年代から見るプロセカ収録楽曲159曲

 プロジェクトセカイに収録される楽曲を腰を入れて考えるうえで調べたいろいろ記録のまとめです。

この記事では、
どの年代の曲が何曲収録されているのか
転じて、プロジェクトセカイに収録される楽曲にはどのような傾向・基準があるのか
を見ます。

備考

・本記事の記録は2022年1月10日現在、プロセカに収録されている / 収録が決定している164曲を対象としたもの(グローバル版先行収録曲であるMIKUも含む)
 -2022年1月7日に発表・収録が決定した日清タイアップの書き下ろし5曲に関しては、発表以前に調べたものなので統計からは除外する

 曲の分類に関して
・プロジェクトセカイに書き下ろされた43曲を「書き下ろし曲」と表記
・楽曲コンテスト「プロセカNEXT」で採用された8曲を「公募曲」と表記
・以前よりYouTube/ニコニコ等で公開されていた、プロジェクトセカイに収録されている108曲を「既存曲」と表記
 -既存曲に関して、公式にバーチャルシンガー以外による歌唱音源が存在する / バーチャルシンガーによる歌唱音源が存在しない7曲を「非ボカロ曲」と表記
 -「マジカルミライ」などのVOCALOID公式コンテンツに書き下ろされた11曲を「公式曲」と表記
  -どちらの条件にも広義で当てはまる既存曲は4曲ありますが、それぞれ「青く駆けろ!」は公式曲、「エンドマークに希望と涙を添えて」「the EmpErroR」「Don't Fight The Music」は非ボカロ曲としてカウントする

複数バージョンが存在する楽曲に関して
・2つ以上のバージョンする楽曲は、全般的に1曲扱いとする。
それらの楽曲の日時記録(投稿日、ミリオン達成日)については、便宜的に以下に準拠する
 -プロセカに収録されているバージョンに準拠する例
アスノヨゾラ哨戒班」「右肩の蝶(鏡音レン歌唱版)」「テレキャスタービーボーイ(long ver.)
 -原曲バージョンに準拠する、プロセカにはアレンジ版が収録されている例
Nostalogic (single edit)」(プロセカ収録版はMEIKO SAN mix)「サンドリヨン」(プロセカ収録版は10th Anniversary)

まとめ

 以下の文章を全部読もうと思うと結構な時間を食うおそれがあるので、ある程度の要約です。

投稿年・ミリオン達成年別に見るプロセカ収録楽曲
どちらかというと新しい楽曲を割合多めにしていると公言している通り、2017~2018年の収録数が多めとなっている。これは投稿年・ミリオン達成年どちらの記録でも見られる特徴である。

・収録楽曲を年代別で分類すると、2014年の楽曲の収録数が15曲とひとつ頭を抜けている。これらを見ていると、後年になってミリオン達成した(=知名度/人気を得た)楽曲が多いことがわかる。
プロセカ制作チームは単に投稿年で「新しさ」を判断しているのではなく、ミリオン達成=人気が出た年という観点でも「どちらかといえば新しい楽曲」を選定しているのだと考えられる。

「新しい」楽曲について
投稿から実装までにかかる最短の期間は、現状ではだいたい10ヶ月前後ほどである。
・「収録の決定から実装までの期間は(レコーディングを含め)概ね5ヶ月」と公言されているが、収録の決定に最低でも4ヶ月ほどはかかっているのかもしれない。

収録基準とミリオン再生

・プロセカに収録される楽曲は大半がミリオン再生されている。
 が、そうではない例外も見られるため、それが絶対的な直接の基準になっているわけではなく、「ミリオン再生されるほどの高い知名度や人気があるか」がだいたいの基準/指標になっているのだと考えられる。
つまりは、外部からは再現度の高い予測をするのは簡単ではないということである。

・VOCALOID関連コンテンツへの提供楽曲は、「投稿日が新しい」「ミリオン未達成」などの収録の基準に相当するか難しい部類のものでも収録されているため、なかば例外的に取り扱われていると推測できる。
 -これは、裏を返せば「VOCALOID関連コンテンツへの提供楽曲であれば、本来の収録基準に達していなさそうな楽曲でも収録される可能性がある」ことを意味している。

