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Eテレ『ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。』を見て

『藤井太洋とゴローとジジとペンタ』の回を見た

藤井太洋さんを知ったきっかけは、2012年、AmazonのKindleで処女作『Gene Mapper』が出版された時に、夫がやや興奮気味にその面白さを語ってくれたことにある。

夫がそこまで熱ある語りをした理由は、作品そのものの面白さももちろんのこと、当時は非常に珍しかった「制作からプロモーションまでをすべて個人で行う」ことの新鮮さにもあった。夫の話を聞きながら、私も「ああ、新しい時代がやってきたな」とワクワクした覚えがある。

読書が趣味でSF好きな夫は、その後も藤井さんの作品を読んでいる。一方私は、2000年代に入って以降、実用書が読書の9割を超え、あまり小説を読まなくなってしまったので、藤井さんの作品は一度も読んだことが無い。ただ、興味深い作家さんとして記憶に刻まれていたので、藤井太洋さん&ネコの組み合わせに興味がわいて、私も夫と一緒に見ることにした。

『岩合光昭の世界ネコ歩き』とは異なるネコの姿

ネコのテレビ番組というと、『岩合光昭の世界ネコ歩き』がよく知られているかと思う。もちろん、その存在はよく知っているが、積極的に見ようという意欲はわかなかった。何故だろうとずっと思っていたのだが、『ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。』を見てわかった。私が好きなのは「家族としてのネコ」なのだ。

『岩合光昭の世界ネコ歩き』にも家族としてのネコは登場するが、ちょっとそっけない感じがする。それに対して「ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。」のネコたちは、そっけない様子だとしても、実はヒトをしっかり意識していて、甘えるスキを伺っているように見える。ぐっと心理的な距離が近い気がするのだ。

私の見た『岩合光昭の世界ネコ歩き』の回が、たまたまそっけない感じだっただけかもしれないし、私の見た『ネコメンタリー 猫も、杓子(しゃくし)も。』が、たまたまぐっと絆を感じさせる映像だけだったかもしれない。

ただ、『藤井太洋とゴローとジジとペンタ』のネコたちからは、小さな鼻から規則正しく吐き出される息遣いと、その温かさを感じた。家族に気を許してゆったりと身をゆだねている時の、だらりとした重さが感じられた。

ああ、ネコって、いいなぁ。よかったなぁ。

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