川合大祐「スロー・リバー」6

 川合大祐「スロー・リバー」の一句観賞6回目です。わたくしごとですが、結婚式に私服で行ってしまったことがあります。では、早速観賞に移りましょう。


睾丸の睾を生涯二度も書く
 も、とあるが、この句に出会ったおかけでわたしはエクセルに、ワードに、noteにと何度書いたか分からない。おそらく、掲句に出会うまでには書いたことがなかった。わたしはかつて「ふんどし」という名のサイトを運営していたことがある。名前の由来はふんどしという語呂が楽しかったのと、実際ふんどしが周囲で流行っていたからだ。しかし、ある後輩からサイトを紹介したいのに「ふんどし」って言うのが恥ずかしいんですと言われた。これほどマイルドなふんどしという言葉が恥ずかしさとしての対象になるとはと驚いたことがある。掲句でも同じ現象が起きている。ふんどしという語呂やリズムより、読み手はそのものをリアルに想像する。睾丸の睾も同様だ。二度も書くとあるが、二度ならず何度も書くのは作者だけではない。読み手もまた書くことになるのだ。それはもちろん作者の狙い通りだろう。


川合大祐「スロー・リバー」あざみエージェントより
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川合大祐さんが2021年4月9日に第二句集を出します。書肆侃侃房さんより「リバー・ワールド」です。
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(了)

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