ユニットごとの年代傾向
 それぞれのユニットがカバーしている楽曲の年代傾向は以下のようなものがある。

レオニ
・ある程度幅広い年代を拾っているが、2018年以降の「新しい」楽曲は少なく感じられる。

モモジャン
・投稿年で見れば初期に偏っている。が、ミリオン達成年で見ると比較的満遍なくカバーしている。

ビビバス
YouTubeのみでミリオン再生されている楽曲が多い。ニーゴには見劣りするが、こちらも2018~2019年の楽曲が多め。

ワンダショ
カバー楽曲の年代の振れ幅がもっとも大きいが、全体的には2016~2018年あたりに偏っている

ニーゴ
全ユニットでもっとも新しい楽曲が多い傾向にある。

・また、カバーが収録されていない楽曲については、「新しい」楽曲をカバーするユニットが多いぶんの割を喰らったためか往年の曲が多い形となっている。

 以下からは本文です。

どの年代の楽曲が多いのか? どう判断するか


 まず「収録楽曲はどう選ばれているか」に関して。

 こちらの楽曲に関するインタビューでは、収録する楽曲の傾向について具体的に下記のような言及が見られます。以下引用。

――『プロセカ』にはオリジナルの楽曲だけではなく、既存の人気ボーカロイド曲も収録されています。この曲はどのようにして選ばれているのでしょうか。

田村 ゲームに収録する既存のボーカロイド楽曲の候補は、3社で検討をしています。
プロジェクトの目指しているものとして、若い世代の方たちにボーカロイドの音楽に親しんでいただきたいという思いがあります。そのため幅広く各世代の楽曲は取り入れつつ、どちらかというと新しい楽曲を割合的には多めに検討しております。また、キャラクター・ユニットの音楽性なども加味しつつ、常に500曲程度をリストアップしています。

 これを思考の下敷きにして、現状の結果を見ていきます。
「どちらかというと新しい楽曲」はどのように定義されていくかも考えていけたらいいでしょう。

見ていくにあたって 全体の母数の話

 プロセカ収録楽曲の年代別の推移と、そもそもボカロ全体の年代別の推移を比較する際、投稿年日とミリオン達成年日のどちらの推移を見るのがよいのでしょうか?

 投稿日は、投稿者=ボカロPが能動的に設定するものです。リスナーに介入する余地はほぼありません。
一方で、ミリオン達成日は視聴数=リスナー側に依存して設定されるものです
そのように考えると、二つの年時記録は「ボカロP主体」か「リスナー主体」どちらでボカロ文化がどのような推移を経たかを見るためのものといえます。
 なかなかベクトルが違います。違うからといって、混ぜて考えるとそれはそれでボカロの歴史そのものの話になってしまい「収録楽曲にどのような傾向があるか見たい」という主題から逸れていくので、分けて考えていきます。

 また、ここでいう「ミリオン達成年/日」は、「一定数の人気/知名度を得た具体的な日時」くらいの扱いです。そういった扱いをするにしてもさまざまな誤差はありますが、それはボカロ文化をリスナー主体で見ることで生まれる弊害の範疇です。

 ①投稿年で見る

 既存曲108曲の動画投稿年を見ていきます。年別で分けた場合は以下の通り。

以下から登場するグラフは全てスプレッドシートのスクショです

 2014年が突出して多く、直後の2015年が極端に少ない、という不思議なゾーンもあったりしますが、概ね平等に幅広く収録されている印象です
印象というだけで、2017年以降からは平均よりも大幅に収録数が増えていています。「どちらかというと新しい楽曲を割合多く」している結果といえます。

