白紙に記す

好きだった。絵本も漫画も小説も。
「本」というもの全てが。

不思議と私を別の世界へと導いてくれる。
時間も考え方も誰にも邪魔されない世界へ。

好きだった。古びた木製の本棚に囲まれて終わりのない旅路のように、旅のお供であるかのような取っておきの本を探すのが。

生い茂った森林の中で、まるで運命の人に会うかのような感覚だ。

好きだった。学校から帰って本を読む。それも誰にも邪魔されずほんの世界に入ったかのように読むことが。

小説家になりたかった。理由は単純。
本が好きだったから。

いつからだろう、本を読まなくなったのは。
なぜだろう、あんなに好きだったのに。

小学校高学年からは一切読まなくなった。
部活が始まった事が大きな理由だろう。

「時間が無い」そんな言葉を発するように
なったのもこの頃からだろうか。

そして私の生活から「本」という考えはなくなった。

本の為に時間を割く?そんな無駄な。
面白い本?そんなのあるか。



そして私は高校三年生。大学受験の歳だ。

今はネットの世界。私はまさにネット世界に
踊らされていると言っても過言ではない。

なぜだろう。毎日が息苦しいのは。
なぜだろう。息苦しくて仕方ない。

便利なはずなのに。検索ボタン一つで
自分の知りたいこと、全てわかる。

本なんて。簡単にわからせてくれないのに。

なぜだろう。本に哀愁が湧くのは。

簡単なことなのに。私は目を背けてる。

今のご時世。皆が着飾る。皆が同じ顔。
考え方まで似ている。

可愛いから幸せ。恋人がいるから幸せ。
ネット世界ではそんな人ばかりだ。

受験生たるもの、現代文の作品では
欧米と日本人の性格の異なる点について
よく触れる。

決まって「日本人は奥手だ」これが結論。

本当にそうなのだろうか。

違うと私は思う。

皆ネットに躍らされているんだ。
これが正解と最初から示してくれる
ネットに従って生きている。

ファッション。ヘアスタイル。etc

自分の人生が一冊の本だとしたら、
最初から答えが示されているかのような人生。

私はそれに疲れたのだ。

受験生なんだから勉強だけしてろ。
高校生なんだから着飾らなきゃ。

全て記されている。これ通り進めば間違いないかもしれない。

でも私はそれに疲れた。だからこうしてただ過ぎていく日々に嫌気がさした。

「本」それは私の原点。

私はやっぱりここに行き着く。
誰にも邪魔されない。
答えもない。

事前に敷かれたレールをただ歩いてきた
この数年。

私はやっぱり自分の行きたい道を行きたい。

こんな素人で高校生の私が小説を
かける時代。

こんな機会に感謝して、この先クリアになった私の人生。白紙の人生を鮮やかなものに書き記していこうと期待を抱いて、私らしく生きていこうと思う。



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