刑法条文・理論攻略法16

刑法条文攻略法16
【2項詐欺罪】
1、構成要件
①欺罔行為②錯誤③処分行為④財産上の利益の移転(因果関係の必要性あり)
⑤故意⑥不法領得の意思
2、判例=根抵当権放棄
【文献種別】 決定/最高裁判所第三小法廷(上告審)
【裁判年月日】 平成16年 7月 7日
【事件番号】 平成13年(あ)第1839号
【事件名】 詐欺被告事件
【審級関係】 第一審 28095667
大阪地方裁判所 平成11年(わ)第2653号
平成13年 1月15日 判決
控訴審 28095668
大阪高等裁判所 平成13年(う)第201号
平成13年10月24日 判決
【事案の概要】 鹿児島県の被告人が経営するT会社は住宅金融専門会社に対する債務を担保するため、各不動産に根抵当権等を設定したところ、各根抵当権等を被担保債権と共に譲受けた住宅金融債権管理機構の担当者を被告人が欺き、各根抵当権等を放棄させ、その登記を抹消させた詐欺被告事件の上告審において、被告人は、真実は自己が実質的に支配するダミー会社への売却であることなどを秘し、住管機構の担当者を欺いて本件各不動産を第三者に売却するものと誤信させ、住管機構をして本件各根抵当権等を放棄させてその抹消登記を了したものであるから、刑法246条2項の詐欺罪が成立するとして、原判決を維持して上告を棄却した。
【判示事項】 〔最高裁判所刑事判例集〕
根抵当権者に相当の対価を支払い根抵当権を放棄させた行為と詐欺罪の成立
【要旨】 〔最高裁判所刑事判例集〕
根抵当権放棄の対価として支払われた金員が根抵当権者において相当と認めた金額であっても、根抵当権者が、当該金員支払は根抵当権設定者が根抵当権の目的である不動産を第三者に正規に売却することに伴うものと誤信しなければ、根抵当権の放棄に応ずることはなかったにもかかわらず、根抵当権設定者が、真実は自己の支配する会社への売却であることなどを秘し、根抵当権者を欺いて前記のように誤信させ、根抵当権を放棄させてその抹消登記を了した場合には、刑法246条2項の詐欺罪が成立する。
以上

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