 収録数だけでなく、母数を見なければどうなのか判断しづらいかもしれません。
年別の投稿数の推移(=母数)の情報にはこんなものがあります(リンク先画像)。

 2020年12月のデータですが、過去のデータはなかなか変わるものではないので参考にできます。

 また、投稿全体を見ると、初音ミクが誕生した2007年から年々伸び続け、最も投稿数が多い2012年のボカロ動画数は11万本を超えたことが分かった。
 2012年をピークに投稿数は徐々に下がっていくが、2020年は2016~2019年の投稿数を上回っていることが印象的だ。

 引用した記事内にあるグラフの推移を見ると、2011~2013年をピークに増えていたことがわかります。
 ただ、プロセカがニコニコ動画での推移に沿って2011~2013年の楽曲を多めにしているかというとそれは違いますね。
上記の投稿年別グラフと記事内の総数グラフを比較して見れば、必ずしもプロセカ収録楽曲の年代ごとの推移が実際の推移に沿っているわけではないことがわかります。

 ②ミリオン達成年で見る

 既存曲108曲のうち、ニコニコ動画・YouTubeのいずれかでミリオン再生されている曲は99曲。そのうち、ニコニコ動画で再生数がミリオンに達成した曲は84曲。
84曲のミリオン達成日記録を年代別で分類したグラフが以下です。

 そもそもの話になりますが、投稿数よりもミリオン達成数のほうがはるかに母数が少ないです。そうした要因と、「ある程度の人気が担保された日付」であるという性質も合わせて、年代別の推移とプロセカ収録楽曲の年代別の推移を見る際にはミリオン達成年の記録で見る方が確実なのではと思われます。あくまでも個人的な意見です。

 ミリオン達成年の記録に関しては初音ミクwikiに残っています。そちらを引用して、年別のミリオン達成数の推移をグラフにします。

2013年の「ニコニコ動画でのミリオン達成数」は42曲ですが、2013年のミリオン達成曲に「ODDS&ENDS」を含んでいるため43曲となっています

 年別のミリオン達成数(=母数)は、2014年にやや減少していたりもしますが、概ね右肩上がりに上昇していると言えます。
 収録楽曲に絞って見ると、どの年代に偏っているかは判断しづらくなります。強いていえば、特出して収録数が多い2018年を中心に後期が多めな形になっています。
 こちらも投稿年の推移と同じく、ミリオン達成年の推移(=母数)と沿っているとはいえません。

「新しい楽曲が多い」のは言われなくても当然なのでは?

 ミリオン達成数の年別グラフが現に示した通り、楽曲のミリオン達成年=リスナー主体で見た場合のボカロ文化はほぼ右肩上がりに上昇しています。ボカロPとは違って、リスナー=再生数は増えていく一方しかないので、そのような形になるのは当然です。
 ボカロ文化後期の(人気)楽曲が初期の何倍もあるなら、たとえ恣意的に「新しい楽曲」を多めにするのではなく、「年代ごとにほぼ均等に追加していった」としても「どちらかというと新しい楽曲が割合多めになる」のではないでしょうか?
 これは屁理屈に過ぎませんが… でも、インタビューで言及されていたように、また結果そうなっているように、「どちらかというと新しい楽曲が割合多めになる」のは、ボカロ文化の推移を見ても当然の帰結といえるでしょう

どちらかというと新しい? 2014年の不思議

 収録楽曲の年時記録を見ると、2014年がなかなか面白い結果になっていることがわかります。
投稿楽曲で見ると15曲と収録数がもっとも多い年になるのですが、ミリオン達成楽曲で見ると2曲と収録数がもっとも少ない年になります(2011年と同数)。

 全体数を見れば、2014年は投稿数、ミリオン達成数ともに数が少なからず落ち込んだ年です。にも関わらず2014年に投稿された楽曲が多いのは、2014年の楽曲が大器晩成型である例が多いということを意味しているのでしょうか。
 そうであるとするなら、単に投稿年で見ているのではなく、ミリオン達成=人気が出た年という観点でも「どちらかといえば新しい楽曲」を選んでいるのかもしれません。そうした結果、2014年の投稿された楽曲が多い形になっているのでしょう。
プロセカ収録楽曲に絞って見たうえでの話に過ぎませんが、ボカロの歴史的にも面白い結果になっているのではないでしょうか。

 といっても、2022年時点で2014年はもう8年前にもなります。代謝の早い文化の中での8年前ってかなり大きいと思うのですが、それも「どちらからというと新しい」に分類されるのでしょうか。私にはよくわかりませんが…少なくとも制作チーム的にはそうなのでしょう。

最前線のボカロ曲たちはどうなのか?

