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惰性

散歩中、通りがかった家の前に虫取り網が置いてあるのを見て、ふと幼い頃を思い出した。

あの頃は活力に満ちていた。毎日外に遊びに行っていたし、学校から帰って来てもまたすぐ出かけるのが当たり前だった。

それが大学生も終わりが近づいた今では学校や前々から決まっていた予定以外では外に出ようなどとは思わない。活力の「か」の字も感じられない生活だ。もしかしたら俺は幼い頃の惰性で動いているだけなのではないか。そんな気さえしてくる程に…

もうすでに惰性で動いているとしたら俺はいつまで動いていられるのか。そんな考えが頭をよぎる。あと10年…20年…運良く70年ほどの長い時間動いていられるだろうか。しかし、惰性で動いているだけなら今後の人生は緩やかに減速していくということだ。いつ止まるかも分からない状況下で死ぬまで生き続けるのだろうか。

それもまた1つの生き方かもしれない。加速することはなくとも、いつ止まるか分からない恐怖を抱えながら減速していくのも退屈しなくて済むかもしれない。

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