川合大祐「スロー・リバー」5

 川合大祐「スロー・リバー」の一句観賞5回目です。わたくしごとですが、快晴の青って嘘っぽく見えます。では、早速観賞に移りましょう。


たとえばだ三十一文字の定型をこれは川柳ですと言い張る
 みそひともじはつまり57577だ。77が句またがりになっているが、これは明らかに短歌の定型だ。それを川柳だと言い張る。では、これは川柳なのか短歌なのかと悩む人もいるかもしれない。わたしとしては、そんなことよりこの作品面白くないですか? と言いたい。川柳ではないから評価できないと言うのなら、字余りとして77を持ってきているだけだと思えばいい。先人たちがまた、川合大祐自身が耕してきた川柳という土壌がこの作品を生んだのだと思う。川柳の広大さを感じる。そこに、句に立ち止まらせる川合大祐の技術が合わさると、このような試みも無二の作品として屹立し続けるだろう。


川合大祐「スロー・リバー」あざみエージェントより
https://www.amazon.co.jp/dp/4906849261/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_T1PBCFB38CP6833WKH7K


川合大祐さんが2021年4月9日に第二句集を出します。書肆侃侃房さんより「リバー・ワールド」です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4863854536/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_MVSVADFECPQ4B9W1J2HV
(了)

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