「どちらかというと」ではなく、問答無用で「新しい」と言える2019年~以降の楽曲に関してはどうなのでしょうか。

もっとも投稿日が新しい楽曲

 プロセカに収録されている既存曲108曲中、もっとも投稿日が新しい曲は21/08/20の「初音天地開闢神話」です。次点は配信日21/01/14の「Don’t Fight The Music」
いずれも、後述するようにさまざまな例外的な判断によって収録されていると言える楽曲です。なので、あまり参考にはなりません。

 カバーが収録されている曲に絞ると、投稿日がもっとも新しい曲は20/09/12の「テレキャスタービーボーイ(long ver.)」です。次点は投稿日20/08/02の「KING」
 テレキャスタービーボーイ自体はオリジナル版が2019年に投稿されていますが、収録されているのはlong ver.のほうです。

他の「最近の曲」も見てみよう

 投稿から一年足らずで収録された曲を見ていきます。

初音天地開闢神話」が投稿日21/08/20~実装日21/11/05で97日(公式曲)
愛されなくても君がいる」が投稿日20/11/30~実装日20/07/22で131日(公式曲)
青く駆けろ!」が投稿日20/02/27~実装日20/10/17で233日(公式/非ボカロ曲、セカイ版あり)
KING」が投稿日20/08/02~実装日21/05/17で288日(セカイ版あり)
ジャンキーナイトタウンオーケストラ」が投稿日19/12/20~実装日20/10/12で297日
ボッカデラベリタ」が投稿日20/04/26、実装日21/03/06で314日(セカイ版あり)
Gimme×Gimme」が投稿日19/10/26~実装日20/10/10で350日

 「初音天地開闢神話」〜「青く駆けろ!」までの3曲は投稿から収録までの間隔がかなり早い部類ですが、これらは後述するように例外的な基準によって収録された楽曲といえるため、あまり参考にはなりません。
それらを除いた場合の最短はセカイ版も収録されている「KING」で、投稿から約9ヶ月強を経て収録されています。これが現状のプロセカが出せる全速力なのだと考えられます。
リリース初期から「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」「Gimme×Gimme」あたりが一年足らずで追加されているあたりも注目すると面白いですね。

実装までにかかる期間は?

 上記で引用したインタビュー内には、収録されるまでの期間について以下のような言及があります。

――いくつもの工程を踏んでいると、「この曲を実装しよう」と選定し終わってから収録まででもかなりの時間がかかるのではないでしょうか。

田村 リストからこの曲で、と決めるのがレコーディングの1ヶ月~2ヶ月前ですね。そこからスケジュールを合わせつつ、シナリオチームに「このキャラに歌ってもらいます」と合意を取って、キーを調整したりという手順を踏んでレコーディングに移るので更に2ヶ月くらいかかります。最後に作家さんにも確認していただきながらミックスに1ヶ月。合計で5ヶ月くらいはかかっていますね

ストーリーに寄り添う『プロセカ』の緻密な楽曲作り-キャラの成長に合わせて変わっていく歌い方

 カバーの収録にかかる期間が約5ヶ月=約150日と考えると、カバーもといセカイ版が存在し、かつ投稿から一年以内に実装された「KING」「ボッカデラベリタ」はかなりフットワークが軽い部類です。
レコーディング期間を引き算すると、だいたい4~5ヶ月あたりで選定されたと推測できます。ミリオン達成日なども鑑みる必要はありますが、だいたい投稿されて4~5ヶ月ほどの「新しい楽曲」もリストに含めていることになります(これはカバーが収録されていない「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」「Gimme×Gimme」にも同じことが言えます。)。
「どちらかというと新しい楽曲を割合多めにしている」プロセカの姿勢がここにも現れているなというところです。

今ならどの時期の曲までいけるのか?

