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【運】のメカニズム

私は、平凡な人間である。
取り立てて自慢できるようなものもない。
が、
一つだけ、これだけは誰にも負けないと
胸を張って言える事がある。それは

運がめちゃくちゃ良い事

ここ18年くらい、
運の良い自分と付き合っていて、
どうやら運と言うやつにはある法則があることに気が付いた。
それは、

あと一押し自分ではどうしようもない!と言う段になって、
初めて「運」がモノを言うが、
その一歩手前まで持っていくことは出来る。

と言う事。
これを始めて学んだのは、大学時代の部活である。

私は大学時代、ボート部に所属していた。
ボートとは、
1人乗り・2人乗り・4人乗り・8人乗り
そのなかでもスカルとスイープと、
様々な種目があり、
皆で力を合わせてゴールに向かうスポーツ

残念ながら、2年生で膝に怪我をしてしまい、
選手として頑張ることは難しくなった。
そこで、裏方として選手を支える立場になることにした。

幹部学年になって、マネージャーのトップである
主務という役職に付いた。
この時、自分に課した目標がある。
大学に8人乗りのエイトの艇を買ってもらう交渉をまとめる事

当時、使っていたエイトが古くなっていた。
実は、このエイト、
メーカーにも寄るが、一艇400万程する。
おいそれと部活の運営費で買える値段ではない。
加えて私の通っていた滋賀大学は、
経済学部と教育学部の2学部しかなく(現在は3学部)
地理的にも離れている為
部活もそれぞれの学部で独立して行っていた。
(私は経済学部に通っていた)

つまり、
元々の学生が少ないうえに、
学部ごとに課外活動の予算が付き、
加えて丁度魔の悪いことに、国立大学の独立行政法人化の真っただ中で
予算がどうなるかも全くわからない状況。
運で言えば、下の方である。

でも、結論から言うと、買ってもらえることになった。

行ったことは下記の通り
・学生の課外活動への決定権を持つのは誰か調査
 ⇒学長や理事
・そこへのアクセスできるのはどこからか
 ⇒学生課
・学生課はボート部の活動を知っているか
 ⇒知らなかったので、活動報告を作成・提出(9月~)
・予算が決まるのはいつごろか
 ⇒年度末の3月、そこまでに結果を出すと決めた
・海外メーカーの代理店さんからの見積もり取得
・副学長や理事への要望と、琵琶湖をシンボルとした滋賀の国立大学のボート部に艇を購入することが、どう大学のブランドになるかプレゼン

ここまで、幹部になった3年生の秋から、
3月末まで方々に顔を出し、話をし、情報を取って、
自分なりに作った文章を見て頂いたりと思いつく限り動いた。
が、結局色好い返事は大学から貰えなかった。

事態が急転したのはこの1ヶ月後。
4月から、エイトの交渉は諦め、
ゴールデンウィークに琵琶湖で行われる
朝日新聞主催の朝日レガッタに
全勢力を向けた。

選手の頑張りのお陰で、
18年ぶりにエイトで決勝に進出。
実業団や私立大学もエントリーした中で
大健闘してくれた。

翌日、興奮冷めやらぬ中、
大学の学生課に報告がてら顔を出したら、
学生課課長さんが血相変えて出てきた。

「昨日の試合、おめでとう!!」
「上手くいくと、要望通るよ!」
「学長が、昨日のボート部の結果を新聞でご覧になったそうだ」
「ボート部の要望、なんとか形にするようにという指示が学長から出てるんだよ」

このとき初めて知った。
まずボート部を知ってもらおうと
今まで毎月何枚も文章作って出していた活動報告が、
全て学長まで回っていたことを。

直ぐに代理店さんに連絡をした。
開口一番、
「よかったね!」
と言って下さり、教えてくださったのが、
「夏に世界選手権が長良川である。」
「その時に、払い下げが出るから、新品同様のエイトが定価より安く手に入るよ」

払い下げ艇
ナショナルチーム等が、一度のレースに使用した後
市場に出回る。自動車で言う新古車

そこから大学と代理店さんと話をしながら
色々と調整を掛けて、
8月に艇庫にピカピカのエイトが来たときは、
とてつもない達成感を覚えた。

そして知った。

最後の最後、やっぱりものを言うのは運だ。
もし、
学長がボート部の試合結果を新聞で見てなかったら、
恐らくこの結果はない。
運よく、試合結果をご覧いただけた。

でも、
それまで自分なりに書いて出していた報告書、
もし、それが学長の頭に【ボート部】と言うワードを
インプットする一助になっていて、
新聞をご覧になったときに、それが繋がって、
「再考してあげよう」
と言う結論になっていたんだとしたら、
誰かが決断を下すテーブルに乗せるまで、
出来る限りのことをして足掻かなきゃ
そもそも運の出番すらない

報告書や試合の結果やプレゼンは、
一つ一つは別個の行動で、
単体で見ると繋がりは見えない。
でも、足掻いて足掻いて足掻いているうちに、
一つの流れとなってある方向に動き出す。

それは、それぞれに目的地を持った車が
ICで合流して、
俯瞰で見ると流れを作る高速道路みたいだ。

8月に艇庫に来たピカピカのエイト、
イタリア製の真っ白なボディに、青いストライプ
こう、名付けた。
【autostrada】

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