『中世哲学史』(1999)

アラン・ド・リベラ著、阿部一智、永野潤、永野拓也訳(1999)『中世哲学史』新評論.

これは哲学についての辞典みたいなやつで大きいし分厚いし高いし重い。本村は借りるの諦めてコピーだけ取って帰った。この本でのアヴィケブロンの表記は「サロモン・ブン・ガビロル」。
この本のすごいとこはアヴィケブロンについての項目が10ページも(!)あること。ただ内容がやはり哲学者としてのアヴィケブロンについてなので哲学の知識ないとマジで何言ってるか分からん。少なくとも本村には何言ってんのかわかんなかった。
この本を読んで本村がわかったことは『王の冠』の作者であるユダヤ詩人のイブン・ガビーロールと、『生命の泉』の著者であるアヴィケブロンが1846年になるまで別の存在だと思われてたってことくらいだ。でもこの本はアヴィケブロンの宗教詩の一節が引用されててすごい(すごい)

「スペイン系ユダヤ人によって書かれたテクストがほとんどすべてそうであるようにアラビア語で書かれたサロモン・ブン・ガビロルの哲学関係の著作もとくにキリスト教世界に普及した。『生命の泉』というタイトルで十二世紀にラテン語に翻訳されたこの著作はその後一貫してアヴィケブロンなる謎の人物の手になるものと考えられてきた。著者はアラブ人であると一般には考えられていたが、ラテン語版には宗教に言及する箇所がまったくないので、この点についての曖昧さが払拭されずにいた。一八四六年になってようやくサロモン・ムンクなる歴史家がラテン人によって「アヴェンケブロル」あるいは「アヴィケブロン」と呼ばれたこのアラブの著述家は「イブン・ガビロル」の名で知られたユダヤ人の著名な詩人であり、中世詩の中でもっとも華々しい成功を勝ち取った『王の冠』の作者であることを立証した。」(p.252-253)

「彼の宗教詩の主だったところは祈りの文句のなかに保存されている。とくにつぎの句を挙げておかねばなるまい。「粘土の住まいに暮らす者たちよ、汝らは何ゆえにまなざしをあげるのか?」」(p.253)

Fate/Grand Orderからアヴィケブロン推しになって必死こいてアヴィケブロンに関する記述を集めてるので粘土って単語に過剰に反応してしまう これどこからの引用なのか書かれてなくてこれ以上調べようがないのでこまる、みんなソース書いてくれほんと頼む

これだけ褒めちぎられてるアヴィケブロン先生だけど『生命の泉』に関してはボロクソに言われてることについての解説なので心がすごい痛い そこまで言うことなくない?

「『生命の泉』がラテン世界で名声を博したというのもアヴィケブロンが十三世紀のスコラ学者によって延々たる重箱の隅をつつくような批評の対象になったからであって、とくにトマス・アクィナスはその著作『精神的被造物について』の触りの部分を彼についての論評に当てている。しかしすでにアルベルトゥス・マグヌスがアヴィケブロンの哲学を「呪わしい」、「忌まわしい」哲学として告発しており、ひとり偽作者のみが「『生命の泉』のごとき書物を捏造し」うると考えて、作者が本当にアヴィケブロンであるかいなかにまで疑いをさしはさむ始末であった。」(p.253)

でもよく見たらその後に『中世哲学史』の作者によってフォローされてたからよかったね……感 いや何言ってんのか本村にはわかんないんだけど……新プラトン主義のことちゃんと理解してたら何言ってるのかわかると思うんだけどそもそも本村プラトンについても詳しくないから… 要約すると「粗探し家に突かれまくってるけどよくよく読んで理解したらアクィナスとかに言われてるほどアリストテレスの考えから離れた間違ったこと言ってるわけではないと思うよ」みたいな…?

「すなわち人間の目的は「各々の事柄が自らの似姿のもとに帰るために、その魂が高次の世界と結合することapplicatioである」。」(p.254)

これもアヴィケブロンの言葉として挙げられている。applicatioの意味がわかってないんだけど要するに人間存在の目的が「魂と高次の世界との合体」らしい。エレナママのマハトマとかじみてきた(そもそも神智学の話だからエレナのマハトマとかとおんなじ概念なんだと思う)(俄然与太話イベが楽しみになってきた)(エレナママ、インド兄弟もニコテスとエジソンとも仲良しで多分ていうか確実にアヴィケブロンとも仲良くなるだろうから本当につよいな…)
本村にはアヴィケブロン先生の哲学の理解はちょっと難しいので引用とかコメントとかはここまでにしておくけどアヴィケブロン先生何考えてたんやろ……って人は是非『中世哲学史』読んでもらってわかるしたりわかりやすく解説したりしてほしい……

ちなみに『中世哲学史』の人物索引に載ってるイブン・ナントカさんは全部で48人 アイドルグループ作るしかないな

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