 「ボッカデラベリタ」「KING」を見ると、プロセカに最速で収録できる最新曲の範囲は投稿からだいたい10ヶ月前後なのだと推察できます。
 2022年1月時点で考えると、2021年1月~3月あたりに投稿されたヒット曲…例を挙げるなら、「ヴァンパイア(DECO*27)」や「エンヴィーベイビー(Kanaria)」など…はいつでも収録される可能性があるということです
逆説的に、それ以降のヒット曲…こちらの例を挙げるなら「パメラ(バルーン)」や「神っぽいな(ピノキオピー)」などがそうです…の収録を望むのは、今のうちは時期尚早と言えるでしょう。

既存曲とミリオン再生の関係

楽曲が収録されるための基準とは

 上記したことでもあるので省きますが、収録される楽曲については「3社で検討している」と述べられたのみで直接の基準は語られていません(何かしらの記事で述べられていたら教えてください)。
それだけでは範囲が広すぎるので、もうちょっと狭めるために考えを進めていきます。以降はだいたいの推測です。

 収録されている既存曲の多くに当てはまる共通点といえば、99曲がYouTube・ニコニコ動画のいずれかまたは両方でミリオン再生されていることです。これは108曲中99曲に当てはまります。
 これを踏まえると、収録される基準は「ミリオン再生されていること」なのではないか…と考えられます。
が、そう断定すると、それはそれでミリオン未達成の既存曲が収録されているのはどういうことなのか、という話になります。なので、以下からは99曲の輪から外れるミリオン未達成曲たちを見ていきます。


ミリオン未達成曲を見てみよう

 現在プロセカに収録されている既存曲のうち、いずれの動画サイトにおいてもミリオン未達成の楽曲は9曲です。大きく二つの例に分けて見ていきます。

 例①トキヲ・ファンカ
 ミリオン未達成曲9曲から「公式曲」「非ボカロ曲」に分類される曲を除けば、「トキヲ・ファンカ」が残ります。
「トキヲ・ファンカ」がミリオン未達成楽曲である、というのはあくまでもオリジナル動画の記録であり、二次創作ではミリオン再生されているものが数多く確認できます。記載しなくても動画サイトで検索すればわかるのでそれで判断してください。

 例②公式曲
 VOCALOID公式コンテンツに関連した楽曲を「公式曲」と分類してきました。以下からは、ミリオン未達成曲を中心に公式曲に分類できる曲たちを見ていきます。

 -「マジカルミライ」テーマソング
ミリオン未達成曲では「ネクストネスト」「Hand in Hand」「39みゅーじっく!」「ブレス・ユア・ブレス」の4曲が該当。
ミリオン達成記録がある曲では「グリーンライツ・セレナーデ」「愛されなくても君がいる」「初音天地開闢神話」の3曲も該当します。

 また、現在プロセカに収録されていないマジカルミライテーマソングは「砂の惑星(ハチ)」のみになっています。「初音天地開闢神話」が最速で収録されたことも踏まえ、温存しているのがバレバレですね。権利的な都合で収録されていない可能性は度外視します(そんなことはどうとでも言えるので)。

 -セガの音楽ゲーム関連
 
ニンテンドー3DS用ソフト「初音ミク and Future Stars Project mirai」から「on the rock」
 ・「maimai」から「the EmpErroR」
 ・「オンゲキR.E.D.」から「Don’t Fight The Music」
 の3曲が該当。YouTube等に公開されているこれらの公式音源はミリオン再生されていませんがプロセカに収録されています。

 また、ミリオン達成曲では「初音ミク -Project DIVA-」から「ODDS&ENDS」「初音ミクの激唱」が、「CHUNITHM」から「エンドマークに希望と涙を添えて」が収録されています。
 ゲキチュウマイ楽曲追加キャンペーンにて収録された3曲は公式曲として分類しませんが、一応ここで紹介しておきます。

