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令和3年刑事系第2問(刑事訴訟法)試験に挑戦―基礎知識編

令和3年刑事系第2問(刑事訴訟法)試験に挑戦―基礎知識編
設問1=令状による捜索差押の適法性
【基礎知識】
1、令状に基づく差押が適法といえるのは、差し押さえた物が、令状記載の被疑事実と関連性がある差押対象物に該当しなければならない。
1-1
本問
①形式的適法性→令状に「名刺」が記載されている。
②関連性→甲が丙組幹部に犯行で得た金の一部を貢いでいると供述していることから,本件住居侵入強盗の背後に暴力団丙組がいることが窺がえるといえ,本件住居侵入強盗との関連性が肯定できる。
2、その場で確認できない電子媒体などの包括差押の要件
(1)被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性は認められること
(2)その場で確認していたのでは記録された情報が損壊される危険性がある場合

その場で電子媒体の内容を確認しないまま差押えが許される
3、上記2の参考判例=最決平成10年5月1日
 浦和地裁の準抗告事件=オウム真理教信者が使用している自動車が窒素酸化物規制法に抵触するため、自動車の虚偽記載情報をフロッピーディスクに記録した。これを警察が押収した事件。
4、本問
 甲はアジトにはUSBメモリがあり,パスワードが掛けられていて,一度でも間違えると初期化されてしまうということやパスワードは8桁の数字であると自供していたこと,乙が述べたパスワードは「2222」と数字4桁であり,甲の供述による8桁の数字とは異なることから,その場で乙の述べるパスワードを打ち込めば,USB内の情報は初期化され損壊されてしまう危険があるため,包括的差押えの必要性はある。
設問2=伝聞証拠
1、伝聞証拠の意義と論証例
320条1項=321条乃至328条に規定する場合を除いては、公判期日における代えて書面とし、または公判期日以外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない。
320条2項=291条の2(簡易公判手続き)の時は前項の適用はない。但し、検察官、被告人又は弁護人が異議を述べたときは、この限りではない。
320条1項
語呂→伝聞証拠で間違えたのは、雑な会話(ざつなかいわ=320)を聞いたのが一番(1)
[論証]
 人の供述は知覚、記憶、表現の各過程を経て証拠化されるが、これらの過程で誤りが混入する恐れが高い。そこで、誤判防止のためには公判廷外の供述は田運証拠として原則、証拠能力を否定する。これを伝聞法則という。(320条1項)
[形式説からの論証]
人の供述は知覚、記憶、表現の各過程を経て証拠化されるが、これらの過程で誤りが混入する恐れが高い。そこで、誤判防止のためには公判廷外の供述は田運証拠として原則、証拠能力を否定する。これを伝聞法則という。(320条1項)しかし、そのような供述又は供述書であっても、要証事実との関係でその内容の真実性が問題にならない場合まで、証拠能力を否定する必要はない。そこで、伝聞証拠とは、「公判廷における供述に代わる書面」または「公判廷外における他の者の供述を内容とする供述」のうち要証事実との関係で真実性が問題になるものというと考える。
[実質説からの論証]
人の供述は知覚、記憶、表現の各過程を経て証拠化されるが、これらの過程で誤りが混入する恐れが高い。そこで、誤判防止のためには公判廷外の供述は田運証拠として原則、証拠能力を否定する。これを伝聞法則という。(320条1項)しかし、そのような供述又は供述書であっても、要証事実との関係でその内容の真実性が問題にならない場合まで、証拠能力を否定する必要はない。そこで、伝聞証拠とは、「公判廷における供述に代わる書面」または「公判廷外における他の者の供述を内容とする供述」のうち、公判廷で反対尋問を受けず、かつ、要証事実との関係で真実性が問題になるものというと考える。
2、立証事実と要証事実の違いと試験対策
(1)両者の意義と違い
立証事実=証拠と証明すべき事実との関係を具体的に明示したものという。
参考=刑事訴訟規則189条1項
証拠調べの請求は、証拠と証明すべき事実との関係を具体的に明示して、これをしなければならない。
要証事実=証拠によって、直接証明されるべき事実をいう。この事実は主要事実(構成要件に該当する事実など)のほか、主要事実を推認させる間接事実の場合がある。
(2)試験対策
 問題文では、立証事実だけを挙げるケースがほとんど。この立証事実が要証事実とまったく同じである場合が多いが、若干、ずれることがある。問題文と証拠内容を慎重に考え、立証事実を確定しなければならない場合もある。例えば、問題文では、立証事実は「甲と乙の共謀」とされているが、要証事実は「甲が乙に幇助した事実」である、などと要証事実を厳密に設定する必要があるケースも。
3、①伝聞、②非伝聞、③供述証拠の非供述的用法、④伝聞例外の区別
★区別
①伝聞と認定されたら、証拠能力は認められない。
②非伝聞→犯罪の故意、嫌悪の意図など精神状態の供述やそのメモなどには、知覚、記憶の過程で誤りが混入恐れが少ない反対尋問によるテストをする必要がない→非伝聞と認定されれば、証拠能力は認められる。
③供述の非供述的用法→言葉の存在自体が要証事実とする場合、供述内容の真実性が問題とならないため、伝聞証拠にはならない。例えば「私はアンドロメダ星の大王だ」などの精神異常を推認させるような発言。
④伝聞例外=321条1項各号(被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の押印があるもの)
(1)1号
ア、1号=裁面調書→裁判官の面前での供述録取書
イ、例外要件=供述不能または不一致供述又は相反供述
(2)2号
ア、2号=検面調書→検察官の面前における供述
イ、例外要件=供述不能又は相反性と相対的特信状況
(3)3号
ア、3号=員面調書→司法警察職員の面前における供述を録取した書面など
イ、例外要件=ⅰ供述不能かつⅱ必要不可欠性かつⅲ絶対特信情況
★試験対策
 試験では員面調書の要件とそのあてはめがほとんど。
語呂→この条文は語呂合わせなし暗記を。
以上

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