2020年に聴いて良かったな、と思ったアルバムを書いてみる

まぁ1年終わるので、今年買って聴いたものの中で良かったアルバムを書き出してみる。
あくまで「今年買った」であって「今年リリースされた」作品ではないので注意。

Tides From Nebula/From Voodoo To Zen
https://tidesfromnebulaofficial.bandcamp.com/album/from-voodoo-to-zen

ポーランドのバンドで1stアルバムが2009年なんでかなりのベテランさん。所謂轟音ポストロックになるのだけど、彼らの場合はシューゲよりオルタナの影響が強そうなダイナミックな音と展開で畳み掛けるのがカッコいい。
あと、変拍子を使いつつもグルーヴィーさを保ってる所が素敵で、今作ではダンスミュージック的なリズムを取り入れたりしつつも前述のダイナミックさを失ってないので独自の境地に到達してる感があります。

Horse Lords/The Common Task
https://horselords.bandcamp.com/album/the-common-task

アメリカはボルチモアの前衛系なバンドさんでこれが4枚目。
ミニマリズムというか、アフリカ的なプリミティブなビートとミニマルなコード進行の上に多彩な音が乗るというかフリーキーな様でいてめちゃくちゃ緻密な音というか。近い音って考えるとTalking Headsになると思うんですけどアフロビートともまた違う独特の土着感を知性で演出してる所が姿勢として近いし、とてもツボ。

We.Own.The.Sky/Home
https://weownthesky.bandcamp.com/album/home

ギリシャのアテネで活動してるバンド。一応、ポストメタルになると思うんですが、いい塩梅でポストロックとの中間を行ってるというかメタルのキレの良さやパワフルさをそのままにポストロックの音響感が同居するっていうかなり難しいバランスをやってて凄くカッコいい。そして演奏がパワフルだから壮大さに負けてないのがいい。
多分、重い方にもメタルっぽい方にももっといけると思うんですが、個人的にはこのバランスで突き抜けて欲しい感。

Vasudeva/Generator
https://vasudeva.bandcamp.com/album/generator

ニュージャージーのポストロックバンド。
良い意味での音の軽さというか風通しが良いサウンドが特徴というか、隙間が非常に活きてるんじゃないでしょうか。
シンプルに聴こえて複雑だし、3ピースの音の薄さを音作りで上手く補ってる。結果、お洒落さと疾走感が旨味として出て来る。そんな音。

Mildlife/Automatic
https://mildlife.com.au/album/automatic

オーストラリアのバンド。フュージョン系かなと思ったけどジャズファンク系のバンドみたい。確かにベースはジャズファンクでそこにフュージョン的な洗練された音を乗っけたって考えるとなるほど、と思えるような音。
で、そんな感じで洗練されてる音がファンキーなリズムに乗るんですが、結果異様にグルーヴィーなシティポップ的な独自の音世界に突入してます。お洒落だけど、リスナーを殺しに来るような強い音。

Nada Surf/Never Not Together
https://nadasurf.bandcamp.com/album/never-not-together

今やアメリカのインディーロックを象徴するような立ち位置のニューヨークのバンド。90年代中盤から活動してるので超ベテランですね。
初期こそメジャーからデビューしたこともあってパワーポップの範疇に納まる様な感じだったのですが、メジャー落ちしてBursukから作品を出すようになってからジャンルというよりはこのバンドの音という感じでどこがどう、とは絶対に言えないけど確実にこの人たちにしか作れない曲を作り続けていて結果、評価もされてるっていうその生き様込みでとても好きなバンドです。今作も非常に染みる良い曲が揃っています。

Antethic/Mythographer
https://antethic.bandcamp.com/album/mythographer

ロシアの3人組の音楽制作グループです。どうもメンバー3人とも複数の楽器できるっぽく曲ごとに頻繁にパートチェンジだったり1曲内で複数パート担当したりしてるのでバンドと言っていいのか難しい感じ。
で、これが3枚目のアルバムで今までよりはシンセを使い倒してる感じなんですが、多分この人たち元々バンドスタイルでやってたこともあって面白いというか、あくまで音がバンドサウンドになってるんですね。それぞれのパートが他のパートに対して寄り添うのか、仕掛けるのかひっくり返すのかそういうやりとりが見える音で、電子音まみれなのにロック聴いてる感触が強いのがとても好き。

Khruanbin/Mordechai
https://khruangbin.bandcamp.com/album/mordechai

テキサスのファンクバンド。ファンクにアジア的なフレーズを組み合わせた楽曲で名を上げて来た彼らなのですが、このアルバムでやっと本質が分かったというか、彼らの場合もっと根底にサイケがあるんだと思います。アジア的な音階もサイケの延長と考えたら納得度高いですし。今回の作品も全体的に残響深めになってるのもサイケデリックな感じで。
その音の一つ一つの制御といいますか、響かせ方が凄く緻密で細かい所まで聴いて楽しめる作品でした。

Appleseed Cast/The Fleeting Light of Impermanence
https://graveface.bandcamp.com/album/the-fleeting-light-of-impermanence

動画は今回のアルバムの曲じゃないです。こいつら最新アルバムのPV作ってねぇというか、オフィシャルのチャンネルすら持ってないとかマジか(動画はレーベルのチャンネルで上がってたもの)。
90sエモのバンドではJEWと並んで解散してない現役組で、かつ彼らはどんどんポストロックに走ったという獣道をひたすら進んでました。
それにしても彼らの音、電子音とか音響的な部分もかなり練り込んだアプローチしてるのに、この垢抜けなさはなんなんでしょうか。この鉄壁のインディー感たまりませんし、これが彼らの個性だと思います。今作なんて今までに比べて電子音の比重が上がってるのに不変な所が凄いです。ここまでインディー感と清廉さが同居してる音も珍しいです。

Pale Saints/The Comfort of Madness(The 30 Aniversary Remaster)
https://4ad.com/artists/palesaints

今年の再発系で一番うれしかったやつ。一応シューゲイザーとされているんですけど、多分今の感覚で聴くと絶対シューゲイザーだとは思われない曲が多いだろうな、という音なんですけど異様な緊張感がカッコいいのです。ついには音として彼らのフォロワーって出てこなかったというか、彼ら自身がシューゲのステレオタイプな音に寄っていったこともあってこのころの彼らの音の孤高さが際立ってると思います。再評価されてほしい。

とりあえずこのぐらいでしょうか。
来年も面白いものに出会えると嬉しいですね。

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