 -東京マラソン2020オフィシャルドリンク「ポカリスエット」WEBムービー「バーチャル東京サプライ少女2020 青く駆けろ!」
「青く駆けろ!」が該当します。
 こちらはVOCALOID公式コンテンツとは言い難いです。が、「ポカリスエットおよびプロジェクトセカイとのタイアップ」という括りができないでもないし、公式曲などと同じ例外的な扱いを受けていないわけがないと判断します。

収録されているミリオン未達成曲たちは何を意味するか

 例外①を見るに、オリジナルの動画がミリオン未達成でも、曲そのものの知名度や人気が二次創作によって補われているのであれば、プロセカに収録される基準に達するのだと推測できます。
 「ミリオン再生されているか」が直接の基準になっているわけではなく、「ミリオン再生されるほどの知名度や人気があるか」が基準になっていると考えるのが妥当かもしれません。つまるところはプロセカ制作チーム独自の基準なので、外部で完全に正しい推測ができるかは難しいということです。

 また、例外②のような、さまざまなコラボやキャンペーンの副産物であったり、VOCALOID関連コンテンツに提供されていたりする楽曲は、ミリオン未達成であっても関係なく収録されているため、それらはミリオン達成状況云々とは別の選定基準があるものだと考えられます。
 もしくは、制作チーム的にはVOCALOID関連コンテンツ提供楽曲である時点で「一定数(他の曲ならばミリオン再生などに置換される)の知名度や人気がある」という基準をクリアしている、と考えているのかもしれません。

というよりかは、「愛されなくても君がいる」「初音天地開闢神話」の投稿から収録までの早さや、ミリオン未達成の公式曲に関する扱いなどはだいたい例外的なものなので、(この記事が主旨としている)「プロセカに収録されそうな楽曲を考える」うえでは参考にならないということです。
 ただ、これは裏を返せば「投稿日が最近すぎたり、ミリオン未達成であったりで、本来の選定・収録基準を満たしていないとしても、公式のVOCALOID関連コンテンツだったり、今後コラボが見込めそうなコンテンツの楽曲であれば、収録される可能性があるかもしれない」というふうに考えることもできます。

 例を挙げるなら、先日公開されたSNOW MIKU2022テーマソング「君色マリンスノウ / カルロス袴田(サイゼP) feat. 初音ミクも、もしかしたらSNOW MIKU2022開催かそれに合わせて収録されるかもしれないということです。SNOW MIKUのテーマソングは未だ収録されたことがありませんが…あの「好き!雪!本気マジック」でさえも…

ユニットごとの年代傾向

 最後に、投稿年・ミリオン達成年の内訳の公開も兼ねてユニットごとの年代傾向を見ていきます。
書き下ろし楽曲提供クリエイターの活動開始時期(=デビュー曲投稿年)も見ます。だいたいは偏見ですがそれが傾向ということです。

-Leo/need 「バンド」ユニット

  特段偏りもなく、幅広い年代の曲が取り入られています
投稿年・ミリオン達成年どちらの記録でも2018年以降の曲がパッタリ減っているので、他のユニットと比べると「どちらかというと新しい楽曲」は少なく感じます。

 幅広い年代をカバーしつつも、新しい世代はまだ不完全という特徴は書き下ろし楽曲提供クリエイターにも現れているように思います。他ユニットと比較した場合、活動時期の新しいクリエイターはまだ少なく見えます。
 また、全ユニットで唯一公式曲(青く駆けろ!)、非ボカロ曲(ray、Hello,world!)の両方をカバーしています。主役級ユニットなのでいろいろ自由度が高いということかもしれません。

-MORE MORE JUMP! 「アイドル」ユニット

 他のユニットと比較しても、全体的に初期に偏っています
 また、プロセカは2014年に投稿された楽曲の収録数がダントツで多いですが、その要因の一端はモモジャンにあるといえます。というくらい2014年の楽曲をカバーしています。
 しかし、ミリオン達成年の記録を見ると、こちらは「偏っている」ことはなく、なんなら全ユニットでもっとも各世代の楽曲が散らばっているように見えます。前述したように、2014年は大器晩成型に評価されている楽曲がよく見られるので、そこが要因となってこのような形になったのだと考えられます。

