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グラビア印刷とは?=食品包装

本日はよく質問を受ける

  1. グラビア印刷ってそもそも何?

  2. どんな商品を製造しているの?

  3. プラスチックフィルムと環境問題について

という内容をまとめていきたいと思います。


まず始めに【グラビア印刷】と聞くとグラビアアイドルや雑誌の綺麗な風景等の写真を思い浮かべる方が多いと思います。

ちなみにグラビア印刷とはシリンダー(凹版)にメッキ処理を施し、そこに印刷したい文字やデザインを彫りこみ印刷機械にセットし回転させながらロールフィルムやロール紙を印刷していく手法です。
凹版を使用し、かつ油性インキ(一概に油性インキという表現は正しくないですが分かりやすくするために)を使うためカラー印刷と呼ばれる写真や色のかけあわさったデザインに対しての再現性の高さや大量LOTの生産性に優れた特徴があります。

印刷機 例
グラビア用の版 例

グラビアアイドルの語源となっているのはグラビア印刷からだと思いますが、実際にはグラビア印刷は軟包装と呼ばれる食品包装等(厳密にはフィルム印刷)を軸に仕事をされている会社が多いです。

では実際にどのような商品に印刷しているの?という点ですが、こちらは多岐にわたりますのでスーパーに並んでいる商品を例にしてざっくり取り上げていきたいと思います。

  • パン袋 米袋 野菜袋 漬け物袋 冷凍食品 チルド用 乾物袋 菓子袋 レトルト袋 

  • 豆腐容器等のフタ材として使われているフィルム

  • 文具等の袋 詰め替え用シャンプー等 

あくまでこれはプラスチックフィルムに入っているものになりますので米袋をグラビア印刷以外の印刷手法で行っている場合や、カレーのレトルト袋の場合は具の入っている袋のみが該当し外袋の紙は含まれません。
例にあげたプラスチックフィルムの中にも多少は別の印刷方法で製造されているものもありますがそれにしても多いなという印象を受けないでしょうか?また紙の印刷をグラビア印刷で行う場合もあるので本当にこれは一例という感じです。

また近年プラスチックフィルムを削減する動きも多くあります。

OPフィルム

こちらに関しましては環境問題を考え、減らす努力やフィルムとインキのバイオマス化やノントルエン溶剤、インキの使用等を弊社でも取り組んでいます。


取り組むというより無くすべき!という意見もあると思いますが紙袋で全ての袋を対応する事は出来ません。


水物の入る袋(漬け物等)やボイル、レトルト、冷凍の袋にはそれにあったプラスチックフィルムを選定しないといけませんし、紙とフィルムでは、コスト面でも開きがありますのでゼロにする事は難しいと思っております。

また日本特有の過剰品質と呼ばれる意識の問題もあるのではないかと思っております。

実は海外では軟包装におけるグラビア印刷の割合はあまり多くありません。


軟包装では90%以上がグラビア印刷と言われている日本ですがアメリカやヨーロッパ等の欧米では20%~30%と比較した場合かなり差があります。
これには諸説ありますが、印字やデザインに対する厳しさがあるのは事実です。
欧米等がグラビア印刷に変わるものとしてフレキソ印刷という水性インキを使用した印刷方式で軟包装でも印刷を行っていますが、こちらの印刷は主に日本では段ボール等の紙製品に使われている印刷です。

紙に対してフレキソ印刷は再現性が高いですが、プラスチックフィルムには水性インキだと再現性は落ちてしまいます。
これはグラビア印刷、フレキソ印刷等の特性の良し悪しであり、紙にインキを塗布する場合やフィルムに塗布する場合での差や、版に関しましてもグラビアとフレキソでは全く違います。
グラビア印刷のシリンダーは上記にて説明してますので割愛しますが、フレキソ印刷での版の場合はゴムや樹脂などを使った凸版になります。
凸版と凹版でも得意とする印刷は変わりますし版の固さや印刷形式においても得意不得意はあります。

一概にどちらが正解というのは無いのですが、求められる印刷や印字の精度がフィルムにおいては高いため軟包装においてはグラビア印刷でないとクレームになるケースは多いと思います。


デジタル印刷やフレキソ印刷等は今後増えていくと思いますが、10年前からグラビア印刷に変わるモノと言われていましたが日本では過剰な品質保持のためにほとんどそのシェアは変わっていません。


グラビア印刷も環境に優しいインキ等が増えていますし、良い面もたくさんありますが、残留溶剤(臭気)や工場環境の問題、またシリンダー等の保管場所等、多岐にわたり課題があります。

環境面やどのようなものにどのような印刷を施すか、また製造するLOT数次第ではフレキソ印刷に劣る部分はたくさんあると僕は思ってます。


今後少しずつでも環境問題や印刷としてのやり方などがあるなかで最良な方法を末端ユーザーさんと話し合っていけるようにしていきたいです。
そうすることで末端ユーザーであるメーカーさんも選択肢が増えるメリットや、環境配慮への取り組みを行ないやすくなると思います。

余談ですが小さな印刷ミスや目を凝らさないと分からないようなクレーム、誤差範囲の微妙な色の違い等もクレームにて全て捨てて刷り直しになることがあります。
もちろん印刷でのミスは印刷会社が悪いです。
ただ厳しい会社になると

例  10万枚袋を作った中に仮に1枚だけ印字が悪い袋があるとします。(印字が悪いといっても読めるし、バーコードもきちんと反応する)

仮の話ですが、このような場合でも10万枚全て捨てたり、全てを1枚づつ検品作業したりということがあります。
ダメと言われればダメですが…クレーム内容次第では僕はどうにか使ってもらえないかと頼むようにしてます。
色々な意見があるとは思いますが、過剰過ぎる品質の影響で資源を無駄に捨てたり、無駄に使ったりしていることは実はかなりあります。

このようなことにも配慮して少しでも良いものを製造出来るようこれからも頑張っていきたいと思います。


最後に
実は会社のことを心配してくれる心優しい方から/グラビア印刷って仕事あるんですか?

という質問を受けることがたまにありますが、今回まとめた通り、僕の会社では日々このような軟包装と呼ばれる商品を製造していると思って頂ければと思います。
長々とありがとうございました。

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