養正地域で起きていること

養正地区は京都市左京区、叡山電車出町柳駅のすぐ北にあります。西に下鴨神社、そしてちょうど鴨川が高野川と賀茂川に分かれるデルタと呼ばれる公園や広い河川敷も近く、東には京大が徒歩圏内で、多くの学生さんが行き来する往来に接しています。

京都市は昭和28年から同和対策事業として養正地域の住宅改良事業を実施、計15棟総戸数699戸の養正市営住宅が建設されました。

この住宅に伯母一家が暮らしていたので、私は小さい頃からよく遊びに行きました。

部屋は台所とあと3部屋だったと思うのですが、ひと部屋がとても小さくて、叔父と伯母と二人の従兄弟の4人家族が暮らすには狭かったと思います。読書と素人骨董趣味の伯父の本や骨董市で買ってきた壺や仏像などが所狭しと並んでいました。その後、従兄弟達は養正を離れ、叔父と叔母は平成17年に建て替えられ広くなった21棟に移り、最後まで21棟で暮らしていました。

数年前から養正地域で団地再生計画が持ち上がり、https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000283/283270/yousei.pdf

今まさに古い団地の解体が始まろうとしているのですが、そのプロセスがあまりにおかしいのです。

京都市はこの団地再生計画の案として「更新棟(新市営住宅)エリア」「活用予定エリア」「公共施設エリア」を区切っており、更新棟と更新棟の間に、「活用予定エリア」を設定しています。

いったいどこまで計画が決まっているのか?自分たちの意見は通るのか?他の人はどんな意見を持っているのか?そんな思いで、住宅に住んでいる方、そして近隣の住民の有志の方が数年前から、市議の加藤あいさんとともに「全体説明会を実施してほしい」と要望されてきたのですが、京都市はコロナを理由に全体説明会を開かず、住宅に住んでいる方々には戸別訪問、個別アンケートを実施し、「説明会はすでに実施した」ということにしてきたのです。

その後、今年の3月から「養正学区各種団体連絡協議会、かもがわデルタフェスティバル実行委員会」が主催し、京都市住宅室すまいまちづくり課が「オブザーバー」として名前を連ねている「未来のまちづくりミーティング」が月に一度のペースで開催され始めました。

これまで全体説明会がなかったので、ここで住民の意見を聞いて、市に伝えてくれるのだろうと思い、多くの方がこの会に参加し、たくさん意見されました。

「京都市はこの数十年の同和対策事業をどのように総括しているのか?それをきちんとまとめてからでないと新しい計画を聞く気持ちになれない」

「ここは元々は自分たちの土地だったのを京都市が同和対策として安く買い上げ、住宅にした。劣悪な住環境を是正するためというが、いろんな家がありいろんな生活環境があった。それをひとまとめにして住宅に入居させられた。今度は住民を無視して勝手な計画を作らないでほしい」

「次回は、今日出た意見を踏まえて、市からその答えを聞かせてほしい」と言う多くの住民の声がありましたが、その後、京都市の職員は姿を見せず、2回目のミーティングの冒頭では主催側が「ここで出た意見を京都市に伝えることはない」と言い切られ、「そしたら何のための会や」「何で京都市が出てこないんや」と大紛糾しました。

その後も、京都市の職員不在でミーティングは回を重ねており、主催の皆さんの善意はわかるのですが、京都市が後ろに隠れるための隠れ蓑的な役割になってしまっては残念だと思ってきましたが、地元の皆さんが諦めずたくさん意見され、同時にまちづくりミーティング主催の皆さんも尽力された結果、ようやく、初めて!9月13日夜に養正小学校で全体説明会が開催されました。

説明会は回覧板で告知をされたのですが、なぜか、一部と二部に分かれており、一部が解体工事説明会で二部が全体計画説明会でした。

「順番がおかしいでしょ、全体説明会が先でしょ」ということは私も意見しましたし、この説明会に市議で唯一参加されていた共産党の加藤あいさんも指摘されました。

順番がおかしいまま、一部の老朽住宅解体工事説明会は初っ端から大紛糾。

住宅にお住いの方々と、地域にお住いの方々、皆さんしっかりと意見を述べられました。

以前の植物園・北山エリアの住民説明会を思い出しました。

「アスベスト対策は万全なのか」

「保育園や児童館もあるから登園時間にダンプが入るようなことはやめてもらいたい」

「土曜日には工事をしないでほしい」

解体工事はこの説明会の翌日から実施予定だったのですが、

「今日の疑問にしっかりした答えを持ってきてもう一回説明会を開き、その上でやってもらいたい」という住民側の声を受け、市の職員さんははっきりと「わかりました。再度説明会を実施します」と答えて一部は終了となったのです。

その後、二部、全体説明会。一部で半分近い方が帰られ、それでも多くの住民が意見を述べられました。

「なぜ住んでいるものの意見をしっかりと聞いて計画を立てないんだ」

「なぜすでに市営住宅の位置が決まっていて、住宅と住宅の間に活用エリアというのを設定するんだ」

「活用エリアって、どこかの企業に売ってしまうんじゃないやろうね、もともと私たちの土地ですよ、そんな勝手なことしないでしょうね」

多くの意見を聞いた後、すまいまちづくり課の課長が驚くことをおっしゃったのです。

「ご意見ありがとうございます。では計画は粛々と進めさせていただきます」

この一言で大大大紛糾。

「どういうことや、これだけ意見が出ているのに無視するつもりか。ちゃんと議論してもう一回、説明会を開け。何回も意見交換して計画を作ってくれと言ってるのにどういうつもりや」

口々に異議申し立てをされる住民の皆さんの迫力に押されて、部下の職員さんが「わかりました。説明会は開催します」と約束されました。

(こういう場に共産党さん以外の議員さんはいませんね。

まちづくりの最前線は「市役所の職員さん 対 住民」で大紛糾でした。

議員さんってどこ向いてどんな仕事しているんだろうというのは素朴な疑問です。)

ところが。

10月7日、突然、住宅の解体工事が始まったのです。

たまたま通りかかった友人が「どうして工事を始めるんですか。説明会を開くと言ってましたよね」と現地で市の職員さんに聞いてくれましたら「10月4日に説明会は開催しました」という返事。

私もすぐに市役所すまいまちづくり課に電話をしました。

「あの時、説明会を開くとおっしゃいましたよね。」

「はい、だから10月4日に開催しました」

「回覧、回してませんよね」

「はい、中高層住宅条例に基づいて周辺15メートルの範囲の住民の皆さんに説明をしました」

「いやいや、9月13日にたくさんの方が意見され、そこで『説明会を開催します』ってお返事されましたよね。回覧板で告知をしないと、あの時参加した方は知らないままじゃないですか。どうして勝手に対象を区切るのですか。ダメですよ。」

「何がダメなんですか。何度も繰り返しますが説明会は開催しました。」

この繰り返しでした。

恐るべし、京都市。

「住民の税金で住民のためにまちづくりをするんでしょ。どうして住民の意見を無視し約束を破るのですか。おかしいでしょ」

何度言っても「ですから説明会は開催しました」とうそぶくばかり。

私たちはこんな町に住んでいます。

民主主義ってなんだっけ?

私の主権はどこ行った?

この間、国交省の職員さんとレクチャーしましたが、いやいや、わが町京都市、恐るべし。

まずはつながりのある皆さんに知っていただきたくて書きました。








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