 書き下ろし楽曲提供クリエイターで見てもいろんな年代のクリエイターが幅広く選定されている印象です。どのユニットもどこかしら偏っているもものですが、その中でもモモジャンは優等生的ですね。

-Vivid BAD SQUAD 「ストリート」ユニット

 ビビバスはYouTubeのみでミリオン再生されている=楽曲が多めです。「ドクター=ファンクビート」「幽霊東京」「トラフィック・ジャム」の3曲も、実装時点ではYouTubeのみでミリオン再生されていた曲になります。
 新しいボカロのメインストリームとしてYouTubeが目立ってきたのも随分と久しく感じます。というような話をすると世代論に片足突っ込んでしまって、それはちょっとややこしいので細かくは避けますが…そんなYouTubeで高い評価を受けている楽曲たちは、まさに「どちらかというと新しい楽曲」と言えるのではないでしょうか。
 というような説明がなくとも、ビビバスは優等生的にいろんな年代の曲をカバーしながらも、2018~2019年の「新しい」楽曲に集中しているところがあります。
特に最近のカバー曲は「悪魔の踊り方(投稿日18/04/27)」「オルターエゴ(19/08/16)」「ガランド(投稿日18/05/11)」と、後期に集中しています。そしていずれもYouTubeのみでミリオン再生されています。(もっとも、「ガランド」は実装日当時にミリオン達成していますが)

 書き下ろし楽曲提供クリエイターも、活動開始時期が比較的新しいクリエイターが起用されている印象です。とくに、Ayaseは書き下ろし楽曲提供クリエイターの中ではもっとも活動時期が新しいです(デビュー曲「先天性アサルトガール」投稿日2018/12/24)。

-ワンダーランズ×ショウタイム 「ミュージカル」ユニット

 カバーする曲の年代の振れ幅がもっとも大きいユニットです。「ミラクルペイント」から「KING」まで、セカイ版が収録されている既存曲68曲の中で投稿日がもっとも古い曲ともっとも新しい曲の両方をカバーしています
全体的に見ると、投稿年・ミリオン達成年ともに2016~2018年あたりに偏っている印象です

 カバー曲の面では「どちらかというと新しい楽曲」に偏っている印象ですが、書き下ろし曲では初期から活動しているクリエイターの起用が多いです。一方で、2016年と比較的新しい時期から活動開始しているキノシタも起用されているため、クリエイターの面でも年代の振れ幅が大きいユニットといえるでしょう。

-25時、ナイトコードで。 「アンダーグラウンド」ユニット

 リリース初期のカバーでは往年のヒット曲が多いニーゴですが、全体的には2016~17年以降の「新しい」楽曲に大きく偏っています。だからといって、ビビバスのようにYouTubeでのみミリオン再生されているようなことはなく、どちらにもしっかりウケている曲が選定されていがちです。
 投稿年のバランスで見ると、「2009~2014年の楽曲を中心に、それ以降の楽曲もカバーしている」モモジャンと「2018~2020年の楽曲を中心に、それ以前の楽曲もカバーしている」ニーゴで対照的になっている印象です。

 書き下ろし楽曲提供クリエイターでは、syudouすりぃなど、最前線で活躍する新進気鋭のクリエイターが起用される一方で、とあピコンなどの楽曲投稿が長らく途絶えていたクリエイターも起用されています。
 レオニ・モモジャンとは対照的に、全体的に新しめの傾向にあるユニットです。

-Virtual Singer Only / その他

 カバーが収録されていない楽曲についても触れておきます。
 プロセカに収録されている2007年~2010年あたりの楽曲はカバーが収録されないことが多いです。00年代の楽曲が必ずカバーされないというわけではありません。
 また、2017年以降のカバーされていない既存曲は、いずれも楽曲追加キャンペーンによって収録された楽曲です(公式曲を除く)。キャンペーンで追加するうえで、他のカバー楽曲とのバランスを鑑みてカバーが収録されないに至ったと考えるのが妥当かもしれません。憶測に過ぎませんが。
「カバーの許諾が降りなかったから」などは、外部からはそこらへんの事情を知るすべがなく、完全な憶測になることを逃れられないので省きます。

