんはてらいもなくごく自然なニュアンスで「頭取」と呼んでくれたのだ。
T口さんがそれまで私たちがどれだけ真摯にこの祝宴に向かっているかを受け止めた上で、この大規模なお芝居の登場人物として参加してくれているんだと思わせてくれた。

当日のプログラムは大まかに、
宇宙銀行窓口のプロ・テイン(関西弁で話す金髪青年のアバター)の乾杯の挨拶のビデオレター
マニーのお話、Q&A
マニーとの2ショット撮影会
参加者報告会
もじょうさんの講話
実行委員挨拶
となっていて、同時進行で参加者の作品やフライヤーの展示、そしてビュッフェのご馳走が振舞われる予定だった。
そう、予定だった。

もじょうさんもロビーに現れて、ご挨拶。ビシッとした袴姿に一同テンション高まる。
「あれ、マニーはどちらですか?」
「ここです。(懐から小さなぬいぐるみを取り出す)」
そんなにコンパクトだったの!

会場に入り、音響の方と打ち合わせ。
実は私今回のためにマニーのうたという短いけれどオリジナル曲を作っていて、手作りのMVも公開していた。それを持参していたのでしれっと会場で流そうと思っていたのだ。
音響さんの進行台本がちらっと見えたのだが、そこには
マニーのお話(CVもじょうさん)
と書いてあった。CV=キャラクターボイス、声優さんということだ。
なるほどそういう解釈でスタッフさんたちは受け入れてくれたんだ。
もじょうさんさんは宇宙存在であるマニーをおろしてお話をするのだが、この日はついたての裏に隠れながらもじょうさんがお話しして、それにもじょうさんが連れてきた黒子になるスタッフさんがあわせてぬいぐるみマニーを人形劇の如く操るという仕組みになっていた。

伝統あるホテルの宴会場で、大の大人が集まって小さなぬいぐるみが話すのを聞く。そんなシュールなシチュエーションなのに、会場のスタッフさんは誰もそれをいぶかしがることもなく、受け入れ、サポートしてくれた。

会場時間になり、参加者が集まった。みなさんおしゃれして、この日を楽しみに来てくれているのが感じ取れた。
祝宴の参加費を捻出するために家族会議をした人、遠くから飛行機に乗って来た人、T国ホテルに前乗りしてラグジュアリー体験を自分に与える実験をした人、祝宴を準備をしていた私たちはもちろん、来る人たちにもそれぞれドラマが展開されていた。

椿さんが用意してくれたマニーイラストがあしらわれたプログラムが机に並べられ、柚子さんが手配してくれたオンライン配信も準備が整った。
杏さんがやり取りしてくれた参加を迷っていた方もいらしてくれた。
受付でかすみさんやお手伝いの方がスムーズに対応してくれた。
途中で準備からは退いたけれど参加者としてあかねさんも来てくれた。
参加者同士で盛り上がりなかなかロビーから宴席のテーブルに移動してくれない参加者をももさんが誘導してくれた。
会場にはクラッシック音楽のBGMに紛れて私のマニーのうたも流れていた。

祝宴の始まりだ。

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