刑法条文・理論攻略法19

刑法条文・理論攻略法19
【誤振り込みされた預金の引き出し行為】
 誤振り込みがなされたことを知っていたのに、それを秘して、あたかもそれが自己の預金を通常の引き出したことは、財物の交付について判断の基礎に関連した重要な事実を偽ったことに相当→1項詐欺罪
【文献種別】 決定/最高裁判所第二小法廷(上告審)
【裁判年月日】 平成15年 3月12日
【事件番号】 平成10年(あ)第488号
【事件名】 詐欺被告事件
【審級関係】 第一審 28045270
大阪地方裁判所堺支部 平成8年(わ)第573号
平成 9年10月27日 判決
控訴審 28045198
大阪高等裁判所 平成9年(う)第1142号
平成10年 3月18日 判決
【事案の概要】大阪市の泉州銀行金剛支店事件
 被告人は、平成7年4月25日朝、たまたま大阪府富田林市・泉州銀行金剛支店を訪れ、同支店備え付けの現金自動支払機により、同支店に開設している自己名義の普通預金口座の通帳に記帳した際、心当たりのない日本システム収納株式会社からの振込金75万31円が誤って同口座に入金され同口座の残高が92万円余りとなっているのを知ったことから、これを奇貨として預金払戻し名下に金員を騙取しようと企て、通常の正当な預金払戻しであるかのように装い、88万円の交付を受けて、これを騙取したものである
〔最高裁判所刑事判例集〕
誤った振込みがあることを知った受取人がその情を秘して預金の払戻しを受けた場合と詐欺罪の成否
【要旨】 〔最高裁判所刑事判例集〕
誤った振込みがあることを知った受取人が、その情を秘して預金の払戻しを請求し、その払戻しを受けた場合には、詐欺罪が成立する。

以上

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