おまけ・リクエスト楽曲

 ユーザーのリクエストとして名前が挙がった楽曲の紹介もしておきます。

 本サービス開始前の2020/06/25に配信された「プロジェクトセカイ カラフル放送局」Vivid BAD SQUAD回で公開された、#セカイ楽曲リクエスト にて投稿された楽曲リクエストのリストアップです。

 こういうのがありました。
 リストアップされた楽曲は以下の通り。未だに収録されていない楽曲は太字で表記します。また、動画内には記載されていませんが投稿年も記載しておきます。

・悪ノ娘(2008)
・on the rocks(2014)
快晴(2017)
Calc.(2010)
鎖の少女-Re Alive-(2009)
・グリーンライツ・セレナーデ(2018)
・サンドリヨン(Cendrillon)(2008)
ジターバグ(2019)
・脱法ロック(2016)
ダブルラリアット(2009)
番凩(2008)
・ドラマツルギー(2017)
パラジクロロベンゼン(2009)
卑怯戦隊うろたんだー(2007)
・ヒビカセ(2014)
・ベノム(2018)
・メルティランドナイトメア(2018)
ルカルカ★ナイトフィーバー(2009)
1/6 -out of the gravity-(2009)
・ワールズエンド・ダンスホール(2009)

リンク先発表コーナーに飛びます

 公式の番組でこのような形で名前が挙がった以上、収録予定が立っていないはずがありませんが、番組内では「現時点で収録が決定した楽曲がある」と公言されたのみです。そしてそれは「脱法ロック」「メルティランドナイトメア」あたりのことを指しているのだと思われます。
 ここに挙がった楽曲の中で未収録の楽曲はほとんどが2009年以前の楽曲です。古い年代の楽曲はあからさまに温存されているなと感じますね。

 また、2020/11/25に配信されたプロジェクトセカイ ワンダショちゃんねる#2でも、放送日以前に開催されたアンケートで募集した楽曲リクエストの内容の開示がありました。
上記したものと同じ形で表記します。また、上記のものと重複している楽曲もありますがそれも含めます。

・KING(2020)
・千本桜(2011)
・ボッカデラベリタ(2020)
・ドラマツルギー(2017)
・ロミオとシンデレラ(2009)
・ベノム(2018)
・だれかの心臓になれたなら(2017)
・恋愛裁判(2014)
・テレキャスタービーボーイ(2018)
天ノ弱(2014)
・からくりピエロ(2011)
DAYBREAK FRONTLINE(2016)

 こちらも、「入るかどうかは未定」としたうえで発表されました。しかし、2022年1月現在、こちらで発表された曲のほとんどが収録されているため、残る2曲にも収録される可能性は大いにあると言えます。

参考リンク

 調べるうえで使用したサイトをまとめておきます。要所要所に記載した楽曲リンクなどは省略します。

初音ミクwiki
https://w.atwiki.jp/hmiku/

初音ミクwiki - ミリオン曲一覧
https://w.atwiki.jp/hmiku/?cmd=word&word=ミリオン&type=&pageid=4386

プロジェクトセカイ攻略wiki - 収録楽曲
https://pjsekai.com/?aad6ee23b0

ストーリーに寄り添う『プロセカ』の緻密な楽曲作り-キャラの成長に合わせて変わっていく歌い方
https://s.inside-games.jp/article/2021/04/13/131850.html

ニコニコ動画的ボーカロイドの歴史を“970,686本の投稿動画”とともに振り返ってみた
https://news.nicovideo.jp/watch/nw8598369

日数計算サイト
https://www.日数計算.com
 「最近の曲」の実装までの日数を調べる際に使用しました。

「プロジェクトセカイ カラフル放送局」Vivid BAD SQUAD回https://youtu.be/Wctj3ALzEgI

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